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特別じゃないリモートワークをするチームがやってきたこと

この記事は Engineering Manager vol.2 Advent Calendar 2019 の 22 日目の記事です。

初めまして、@miuranobuak です。
3 月に笑屋株式会社に入社して VPoE として働いています。

初めてのアドベントカレンダー参加 & 初めてのブログという、
今振り返ってみても「よくその状況で参加しようと思いましたね」って感じなんですが、ちょっとトライしてみます。

ちなみに画像は長野でサイクリングした時の画像です。どれだけ頑張っても一緒にきた人に追い付けなかったので記念に撮った一枚です。

リモートワーク良いよね

最近、リモートワークやってます って会社さん増えましたよね。
僕も好きです。リモートワーク。通勤ラッシュで体力をごっそり持っていかれることもありませんし、ついついハッスルして長めに働いてしまっても、数秒以内にベットにダイブすることができます。(もっと他にもある)

一方で、リモートワークは難しいっていう話もよく聞きます。
コミュニケーションとかとか、なんか色々ありますよね。こんな話題でブログを書くくらいなので、笑屋という会社でもリモートワークを取り入れているんですが、最近、リモートワークで課題感を感じないなーと気付いたんですね。

リモートワークがなんでうまくいっているのか振り返ったことがなかったので、振り返りの記録として、その辺りのチームとやってきたことを書いてみようと思います。

先に結論を書いておきます

リモートワークのために行ったことをまとめておきます。

・実はそれリモートワークの問題じゃないってことを解消する
・リモートワークの期待値を合わせる
・リモートワークを手段化して、学習計画を立てる
・必要な「金」と「知識」を用意する

コンテキストの共有

本題に入る前に、コンテキストを共有しておく必要があると思いますので、書いていきます。

僕の社内での役割
僕の役職は VPoE なのですが、いわゆるマネージャーとして、開発部のマネジメントをしています。なので、リモートワークなどの働き方という点についても僕が責任を持っています。いわゆる決定ができる立場です。

リモートワークの経験
僕自身がリモートワークについて、経験豊富な人間ではありませんでした。
以前に所属していた会社で若干の経験ありましたが、週 1 回とりあえずやってみようという感じでした。

チームの規模
チームメンバーは入社当時は 7 名でしたが、現在は開発者 4 名になっています。平均年齢が 29 歳のとても小さなチームです。なので、大規模なチームに比べると色々なことを進めやすい部分はあると思います。

メンバーのロール
全員がバックエンド、フロントエンド、インフラなど全ての分野を担当しています。

リモートワークを含む労働環境
リモートワーク自体は僕が入社する前から実施していていました。
フルリモートという縛りはなく、「オフィスに来て働いても構わないですよ」くらいのスタンスでやっています。あとは、フルフレックスで働いています。

開発
新規プロダクトの開発を行なっています。
Scrumで行なっていて、今はフルタイムのモブワークになっています。
機能の実装にしてもコミュニケーションを通して知識、経験を結集して良いものを生み出していく状態をチームに求めています。

実はそれリモートワークの問題じゃないってことを解消する

入社当時のチームは非常にコミュニケーションが少ないチームでした。
聞きたいことがあってもどう聞いたら良いのかわからない。みんながなんとなく距離感を計っているような感じでした。

その対策のため、毎日 1 時間コミュニケーションを行う時間をとっていて、Whereby (旧appear.in)  で繋いでいましたが、その時間の会話も散発的でみんな黙ってキーボードを叩いているという不思議な時間でした。良い思い出です。

この光景ってリモートでなくても、出会う機会は結構あるんですよね。
オフィスにいても喋らない人たちは喋らないし、ふりかえりが葬式みたいになってしまうなんていう話もよく耳にする話題な気がします。

ただ見ていて一つ違うと感じたのは、リモート環境は 複数人が同時に話すことに向いていない ということでした。発話のタイミングで意図せずに相手の話を遮ってしまうので、タイミングを図るのは異常に難しいように見えました。ただ、それ以外は普通のコミュニケーションの構造の問題と変わらないんじゃないかなーと。

僕はプライベートでポッドキャストをやっているんですが、その場で何か喋ってくれと言われればおそらく平均以上に話すことができる気がします。
ですが、「今から 1 時間フリートークをお願いします」と言われてもパッと喋れる気がしません。

ポッドキャストの収録では「今からどんな話をするか」「どんな流れで進めるか」みたいなことをある程度決めてからはじめます。話すことにある程度慣れている人間でもキッカケは作ってから始めています。

なので、色々と試してみました。本当はもっとやっているかもしれませんが、思いつくものだけ書いていきます。結果的に数週間でこの状況は解消できたのでそんなに間違っていなかったのではないかなーと思っています。

ただ、一つ注意しないといけないことがあると思っていて、自分が一人が勝手に始めてもあまり意味がないということです。チーム全員で課題を認識して、一緒になって色々と試していくという状態を作る必要があります。その上で、まずは自分がやることが重要です。

■ 試したこと
・自分が司会者(質問者)になる

  → 発話の交通整理を行う
   「〇〇さん、お昼何食べたの?」
・雑談の話題を用意しておいてもらう
  → キッカケの種類を作る
   「〇〇買ったけど、めっちゃ良かった!」
・仕事の話をする
  → 困ってることを聞ける場
   「〇〇の実装で迷ってるんですよねー」
・他部署の話をする
  → 会社全体のことをしれる場
   「大型案件きてるらしいよ」


なんとなくこういうことを書くと、「いや、それをやったところで話してくれないですよ」みたいなことを言われそうな気がするんですが、それこそリモートワークと関係無い 関係が構築できていないとかの話な気がするので、一生懸命にその課題に対して取り組むしかない気がします。

兎にも角にも、一つ一つ課題を解決していくのが大事だと思います。

リモートワークの期待値を合わせる

リモートワークをしたいという人の多くが 自由な働き方 を求めている気がします。僕自身その一人です。

時間や場所への依存を極限まで排除して、多くの人が働きやすい環境を提供することでチームや組織の人たちが楽しく働くことができる。そして、より良いパフォーマンスを出せると信じています。

しかし、リモートワークにおける自由の解釈を統一することなく主張し合うことですれ違いが起こり、不幸な状態になっている気がします。

僕らのチームでは、sneek というツールを試したことがありました。
複数拠点やリモートワークのコミュニケーションを支援するツールです。

リモートワークの時に気軽にコミュニケーションを始められないという課題に対して、じゃあ試してみるかといった感じで始めたものでした。

これをしばらく運用した時に、メンバーから「監視されているようで嫌だ」「(見た目的な)気が抜けない」というような意見があがりました。

なるほどー。そういう風に感じることもあるのかもしれないなーと思いながら聞いていたのですが、その話題の中で「せっかく、リモートなのに」という言葉が出てきて、これがなんか引っかかり、チームとリモートワークの話をしたという思い出があります。

個人的な意見としては必要がないものは、オフィスだろうが、リモートであろうが関係なく、やらなくて良いと思っています。ですが、出社するとしたら、当たり前にやることがリモートだと免除されるなんてことはあり得ないと考えていました。

もちろん、「自分の部屋を常時写されるのが嫌だ」とか「自宅なのである程度気を抜いた格好でいたい」といったものはプライバシーや本質的に仕事に不必要な問題であったりするので、しっかりと考慮すべきだと思います。

ただ、出社したら監視の意図を問わず周りの人に自分の仕事を見られます。コミュニケーションも発生します。作業のインターセプトも発生します。それはリモートワークであろうが必要だったらやる必要があると思っていました。

でも、話してみるとそれぞれちょっとずつズレがあるように思いました。
つまり、期待値と希望のすり合わせがきちんと出来ていなかったんです。

これがズレたままでリモートワークを運用すると、過大解釈をしてしまったり、チーム内で不公平であると感じるメンバーが出てきてしまいます。

また、各メンバーごとに生活の状況が違うので、あるメンバーは特定の部分においては貢献が出来ないということも起こりえます。そういった場合どうやっていくのかも考える必要もあります。

こういった前提を元にして、最大限自由な働き方をチームと一緒に考えるという機会が必要なんだと思います。
ちなみに、その後は不思議とリモートワークだからやらない(出来ない)ということが減っていきました。メンバーによって貢献の仕方に違いがあることも受け入れられるようになったように思います。

もちろん、組織ごとに求めることが違いますし、同じチームであってもフェーズによって変わっていくものなので、永遠に調整し続ける必要があると思います。

リモートワークを手段化して、学習計画を立てる

完全に主観なのですが、オフィスでやっていることのほぼ全てがツール化されている気がしていて、やろうと思えば全てリモートワークでできる時代だと思います。

しかし、論理的に可能だからコストを無視して実行はできません
ツールに慣れていないせいで、アナログなら5秒で終わるタスクに数分かかるなんてことは容易に想像できますし、仕事の難しい部分の多くは複数の人間で行われます。仮に一人だけ実行可能でも意味がないことが多いと思います。

なので、現時点のチームの熟練度において 向く/ 向かない作業というのが適切な表現だと思います。

これをしっかりと認識し、この前提の上でこの作業をリモートワークが効果的かを考えて選択する手段化ができている状態が、リモートワークがワークするということな気がします。

現在のチームメンバーは全員が出社可能なため、計画を立てるタイミングで出社とリモートのどちらが良いかも含めて判断しています。
個人的には、IDEやエディタを選択するみたいな感覚に近いような気がしています。Javaを書くならIntelliJ IDEAがいいなー、TypeScriptはVisual Studio Codeかなー、みたいな。(違うかもしれない)

ただし、メンバーが出社不可能な遠隔地にいる場合に関しては、現時点では上手くできないことの熟練度をあげる取り組みをしていかないといけない可能性が高いです。もちろん費用にもよりますが、きてもらった方が良いのであれば出社してもらいますが、多くの場合、数多くのツールを試したり、使い方を工夫したりする時間を含めて計画する必要があります。

以前にチームに遠隔地のメンバーがいた際には、毎日試行錯誤をして1ヶ月以内には違和感なくタスクに対してのリモートワーク環境ができていたように思います。

マネジメントにはこの辺りのリモートワークを効果的にする投資を計画するバランス感覚が求められるのかなーと思っています。

すごい根本的な話なんですが、僕らが本来やらないといけないのは、リモートワークではなく、プロダクト開発であったり、サポートであったり、セールスだったりするので、そこの目的達成を第一に考えた上での対応をしなくてはいけません。

その上で、働きやすさと共存可能な場所がないかという問いを投げかけて、可能な限り実現するというのが大事なので、その思考の順番が逆転しないように気を付けないといけないと思います。

必要な 「金」 と 「知識」 を用意する

今までは考え方とかソフトな部分の話をしてきましたが、最後にめちゃめちゃハードによった話をしようと思います。

リモートワークの質をあげようとすると間違いなく金がかかります
理由は、多くの場合、コミュニケーション手段にビデオカンファレンスのシステムを利用するためです。

Slackなどのチャットツールで完結すれば良いじゃん!という方もいるかもしれませんが、多くの場合、チームメンバーの全員が文字だけのコミュニケーションで適切に情報を伝えられる & 読み取れる状態にはなりません

もちろん、文字で伝える努力をしなくて良いわけではありません。むしろ積極的に努力すべきで、将来的には多くのことがチャット上で完結するようにすべきですが、コミュニケーションという目的に対して、手段であるチャットツールに固執する意味はありません。

その点、会話であれば比較的上手くできる傾向があります。しかし、ノイズまじりの音質での会話となると非常に大変な作業になってしまいます。

個人の環境であればPCの標準のマイクで上手くいくケースもありますが、オフィスで働いているメンバーと繋ぐとなると色々と必要になってきます。また、高度な専門知識は必要ありませんが、ある一定の音響機材の知識が必要になります。

前述しましたが、個人的にポッドキャストをやっていることもあり、この辺りの知識を持っていたので、色々なことを改善しました。

これはマネージャー自身ができなくても良いことだと思います。
音楽を趣味にしている人がチームにいれば、その人に任せてしまうとかで十分解決できます。ただ、マネージャーが自分ごととして向き合わないと改善が難しいものもあります。(金とか) なので、積極的に関わっていくべきだと思います。

僕らのチームは比較的安価に音質の向上を達成できたので、
具体的にどんな環境で行なっているのかを紹介しようと思います。

ビデオカンファレンスシステム
会社でG Suiteを契約しているので Meet 利用しています。
Googleカレンダーの予定に自動的にリンクが作られるので、どこでやってんだっけ?みたいなことがなくて便利です。

ちょっと前までは画面分割(接続している相手を写すやつ)が微妙だったんですが、今はそれほど多くならなければ全員の顔を見ることができます。

音質的にはzoomの方が優れていると思いますが、音響機材の影響の方が大きいので、そっちがちゃんとしていれば全く問題ないです。

個人の音響機材
個人の環境(自宅)は各自に任せています。
周りが騒がしい環境でなければ、イヤホンかヘッドホンをしてつないでくれれば、それほど問題になることはないと思います。

騒がしい環境の場合、指向性のあるマイクを用意することをお勧めします。
1,500円くらいで売っているUSBのヘッドセットでも十分です。

オフィスの音響機材
オフィスの場合、ある程度騒がしかったりするので、音質を担保するために色々と準備しないといけません。

ちなみに、同じような場所にいてビデオカンファレンスシステムを利用する場合に限った話になります。お互いの声が届かないくらい離れている場合は、リモートと同じような環境で問題ありません。

まず複数のPCから音声を繋いではダメです。
繋ぐとしても顔見せるためにカメラのみを利用して、マイクとスピーカーの両方をミュートします。音声は一つのPCからのみ入出力するようにします。

やってみるとわかるのですが、複数台でビデオカンファレンスシステムに接続すると、周りにいるメンバーのPCから自分声が拾われてしまい、自分の発話の0.5秒くらい後にスピーカーから自分声が聞こえてきます。この状態でしっかり会話できる人はそれを特技であると履歴書に書いて良いと思います。

ハウリングが発生する可能性もあるので、音声の入出力は一つのPCで行います。

機材については、スピーカーマイクは利用せずにダイナミックマイクを立てています。また、オーディオインターフェースを購入して、最大で4つのマイク入力を一つのPCから発信しています。それぞれのマイクの出力を調整できるので、音量のばらつきも調整できます。

マイクはダイナミックマイクを利用しています。カラオケにあるような一般的にイメージするマイクです。スピーカーマイクは設定が楽なので、可能なら使いたかったのですが、音質面で圧倒的な差があり、諦めました。

ちなみにダイナミックマイクはそれが良いからというよりは、たまたま自宅に転がっていたので使ってみたら良かった感じです。
利用しているマイクはこれです
マイクの中では安価ですが、十分な音質で会話が可能です。

カメラ
あまりこだわっていません。PCに付属のやつで十分です。
オフィス環境には多くの人を写すためにWEBカメラがついていますが、非常に安価なものです。

唯一、オーディオインターフェースがちょっと高いのですが、3万円もあれば十分に快適な環境を作れると思います。

最後に

なんか割とガッツリな量になってしまって引いています。
でも、前提の説明や補足が足りないんじゃないかと感じていたりもするので、ブログって難しいなーと思いました。

そしてエンジニアリングマネージャーの話になっていない気がしてならない。そこは、まあ良いか。

個人的にリモートワークの難しさって言われるものが、整理してみるとリモートワーク自体とはあまり関係ないところにあって、それがリモートワーク特有の問題とごっちゃになってしまって、複雑になってしまっているんじゃないかなーと思っています。

もちろん、僕の経験してきたことが全てではないので、実はもっと難しい問題があって、それに直面していないだけなのかもしれないです。
でも、限定的な成功事例の一つとして誰かの参考になったりしたら良いなーと思っています。

この記事を読んで、「いやいや、違うやろ!」とか「もっといい方法あるで!」みたいな方は是非お話を聞かせてください。そしてパクらせてください。よろしくお願いします。

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