そんな…夢をみた

ひどく寂しい夢をみた
内容は覚えてないけど
『寂しい』という感情だけが強く残ってる

寂しさに身が引き千切られる思いだった

でも寂しい・悲しいときに
ヘラヘラと笑ってしまうのは私の癖だ
「大丈夫、平気だよ」って私は口にするのだ

気づいてほしいけど、気づかれたくない

だって、気づいてほしい君は、鈍感だね
私の「大丈夫」に
君は「良かった」って安堵するんだ

その度、泣きそうになるのを
ぎゅって我慢した



ごめんね…
「良かった」の後の君の話
なんにも頭に入ってこないんだ

涙をこらえるのに必死で…

素直に「寂しい」って言えなくて、ごめんね

君がこっちを見て話してくれてるのに
勝手にひとりぼっちになって、ごめんね

君の声がだんだん遠くにいって
私はよどんだ水の中に少しずつ沈んでいくようで

足に藻(も)が絡まってるみたいに
もがけばもがくほど、どこまでも沈んでいく



どれだけ時間が経っただろう
私の中から出しきってしまった酸素をとりこむように、やっとの思いで水面から顔を出せば

君の姿はどこにもなくて…

私は、本当にひとりぼっちだった



君を失う夢をみた

心は驚くほど静かで
だけど、涙はとめどなくあふれて
私は、声をあげて泣いていた

「大丈夫?」と
優しく声を掛けてくれる君は
もう、いないのに

泣いて、泣いて、声も枯れて、涙も枯れて
それでも私は泣き続けていた

嵐の海のようで
でも、心はどこか凪(な)いでいた

いつまでも夢から覚めなくて

それがまた悲しくて
ずっとずっと悲しくて
悲しいが終わらなくて

わずかな時間なのか、長い時間が過ぎたのか
君の声も、顔も、ぼんやりとも思い出せなくなった



ただ『悲しい』という感情だけが強く残ってる





《ここから先を読むかはお任せします》


ひどく悲しい夢をみた
内容はよく覚えてないけど
目覚めてからも悲しくて涙がとまらなかった

子供のように泣きじゃくる私に
君は心配そうに、そして優しく言ったんだ…



「大丈夫だよ」って

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