HYBE事業報告書を読んでみた~気になるところ抜粋編
こんにちは。
遅くなりましたが、4月初旬に出たHYBEの事業報告書(日本でいう有価証券報告書)と、証券申告書(日本でいう有価証券届出書)を読みました。
証券申告書は、Ithaca Holdings(ジャスティンビーバーとかアリアナグランデとかが所属している会社、スクーター氏というやり手がいるらしい)の買収資金を得るため、今回増資するのに伴って臨時で出されたものですね。読み物としてはこちらが面白かったです。
一番やりたかった各社別の売上分析はこちら。
それ以外に、今回一通り目を通して気になったところをつらつらと書きます。
注意事項
本編に入る前に注意事項を。
①今回の内容は全てHYBEの2020年度事業報告書、証券申告書をGoogle翻訳にて全ページ一括翻訳した物をベースに作成しています。そのため、翻訳が間違っていたり、翻訳過程で表がずれてたりする場合、この内容も間違っている可能性がありますのでご了承ください。また、下記の表、数値、引用は特に断りない限り全てHYBEの2020年事業報告書から転載しています。
②HYBEの会計基準はK-IFRSですが、さすがにそこまで勉強していません。日本の会計基準及びIFRSを前提に進めます。
③完全に1個人の趣味で書いてます。このnoteで投資判断等されても責任を負いかねます。
④まだ2020年12月期は「BigHit Entertainment」なのですが、社名変更はもうされたので「HYBE」として書いています。ご了承ください。
それでは、私が気になった所を順不同でいきます。
兵役について
兵役のことが一番気になるところだと思うので、まずは引用。
当社の主要なアーティストである防弾少年団は、1992年生まれない1997年生まれの現役兵入営対象のメンバーで構成されており、このうち生まれた年が最速のメンバーであるキム・ソクジン(Jin)は2022年の末日までに兵役法に従って他の入隊延期が可能と判断しています。当社は軍入隊、病気、事故などによるアーティストの活動中断のリスクに備えるためにMDとライセンス収益、映像コンテンツの売上高などのアーティストの直接の活動が伴っていない間接参加型の売上比率を持続的に拡大しており、軍入隊などの主要なアーティキュレーションストの予定された空白による売上高の減少のリスクを最小限に抑えるためのアルバム、映像などのコンテンツ事前制作、活動可能メンバーを通じた弾力アーティスト運用など多方面の事業的検討を行っています。これらの当社の努力にもかかわらず、ほとんどの売上高が専属契約を介して結ばれたアーティストの活動によって創出される当社の営業特性上収入原因アーティストの軍入隊などによる活動停止が発生した場合、会社の収益性と成長性に否定的な影響を与える可能性がありますので、投資家はこの点に注意してください。
(google翻訳で日本語が明らかにおかしい所だけ加筆しています)
こんなんじゃ何も分からない…と思うかもしれませんが、私は企業として良くここまで書いたなぁという印象です。特に「キム・ソクジン(Jin)は2022年の末日までに兵役法に従って他の入隊延期が可能と判断」と、最大延長期間を明言したところ。ここまで書くってことは、会社としては2022年末ギリギリまで兵役延ばすつもりなんだろうなと個人的には思っています。逆にいうと、企業としては決まっていないことは絶対書けないので、免除の可能性とかは口が裂けても書けません。
ちなみに、BTSは契約更新してくれたのであんまり関係なく注視してませんでしたが、契約更新出来ないリスクというのも載ってました。
定款変更
HYBEは今回の株主総会で定款変更をしたのですが、HYBEの事業目的、なかなか面白いです。(画像で貼ったので、画質が荒くてごめんなさい)
今回の変更は貸練習室の運営などのため、「不動産賃貸業」が追加されています。また、良く見ると17に旅行業とか、18に芸術学院とか、やったら面白そうなのも入っています。
ちなみに定款って、本当にそれやるの?みたいなものも書かれている会社が多いです。変更するのは株主総会開かなきゃいけないので面倒だから、作成の時に考えられる最大限を詰め込みます(もし機会があれば、お勤め先の会社の定款を見てみると意外と面白いかもしれません)。そういう意味では、HYBEは意外と無駄がない感じがします。もっと突拍子もないのがあってもHYBEならおかしくないと思えてしまう。
音楽業界Value Chainの統合と高度化
これもは、昔パンPDの講演ログで読んだ記憶があるような。
音楽業界では、アーティストとマネジメント、パブリッシャー、レコード製作者、アルバム流通、エージェンシー、公演企画、放送、広告制作者など、さまざまな参加者が存在します。当社は、これらの複雑な産業構造の中で相当部分が流通マージンに流出される産業の特性を改善するために、音楽業界ValueChainを統合して高度化する戦略を実行します
流通マージンは、失敗したときのリスク分散になるので必要コストという考え方も出来るので、BTSがブレイクするまで小さい事務所だったHYBEがこのように利益が減るのを避けるために統合戦略を取るのはなかなか攻めていると思っています。
キャッシュ・フロー
ちょっとだけ数字も。キャッシュ・フロー(CF)報告書で1年間の資金の流れが見えるのですが、ここもなかなかの攻め具合。大まかにまとめてみると下記です。
投資CF(株式購入や固定資産購入など)と財務CF(借入・返済など)が、営業CF(本業の収入・支出)と一桁違うんですよ。
何をしているかというと、増資(株式発行して資金を集める)と借入をしてお金を集めて、そのお金を全部子会社の取得に回しているんです。平たくいうと、BTSはじめアーティストたちが稼いだお金はそのままに、外からお金集めて会社買ってきてる。公正価値測定金融資産とは何かは結局特定できなかったのですが、キャッシュが流出しているということは株式等への投資とみて良いと思います。
しかもこれ、Naverとの合弁会社設立前、Ithaca買収前なんですよ、更に増資しようとしているんですよHYBEさん。なかなか攻めた経営をされているな…という印象です。
その他
ちょうど読んでいる時にtwitterにあげたのも載せておきます。
日本市場が大きいからBTSはじめK-POPや各国が重要視してくれるのに、市場としては停滞しているんですね。ストリーミング全盛になって音楽を聴く裾野は広がったかと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。
weverseの地域別データ。欧米という括りが大きすぎるのかもしれませんが(アジアも合計すると52%)、やはり人気はグローバルなのだなと思います。BTSなら、普段からI-ARMYの投稿もいっぱい見ているので実感あるのですが、TXTも同じような割合というところがびっくり。
まとめ
本当に気になった所だけ書いたのですが、事業報告書も証券申告書もどちらも情報量かすごくて、かなり読み応えあります。特に証券申告書は定性情報が多いので、ある意味読み物。
もし読みたい方がいたらHYBEの投資家情報のページから該当のものをPDF保存して、google翻訳(PDFをまるっと翻訳してくれる機能あり)すると簡単に日本語になります。意味が通らない所は該当の韓国語をpapagoで翻訳すれば大体分かります。
本当は、YGとかSMとかと比較した韓国音楽業界の分析もしたかったんですが、多分どこかの分析会社がやってるだろうと今回はやめました。
こんなことまでやるアミいるのか…と笑って頂けたら幸いです。
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