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舞台「帰れない男」を観てきた(ネタバレあり感想)

林遣都さん主演の舞台「帰れない男」大阪2公演見てきました。
あらすじ等の詳細は省きます。
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観劇経験の少ない私のただの感想です。2回観ただけなので、見逃してたり勘違いしてたり、解釈間違ってるかもしれません。誰かと語り合ったりもしてないので、全然自信はない。でも観劇終わりの帰り道、これと似た解釈も聞こえてきたので、そうとらえた人もいたのではないかな。以下、がっつりネタバレありです。

今回、自分の見る番がまわってくるまでに、SNSに流れてくる感想を見て、難しい話なのかな、ついていけるかな、ラストすっきりしないとか言ってる人もいるな、大丈夫かなと思いながら見てたんですが大丈夫でした。とても好きな作品でした。

難しいことを言ってるような言い回しで実はそうでもないかもしれないセリフ。演者さんたちの発声や間の取り方のおかげか、とても聞き取りやすかった。

たぶん、わざとややこしく言ってるだけで難しい話ではない気がする。
日本語特有の面白さ。
お金持ちの旦那さんが若いきれいな奥さんもらった。そんな中でのそれぞれの心理は想像できなくはない。

2回観ただけなので記憶が定かではないんだけど、ラストを知ってて2回目見たとき、野坂(林)の西城(柄本)に対するセリフ「じゃあ僕が死んでたらよかったというのか」的なやつ。
それ聞いたときに、あーって自分の頭の中にあるあれこれが突然つながり始めた。

『野坂=征太郎、野坂の妻=瑞枝、久保=野坂』の立場的な重なりの中で
それぞれがそれぞれに対して持ってる不快感は自分に向いたものだったり、別の人がしてること、されてることが自分の置かれてる立場と重なったり、でも実際は別人なので自分と同じ感情を抱いたかどうかはわからなかったり。

このなんとも言葉で説明するのがむずかしい、ふたつの三角関係の複雑な心の重なりがはっきりと見えた気がした。
野坂はその両方に違う立場で関わってるのよね。
これは心の内を考え出すとややこしい。

野坂と妻と西城も三角関係と言えば三角関係?
そこはまたちょっと形が違う気もするけど考え始めるとまた違う迷路に迷い込んでしまいそう。

そして遣都さんと藤間さんの美しさはこのバランスを成立させる説得力を持たせた。

普通は見えないはずの廊下が手前にある、心の内を覗き見れるようなセットの配置もよかった。

ここは人によってとらえ方違うとこだと思うけど、私は瑞枝は旦那様のことほんとに好きだったように感じた。
加藤茶さんとこみたいな(ちょっと違うかw
自分はほんとに旦那様の魅力に惹かれて結婚したのに、年の差からまわりはそうは見てくれない。
そんな中での、嫉妬や意地やプライドやもどかしさやそれぞれの複雑な心理。

※パンフレットのキャスト座談会で藤間さんが瑞枝のことを「実はすごくピュアで、そんな計算高い女性ではないのかもしれない(中略)それすらも実は計算内なんじゃないかと、そこを行ったり来たり」と言っている。
まさにどっちなんだという、見てる側の想像を膨らませる、その一辺倒ではない性格を見事に表現してたように感じた。

死を選んだのはここでは旦那さまだったかと思ったラスト。
それは野坂だったかもしれないけど、でも野坂はここでも死を選ばない気がする。自分を傷つけないように折り合いつけるのが一番うまそうに見えた。
そして旦那さまが一番繊細に見える。

ラスト、そもそも女中はなんで突然はさみがどうこうと話を遮ってまで大きな声で話し出したんだろう。
はさみがないのが気になったなら自分で水屋と広間両方見に行けば済む話なのに。(「水屋」だったかな。その辺なんて言ってたのが記憶があいまい。違ってたらすみません。)
旦那さまをそっちに導いたのは女中だったのか。

※座談会で遣都さんが「女中が皆殺しするんじゃないかと思ってた」っていうのもちょっとの違いでそう持って行くこともできそうで発想が面白い。
遣都さんは本読まないとか、自分で書けないとかよく言ってるけど、アドリブにしても、発想力はいつも洗練されてて面白いと私個人的には思ってる。

征太郎が広間に向かう長い廊下での表情は思い詰めてるようにも決心してるようにも見えた。

瑞枝の言うこと信じないで広間を探したらそこにはさみがあった。

瑞枝が向けてくれる愛情を信じ切れずに若い男をあてがって、今回はいつもと違う何かがあったという現実と、瑞枝を信じられなかった自分とそこにはさみがあったという事実が重なって死を選んだのか、(途中、野坂と西城との会話であった)「3人のうち誰かが死ぬとしたら」自分だと感じたのか。

もしかすると奥さんを信じて水屋に行ったら、はさみはそこにあったかもしれない。そしたら死ぬことなかったかもしれない。

もしかするとほんとに水屋にあったのを、女中が広間に持っていったのかもしれない。変わってしまった旦那さまに何か気付いてほしくて。

このシーンでの野坂さんの大声張り上げる態度も気になった。
旦那さまと自分が重なって、自分に対しての苛立ちだったのかな。

ここはもう、ただの私の想像妄想。
ここの解釈は色々あってもいいのかもなーと思ったりもする。
様々な可能性を含んだこの場面を膨らませて想像してみんなであれこれ話すのが楽しいのかもしれない。

と2回観ただけの私のざっくりとした感想はこんな感じ。
2回では足りない。繰り返し見て確認したいところがたくさんあるし、もっと想像膨らませたい。
きっと見逃してるところや勘違いしてるところや色々あるんだろうな。
カメラ入ってたようなので、映像化期待してる。

演技のうまい方だらけのお芝居はとてもおもしろい。
山崎さんが新名さんと絡むのとても楽しそうだった。
難しい話っぽかったけど、みなさん意外とふんわりと軽やか。
だから最後まで集中力切れることなく見れたのかな。

今現在の遣都さんの実力をたっぷりと浴びることができて非常に心地よい舞台でした。満たされましたありがとう。

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