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蛍幻想

途切れ途切れに聞こえる ピヒャラ
紙縒り(こより)の先で 精一杯に
チリチリ と 命咲かせる線香花火

響く笛の音 振り切るように
小さくなって ポトリと落ちて
ひととき待たずに 静かに消えた

今年も祭りは 変わりなく

そっと伸ばした 指先に
迎え火 ユウラリ
面影 ユラリ

ドンツク ピヒャラ

三晩の想い

遠い遠い日 懐かしむように
草陰の 蛍の小さな仄あかり
消えては点り また消える

想いを乗せて
そっと離した 精霊流し
無邪気に見送る幼子の

遠くなる 遠くなる
父さま面影 遠くなる

送り火 ユラリ
想い出 ユラリ

ホーホー ほたる
二つの命 寄り添って
翔べよ 翔べよ と
微笑みながら
ユラリユラリと 見えなくなった

空の上から 声がする

ホーホー ほたる
泣かずに翔べよ

…さよなら   あなた
今日からは
笑顔で二人
しっかりと 生きていきます

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1989.6.10 (初盆 精霊流し 8.15)

拙い文章です。サポート頂くことは考えておりませんが お心遣い下さった方へ、心から感謝申し上げます どうかこれからも暖かく見守っていただけますように。