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お金よりも、愛よりも、大切なもの

大竹しのぶが幸先短い老人の後妻になり財産を奪い取る女性を演じる「後妻業」という映画を見た。

主人公や片棒を担ぐ結婚相談所の所長やその愛人たち、さらにはふたりの悪事を暴こうと探る探偵も、目的は結局、お金である。

そのお金で何をしたいのかというと、ブランドものや装飾品を買い漁ることであったり、若い女とセックスすることであったり、だからどんなに大金を手にしても満足することなく、次のターゲットに手を伸ばす。

もし、本当に愛する人ができたら、そんな騙し騙されの生活にピリオドを打ち、平穏な余生を送ることができるかもしれない。

しかし、そんな機会は訪れそうもない。

何より「愛」を与えられずに育ったので、愛することもできないのかもしれない。

けれども、愛よりも大切なものがあるかもしれないと、最近、私は思うようになった。

それは「自分が自分らしく生きること」あるいは「やりがい」と呼ばれているものだ。

主人公が、騙そうとする男が自分の虜になるのを感じるとき、瀕死の男を楽に天国におくってやるとき、確かに「やりがい」を感じていたのだろう。

その感情を味わうために「後妻業」を続けているのかもしれない。

多くのキャリアウーマンが、愛する人との結婚を諦めるとき、その大きな原因に、好きな仕事を辞めて「自分らしくない生き方」を迫られることにある。

物語の終盤で、被害者の娘、おそらく恵まれた少女時代を過ごし、親の認める相手との結婚生活を送っている女性が「受け身の人生を送ってきた私には彼女が羨ましく思える」というようなことを言っていた。

それは、この仕事をする前の私の姿にも重なって見えた。

昨日はお休みでしたので、有料部分はありません。

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