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ノーリミット2-7シングルドローストラテジー(パート4):プリドロー概説

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原文はこちらからどうぞ。
https://flopturnriver.com/poker-strategy/limit-2-7-single-draw-strategy-part-4-pre-draw-overview-22126/

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by
FTR Poker Admin | Dec 9, 2023 | Cash Game Strategies


前回までの一連のコラムを通して、我々はプリドローのハンド分布の基礎について検討してきた。今回のコラムでは、それらを総合して、実際のプリフロップのハンドレンジを俯瞰していこう。今回のコラムでやる内容を明確に理解したいのであれば、これまでやった3回分のコラムの内容を理解する必要があるだろう。前回までの内容に関しては手短に述べるにとどめ、プリドローのレンジ全体を総括する方向で進めていきたいと思う。それでは始めよう。

■パットハンドのマジックナンバー:1-4-10-20-35-56

トライアングルナンバーの和からなる上記6つの数列から、我々はハンドの組合せに関する非常に多くの情報を得ることができる。パットハンドでは、上記数列は、5から始まる一連のキッカー(5はもっとも小さいキッカーである)と小さい方から順に対応している。例えば、パットハンドX-5の組合せは1通りであり、パットハンドX-6の組合せは4通り、パットハンドX-7の組合せは10通りであり、以下同様である。そして、7-6、8-7、9-8のようなケースでは、1を引き算することだけは忘れないで頂きたい、それはストレートになる組合せが1通りあるため、総数からは除外しなければならないからである。

(例題1)
9パットの組合せは何通りあるか?

9パットには、9-5(1通り)、9-6(4通り)、9-7(10通り)、9-8(20通り)がある。また、98765がストレートになるため1(通り)を引き算する必要がある。したがって、9パットの組合せは34通りとなる。また、この1通り毎にそれぞれ1,024のコンボがあるので、総コンボ数は(34×1,024=)34,816(コンボ)となる。こうしてみると、我々が何故2-7シングルドローにおいてスターティングハンドをコンボ数ではなく組合せで考えるのかが分かるだろう、数字が膨大すぎるからだ。


■ドローハンドのマジックナンバー:1-4-10-20-35-56

ドローハンドにおいても、(パットハンドと)同じ数列を使用し、これらの数に“ドローイングファクター”と呼ばれる数字を掛け算する。ドローイングファクターとは、「ドローイングファクター=(定数)3+(ドローで切るハイカードの枚数)」で表される。ドローハンドの組合せ(場合の数)としては、5xxxが1通り、6xxxが4通り、7xxxが10通り、以下同様である(注意:xxxは、リードカードよりランクの低い3枚からなるカードである)。これらの場合の数とドローイングファクターを掛け算すれば、特定のドローハンドの組合せを求めることができる。

(例題2)
A・K・Q・Jを1枚チェンジする場合、ドローハンド8xxxの組合せは全部で何通りあるか?

ベースとなるドローハンド8xxxの組合せは20通りである。ドローイングファクターは、(チェンジする)ハイカードが4枚なので3+4=7だから、したがって、求める(8xxxの)組合せは20×7=140通りとなる。そして、その(組合せの)数に1,024を掛け算すれば、このドローハンドの総コンボ数:143,360通りとなる。以上。


■プリドローレンジの評価

2-7シングルドローのような5カードドローゲームのスターティングハンドには、全部で2,598,960のコンボがある。(※)これは非常に膨大な数であるが、その数を利用すれば、相異なるハンド毎のパーセンテージ(割合)を導き出すことができる。

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(※)訳者注:
トランプ1デッキには52枚のトランプがあり、そこから5枚を選ぶ組合せなので、52×51×50×49×48/(5×4×3×2×1)=2,598,960
となる。
ちなみに、分子のみの計算式だと、例えば23456と24356などの同じものが重複カウントされたままのため、その分を分母(5×4×3×2×1)で割って調整しなければならない。
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(例題3)
Tパット以上と9xxx以上のドローハンド(A・K・Q ・Jを1枚チェンジ)でオープンレイズする場合、オープンレンジの割合はレンジ全体の何%であるか?

Tパット以上でレイズすると言った場合、Jハイ(ロー)はマックしなくてはならないということに注意して頂きたい。仮にもJローをマックしないというならば、それはJパットでポットに参加するということを意味するであろう。

では、パットハンドとその場合の数を列挙してみよう。

7-5(1通り)、7-6(4通り)、8-5(1通り)、8-6(4通り)、8-7(10通り)、9-5(1通り)、9-6(4通り)、9-7(10通り)、9-8(20通り)、T-5(1通り)、T-6(4通り)、T-7(10通り)、T-8(20通り)、T-9(35通り)

また、ストレートを考慮して7-6、8-7、9-8、T-9からそれぞれ1通りずつを引き算することは忘れれないでほしい。そうすると、合計で7パットは4通り、8パットは14通り、9パットは34通り、Tパットは69通りとなる。これらの数字はショートカットとして今後役に立つので覚えておいてほしい。

次に、ドローハンドの組合せ(場合の数)を数えなくてはならない。5xxxxは1通り、6xxxは4通り、7xxxは10通り、8xxxは20通り、9xxxは35通りのそれぞれベースとなる組合せがあり、合計すると70通りとなる。ドローイングファクターは3+4=7であるので、これらのドローハンドの組合せは70×7=490通りとなる。

つまり、パットハンド:ドローハンド=121:490の比率ということになる。この合計611(=121+490)という数字が例題のハンドの組合せの数であり、スターティングハンドの総コンボ数は625,664通り(=611×1,024通り)となる。この数字を(レンジ全体の総コンボ数)2,598,960(通り)で割り算すると、オープンレイズの割合はレンジ全体の約24.07%ということになる。

■プリドローレンジを終えて

あなたが欲すれば、これらのバリューハンドの簡単なスプレッドシートを作成することができるようになる。そのようなスプレッドシートを使えば、何%のハンドで自分がオープンレイズしているのかを簡単に理解できる。また、スターティングハンドレンジに適切な頻度でパットブラフハンドを組み込むこともできるようになるが、それらはどちらかと言えばポストドローの議論であるため、まだ深入りする予定はない。ただし、ペアになるハンドのコンボ数は(ペアにならないハンドとは)若干異なるため、22777のようなハンド(素晴らしいブラフハンドである)は、(非ペアハンドとは違い)1,024のコンボを持たないということは忘れないで頂きたい。

(注意)
このこと(ペアハンドのコンボ数)については、(以前)1枚ドローハンドにおいてドローイングファクターの定数を3とした箇所で既に補足説明済みである。なぜそのようになるかについては3回目のコラムで詳細な検討しているので、そちらを参照してほしい。

次回のコラムでは、ポストフロップのドローハンドの分布を検討していく予定である。それはすなわち、ドロー後にどのような種類のハンドが平均して期待できるのかということと、そしてそのことが、ドロー後に自分のレンジがどのように見えるかにどう関係しているのかということである。

(第4回 完)



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