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HYBE2021事業報告書を読んでみた

今年もやってまいりました、HYBE2021年度事業報告書。2021年はIthaca買収を始め、売上も利益も過去最高益を叩き出し、順風満帆を絵に描いたような一年でしたね。

昨年、会社別の売上を軽く分析したところ大好評を頂いたので、今年もやってみようと思ったのですが。
正直、今年はあんまり面白い解説が出来ないです。2021年、HYBEはIthacaだけではなくHYBEグループ内の組織改編(子会社同士の分割・合併等)を大量にやっているのですが、このために昨年やったような各子会社ごとの収益分析や比較が上手くは出来ませんでした。ある程度作業した所で、これをnoteにするかも少し迷ったのですが、やると言ってしまったので(笑)、一応やってみます。

ちなみに昨年のものはこちら。


注意事項

本編に入る前に、毎度ですが注意事項を。

①今回の内容は全てHYBEの2021年度事業報告書(日本でいう有価証券報告書)をGoogle翻訳にて全ページ一括翻訳した物をベースに作成しています。そのため、翻訳が間違っていたり、翻訳過程で表がずれてたりする場合、この内容も間違っている可能性がありますのでご了承ください。また、下記の表、数値、引用は特に断りない限り全てHYBEの2021年事業報告書から転載しています。

②HYBEの会計基準はK-IFRSですが、さすがにそこまで勉強していません。日本の会計基準及びIFRSを前提に進めます。

③完全に1個人の趣味で書いてます。このnoteで投資判断等されても責任を負いかねます。

2021年子会社別別売上・当期純損益

まずは、各子会社別に売上と利益を見ていきます。ここから、どの部門、どのグループで利益をあげているかが大体見えてきます。ただ、上にも述べた通りHYBEは今期、分割・消滅・合併を大量にしており、単純に昨年と各社別の売上を比較するのが難しくなっています。
なので、合併・分割しているところは全て一会社にまとめた状態で比較をしてみました。なお内部取引控除前の額です。

HYBE-売上

(注)合併・分割影響のため、まとめた会社は以下
HYBE:Bighit Music、 HYBE360、HYBE IP、Superbを含む
HYBE America: Ithaca含む
HYBE Japan: HYBE LABELS JAPAN,、HYBE T&D JAPANを含む

HYBEの売上が前年比49%増、ここは主なアーティストであるBTS、TOMMOROW X TOGETHER両方とも順調に伸びてそうですし、IP関連もTiny Tanはじめ順調そうです。そういえば疑問に思ったのですが、BT21ってHYBEがIP持ってるんですかね?(書いておくと誰かが教えてくれそう 笑)。
HYBE Japanは売上前年比117%増となっています。HYBE Japanは日本のレコード・音源・コンテンツ・MD・公演・ファンクラブなど事業総括との記載があったので、やはりBTSのTHE BESTが効いているのかと。内部取引控除前の金額なので、ここは連結過程でもう少し実際の売上は減ると思います。

逆に、HYBE Americaは2021年5月からIthacaが含まれるので売上が昨年度の4倍以上になっているのですが、損失は拡大しています。元々、Ithacaは買収時点でも損益計算書は純損失だったのですが、今期もですね。アーティスト自身は活動しているし売上はあがっているのに損失というのは、あまりよろしくない兆候です。ここはどうするのか。。

seventeenとN’UESTのPledisは売上は伸びていますが利益が昨年度より減少しているのが気がかりです。HPを見ると所属タレントが他にもいるので、その分スタッフも多いのでしょうか。Source Musicは5/2にLe sserafimがデビューしているのでこれからで黒字転換を目指すのではないかと思っています。

ちなみに、アルバム売上は業績資料に主力4グループの資料がありました。純粋な音盤だけではなく音源のTEA、TSA換算も含まれています。GAONチャートのデータなので日本向けCD販売は入っていないと思われます。

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BTSは実質的に今期シングル1枚と日本向けアルバム1枚なので、多少下がったとはいえやはり2021年7.4百万枚と突出していますね。SEVENTEENが3.7百万枚、TXT、ENHYPENも順調に伸びています。
特にENHYPENがTXTを今期は追い越しています。TXTはフルアルバム1枚とリパッケージアルバム1枚、日本向けアルバム2枚に対し、ENHYPENはフルアルバム1枚、ミニアルバム1枚、日本向けシングル1枚なので、枚数的にはそう変わらないんですよね。(あとデジタル音源は両者ともあり)
ENHYPENのフルアルバムが音盤ミリオン突破しているのでその影響が大きそうです。MOA次のカムバ頑張ろう(Twitter見てる方はお気づきだと思うのですが、筆者は最近強火のMOAです)。

種類別売上

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次に、HYBEグループ全体の種類別売上です。
収益の柱は3つ「アルバム売上」「MD&ライセンス」「コンテンツ」で、これで今期売上の85%を占めています。音源&音盤とグッズ、映像コンテンツがきちんと売上の柱になっている、音楽系芸能事務所にとっては理想的な状態です。

まず目立つのが「コンテンツ」の370,380百万ウォン、今期3倍の売上増加!オンラインコンサート売上がここに入っているので、コロナ影響で突発的に始めざるを得なかったオンラインコンサートが順調に収益の柱になったことが分かりやすく数字に表れています。今期はアルバムを抜いてコンテンツ売上が種類別の1位なのも驚きです。

パフォーマンスはオフラインコンサートの売上なのですが、やっと2021年に動き出しましたね。ここも2019年と比較すると売上規模的にはまだまだですが、昨年から比べると大きく伸びています。BTSのLAコンと年末の2022 Weverse Conがここに入っているかと。2022年度はここがかなり伸びていくことに期待です(そして早く日本コンサートを!)

その他のカテゴリーについても、業績が良かった昨年度から売上が下がったカテゴリーが一つもないのがHYBEの今の勢いのすごさだと思います。勿論、Ithaca合併で売上が単純に増加した部分もありますが、カテゴリー別を見るとやはりBTSが売上をけん引した部分が大きそうな気がしています。

ENHYPEN事業の伸び率

次は、少し話が変わってENHYPENの事業成長を少し。ここ、今回私が気になっていた部分。
というのも、ENHYPENの所属するBELIFT LABはCJ ENJとHYBEの合弁会社で、親会社はCJ ENJなんですね(多分ENGINEさんには当たり前だと思うのですが、私はつい最近まで気づいていなかった・・)
このことがHYBEの連結財務諸表上どういう影響を与えるかというと、HYBEの売上にはENHYPENの音源・音盤等は含まれず、特別損益項目の「持分法損益」に利益分のみが載ることになります。

で、そのBELIFT LABの持分法損益が今期大幅に伸びているのも記載されています。下記はBELIFT LABの主な損益項目です。

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今期売上高が約7倍に増加し、営業利益が黒字化しました!デビュー2年目にしてしっかりと利益をあげられるグループとなったことが確認できましたね。さすがです。

新規事業等の展望

さて、数字以外についても、気になったところについて徒然と書いていきます。
まずは、新規事業等の展望の記載がありました。

・NFT事業進出の本格化
・オリジナルストーリー事業を通じて独自のストーリーIPを直接企画、開発しそれに基づくコンテンツを披露。オリジナルストーリーにHYBEのアーティストをキャストする概念
・ゲーム事業拡大。2021年上半期発売を目指してBTSのゲームを開発中

ゲーム事業は最近発表がありましたね。オリジナルストーリーは今やっているものでしょうか。前の会社説明会で女性グループのストーリーについても言及があったかと思うので、Le sserafimがここに当てはまるのでしょうか?今年はどんな新しい世界を見せてくれるのだろうと期待ばかりです。

収益認識

年末にtwitterで呟いたのですが、意外と皆知らない「HYBEはどの時点で売上を認識しているか」という話。これもHYBEの証券報告書にしっかりと書いてあったので要約抜粋します。

・商品の販売:顧客に商品が引き渡される時点で売上認識
・サービスの提供(公演・放送出演):公演・放送が終了した時点で損益認識
・ライセンス:ライセンス付与時点での使用権利に応じて、ライセンス期間全体で按分して認識または付与時点で⼀時に収益を認識。

これがファンにどんな関係あるかというと、例えばグッズ販売。HYBE、グッズ予約してから配達されるまでものすごい遅いじゃないですか。忘れた頃にやってきたーと言っている人、良く見かけました。

そして、年末に続々と商品が届きましたよね。
売上を計上するためには「顧客に商品を引き渡す」ことが必要なので、2021年度の売上とするために一気に年末に発送された・・と思ってみると、意外と身近な所に会計のからくりがあることが分かって頂けるかと思います。

事業報告書と証券報告書

最後に本題から離れますが、これも、フォロワーさんと話していて「その業界を知っている人には当たり前だけど知らない人が意外と多い」と言われたことを追加しておきます。
実は昨年は今年と同じ「事業報告書」(日本では「有価証券報告書」)の他に「証券申告書」(日本では「有価証券届出書」)がHYBEから提出されていました。
この「証券申告書」の方に、兵役の話とかコンサートの話とか、HYBEにおけるBTSの売上占有率とかが書かれていたりして、かなり読み応えのあるものでした。が、今年はこの「証券申告書」は提出ていません。

この「事業報告書」と「証券申告書」、何の違いがあるかというと。
事業報告書は、上場会社は年に一回決算の時に必ず出さなければいけない、会社の財政状態と損益を報告するレポートです。
一方、証券申告書は会社が新規に株式を発行したりする場合に、投資家に対し企業の状況を知らせるために発行されるものです。なので、証券申告書の発行は不定期、特に何もイベントがなければ発行されません。

それではなぜ昨年証券申告書が発行されたかというと、Ithaca買収の軍資金を得るため、HYBEが株式による資金調達をしたからです。ちょうど時期が事業報告書の時期と被っていたので今年も期待していた方がいるかと思うのですが、今年はありません。というかまたHYBEが大きい投資をするために株式新規発行とかやり始めない限り出てこないと思います。

まとめ

だらだらと書いてしまいましたが、2021年度はHYBE増収増益バンザイ、2022年度の予想も各証券会社から出ていましたが、それも安泰の見立てでした。この勢いはどこまで続くのか、次は何を繰り出してくるのか、楽しみでしかありません。色々と細部の管理不足が露呈したり、グッズ不良が多かったりと1ファンとしてはやきもきする場面もありますが、これからもこの勢いのままで是非行って欲しいと思います。

以上、終わり!

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