新幹線小話

久しぶりの関東。
新幹線の2席並びの通路側に座る。
窓からの光が強かったので隣の人にちょっと閉めてもらってもいいですか、と

その女の人はたぶんあまり閉めたくなくて、
けど少し下げてくれた、、というかその腕にびっしりためらい傷が、しましま模様のごとくあって おお、、ってなる 何もみていない私は分厚い英文法の本に集中する
ちょっとしたら彼女が何か言いたげに動き、
落ちて私の足元に転がってきたペットボトルを私は拾い、彼女の机に置く 久しぶりに何かに気を使う 穏便に旅したい 彼女はうるせぇと吠えた あんまり気にしてなかったのだが後方で幼児がグズって癇癪を起こしていた 子供は泣き止まない 少し耐えていた彼女はもう一度吠えた後ドアのスペースに出ていき座り込んだ 
そしてなかなか泣き止まない子を気にした親が周りを気にしてか、そのスペースに向かい、ドアが閉まりこもった泣き声が遠くなる
そっちはまじでダメよ、、彼女が泣き声を避けてそっち行ってるのよ、、と分厚い英文法を読みながら心の中で思うも、
一人になった席でほっとしている自分

静岡辺りでタバコの匂いを纏わせながら彼女が戻ってきた いつしか子も静かだ
閉め渋った車窓に富士山が映り写メを撮る
彼女も大変だよな 隣のやつは窓閉めてっていってくるし、後ろのやつは爆泣してるし

富士は全てを和やかに列車旅の終わりをしめてくれた 往路やけど


 

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