歩行開始時の姿勢調節の発達:運動学的および表面筋電図による解析(Development of postural adjustment during gait initiation: kinematic and EMG analysis)
【要旨】
著者らは運動学および表面筋電図の解析を用いて子どもの歩行開始における姿勢調節の発達を研究した.参加者(N=28)は歩行経験が1-4ヶ月および9-17ヶ月の乳児,4-5歳児,そして成人である.予測的姿勢制御(APA)は最も幼いグループでも見られ,予測的な骨盤の側方傾斜および下肢支持が明らかに見られ,それにより子どもは対側の下肢が遊脚相に入る前に荷重を除くことが可能となっていた.立脚相では踵離地の前に股関節外転の予測的な活動が見られ,これは骨盤の安定に働くと示唆される.APAは4-5歳児までは一貫して見られるわけではなかった.分節的な動揺は年齢を経るごとに徐々に減っていき,歩行開始の姿勢相(postural phase)における前額面・矢状面での分節間協調が向上していることを示している.歩行する幼い子どもは身体の上下肢ともに含むAPAを示していた一方で,4-5歳児は成人と同様に骨盤と立脚下肢の側方偏移のみが可能であった.最も年齢の高い群の子どもと成人とは股・膝関節筋群が低い活動であるとともに足関節レベルの高い活動を示した.これらの運動学的・表面筋電図による結果はともに身体全体の操作から成熟,歩行経験,または双方を通じて多関節操作へと明確な発達過程を経ていることが示唆される.
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