「あの子のむかし話」⑩(こうちゃさん著)
こうちゃさんからいただいた小説連載の続きとなります。今までの話はこちらからどうぞ。
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――その後、一緒に写真を撮ったんです~。携帯電話で撮ったのですが~……でも~」
「でも?どうなったノ?」
「なんで、ここにあるのでしょうか~?」
「えっ?」
「むーん……。謎が深まるばかりですな~」
エレナは、さすがに転げそうになった。
「ねぇ!……それで、シオリとはどうなったノ?」
「はい~。栞さんは、それからしばらくして女優さんとなったそうです~。わたしより、先輩で、人生の先輩ということでもありますね~。わたしは、その方に憧れて、アイドルを目指すことにしたんです~」
「Wow!そうだったノ!」
「わたしとしたことが、ついうっかり忘れていましたな~」
「忘れちゃダメだヨ!」
「むふふ~」
辺りはすっかり夕方になっていた。
「ねぇ、エレナさん」
「なーに?」
「ありがとう、ございます~」
「え、なんで~?」
「今日このことを話したのは、その……秘密ですよ~」
「なん、で?」
「本当は……ひとりで見るつもりだったんです~。これは、わたしの大切な、たからもの、ですから~」
すこし切なそうな顔をした美也を見たエレナは、その言葉を真摯に聞いた。
「……わたしとあの子の、昔ばなしですよ~。エレナさんも、知っちゃいましたね~」
「うん……そうだネ~」
「むふふ~。めでたし、めでたし~」
(続く)
明日更新予定の次回で最終回となります。
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