定型発達児における座位での上部体幹協調の発達(Development of upper body coordination during sitting in typically developing infants)
【要旨】
私たちの目的は定型発達児がどのようにして胸郭・骨盤の活動を組織化し,協調して独座姿勢を獲得するのかを特定することである.参加者は定型発達児10人で,最初に座位を始めてから独座までを縦断的に評価した.各々の乳児で9回のセッションを行った.最初のセッションではPeabodyテストによる運動評価を行った.他の8回のセッションは4ヶ月間かけて行われ,各セッションで座位を胸郭・骨盤の角運動学(angular kinematics)により評価した.各セッションでは理学療法士が座位を評価して5つのステージに分類した.胸郭・骨盤の相関係を一元配置分散分析(one-way ANOVA)により縦断的に解析・評価した.発達に伴い,乳児は胸郭と骨盤との間で同位相(同じ方向に動く)から逆位相(反対方向に動く)へと協調的な関係が発展していった.この変化は運動の矢状面・前額面ともに明らかであった.臨床的にこの関係は重要で,なぜなら乳児の座位姿勢の発達を定量化する方法を提供し,運動発達遅滞を伴う子どもへの早期介入の効率性を評価するためにも用いることが出来るからである.
【本文補足】
座位の5つのステージとは以下の通りです.
1. 手支持ありの座位(prop sitting)
1.5 一時的に手支持を外すが元に戻る(transition-moves briefly out of prop sit, but goes back to it)
2. 安定しない,約10秒の座位(variable, about 10s of sitting)
2.5 完全なステージ3ではないが,もはや10秒以上の座位をとれる(not solid stage 3, but longer than 10s of sitting)
3. 手支持を必要とせず常に起立位で座位をとれる(sits upright all the time-doesn't need hands)
同位相,逆位相の略図です.シンプルに言えば,同位相では胸郭・骨盤が同じ方向に動き,逆位相では胸郭・骨盤が逆方向に動くということです.
【私見】
臨床的には当たり前のことでも,こうして1つずつ確認していく作業は非常に大切だと思います.
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