座位スキルが向上し,手支持が必要なくなるとモノを見る・探索する頻度が増える(Sitting skill and the emergence of arms-free sitting affects the frequency of object looking and exploration)
【要旨】
座位が発達すると赤ちゃんがモノを探索する量が変わる.手をフリーにして座れる赤ちゃんは手を探索に使えるので,手支持に頼る赤ちゃんに比べて効率的に環境を探索できるだろう.本研究では座るのに手支持が必要な赤ちゃんと必要でない赤ちゃんで,どれぐらい目や手によるモノの探索が量的に異なるのかを調べた.姿勢を自分で変えることは出来ないが手を使って,または手を使わないで座れるようになった7ヶ月未満の赤ちゃん(n=31)を対象とした.赤ちゃんを開始時の状態でグループに分けた:手支持が必要(n=17)または不安定でも手支持が不要(n=14).3回の訪問(ベースライン,3週間後,6-8週間後)にて赤ちゃんの粗大運動スキル,座位スキル,モノを見る探索する様子を評価した.赤ちゃんの粗大運動スキルと座位スキルはGMFM-66のトータルスコアとGMFM-88の座位項目のスコアを用いて評価した.訪問時に赤ちゃんが座るのをサポートしながら,モノを見る・探索する状態を3個のモノを使った一連の探索課題と(わずかに改変した)Early Problem Solving Indicatorの得点を使い評価した.手支持が必要な赤ちゃんと不安定でも手支持が不要な赤ちゃんでモノを見ること・探索すること,この2つの行為の頻度がどのように異なる軌跡を描くのかをlongitudinal multilevel modelingにて調べた.手支持が必要な赤ちゃんは最初こそおもちゃを探索する頻度が低かったものの,そこからは手支持が不要な赤ちゃんに比べて早い割合で探索が高くなっていった.座位スキルから見ることの発達における小さな変化を予測することが可能である;双方のステージおよびスキルから探索の発達における変化を独自に予測することができる.これらの知見から,一人座りの,手支持が不要な座位の獲得により,赤ちゃんがモノを目・手で探索するやり方が変化することが示唆された.