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「舞台友達」観てきた(ネタバレあり)

林遣都さんが出てるから見てきました。舞台「友達」大阪公演。
東京公演の配信はすでに見てました。戯曲も読みました。
詳細とか省きます。HPはこちら↓


wikiのまとめは色んな疑問が解決した。わかりやすい↓

50年以上前の作品なのに、今のネット社会にもあてはまるこの世界。
ネット社会に限らず身近なあれこれに当てはまる。
不思議な作品だ。

ここからネタバレありです↓

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次女のラストの決めセリフ
「逆らいさえしなければ、私たちなんかただの世間だったのに」

結局男はどうすればよかったんだ。
この事態を避けられなかったのか。

逆らいさえしなければってことは、素直に言うこと聞いていればよかったのか?
いや、違う。それは次女にとって都合のいいただの言い分で、それだと殺されはしないけど、自分がいなくなる。

家族は本当の家族なのか?

私は本当の家族ではないと思ってる。
その場その場で集まってできた即席の家族。

問題提議する人。
やさしく助言してる風の人。
助けてくれてる風の人。
ひととごとして遠くから眺めて笑ってる人。
興味ないのにただその中にいる人。
便乗していい思いしてる人。
ただ攻撃したい人。
等々…

たとえば「不倫した人」に群がりたたきまくる家族。
たとえば「コロナ禍に出かけてる人」に群がりたたきまくる家族。

その集まりが9人だったり13人だったり。
100人だったり10000人だったり。

突然家に押し掛ける方も多数決で勝つ状態じゃないと攻撃できない。
多ければ多いほど強気に出る。
それぞれがそれぞれの正義をもって行動する。

でも家から一歩出てひとりになれば、そこでの攻撃的な顔は見せずに、それぞれ自由に恋愛したり遊んだりしてる。

そして一見一番やさしそうな悲劇のヒロイン風な次女。
このタイプが一番たちが悪いかもしれない。

男のことをよく理解していると本人思ってるのに、男から言わせると全然わかっていない。
好きだった気にしてたと言いながらひどい仕打ち。
最後には命を奪って泣いてさあ次の人を探そうと。
またやっちゃった。
尽くしてるのに裏切られて、いつもこうなっちゃう私って可哀そうって。

そして家を出て、バラバラになってまた違う目的地が見つかったら新たな家族を作ってその家に押し掛けるんだろう。
きっと次女はどの家族の一員になっても同じ役割を果たしてる気がする。

話が通じない人に反発しても無駄だ。
正当防衛面されて殺されちゃう。

ドアをあけなければよかったのか。

いや、興信所の「この人今、入り込む隙がありますよ」リストに載らなければそもそも訪ねてこなかったのかも。

リストに載ってしまったとして「ここ居心地よさそう、ここに決めた」って思われなければ9人も押し寄せず、うまく多数派になって簡単に追い出せたのかも。

やっぱりネット社会と重ねて見てしまう。

この舞台を見て、気分が悪い、チケットたくさん買ったけどもう見たくないというマイナスなツイートをいくつか見た。
なのに私はなんともなかった。何度も見たいと思った。戯曲読んだときもよくできてる面白いと思った。

この違いはなんなんだろう。

たぶん私はこの登場人物の誰目線でもなく、この舞台全体を俯瞰して見てた気がする。
他人事としてこういう世界もあるから気を付けよう。この家族の一員にはならないようにしようっていう教訓的に見てたのかもしれない。

この作品の解釈に正解はないんだと思う。
ひとそれぞれ。

男を可哀そうだと思う人。
なんではっきり断らないんだとイライラする人。
家に入れたのがそもそも悪いんじゃないかと男を責める人。
なんだかんだと可愛い次女と楽しそうにやってるじゃないかと悪意を抱く人。
もっとこうすればいいのにとアドバイスしたくなる人。
なんでそうなるんだとしらけた目で見てる人。

男ひとりに対する感情もひとそれぞれ。
生まれ育った環境によって、人との付き合いによって、色んな考えが出来上がる。
その感じ方によって作品に抱く感想も大きく変わる。

演出の加藤さんが現代風にアレンジしているというのもあるけど、最初に戯曲を読んで受けた印象と舞台を見て受けた印象はそんなに大きく変わらなかった。

この作品が今現在の世の中と重ねて見えるということは
いつの時代もどんなに道具が便利になっても
人間の本質なんて変わらないっていうことなのかもしれない。

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作品の感想というか実際の舞台を見ての感想を少し

ラストの檻から血(赤い液体)が流れる場面。
配信で見てたからわかったけど、客席からは全然見えなかった。
席の位置によってはわかりにくいと思う。

配信で見たときは若手のみなさんの動きに目がいったけども
生で見たときはベテランのみなさんの存在感に目がいった。
山崎さんや浩介さんは中心にいるから当然だけど
浅野さんや緑子さん、少ないセリフであの存在感。さすがだなと感じた。

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遣都くんファンなので遣都くんのことも褒めておく。

もうね、遣都くんの舞台は「舞台大好き」が溢れてるの。
それが見てて嬉しくて楽しくて。

観劇歴短いので、えらそうなことは言えない。
発声がどうのこうのなんてわからない。
よっぽどひどくない限り、俳優さんほとんどがちゃんとできてる。
とくに遣都くん世代の俳優さん、演技力あって優秀な人多いと思う。
あとは目に見えない部分というか、経験や努力による自信。
作品に対する姿勢。

その部分がね、最近溢れまくってます。
だから魅力があって、だから好きなのです。

この役はこれまで見たことない遣都くんでとても新鮮だった。
また林遣都が生み出す新たな人に出会えた。
変なひっかかりはないけど、彼特有のクセはある。
それが心地よく、彼でなくてはという思いにさせる。
またここから先もずっと応援し続ける楽しみを与えてくれた。

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