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ネガティブの扱い方

昨日読んだ記事が心に刺さったので、いつかどこかに書こうと思っていたことを交えつつ、読書感想文を書いてみようと思う。

生まれ育った家庭環境が良くないと、家庭に夢を持てず結婚をしたくないと思うタイプと、自分が築く家庭はあたたかいものにするぞ!と思うタイプに分かれる。と思う。

わたしは後者だった。
家庭環境が特別悪かったわけではないものの、あまり両親との仲も良くなく、高校を卒業するとそそくさと親元を離れ上京した。今も実家には両親と一緒に弟が住んでくれているので「もう家のことは任せた!」という気持ちでいる。

というわけで、若い頃から結婚願望も子どもを持ちたい気持ちも強いほうだったけれど、人生というのはなかなか希望どおりに進むものではなく、アラフォーと呼ばれる年齢になっても未婚のままだったし、40歳まであと数週間というところで病気が発覚してしまった。

検査をすると、わたしは抗がん剤が必要なタイプであるとわかった。
抗がん剤は正常な細胞にも攻撃をしてしまうので、年齢とともに衰えているであろう我が生殖細胞たちもさらにダメージを受ける。そのため、抗がん剤を行う予定で今後妊娠を希望する場合には、妊孕性温存を行ってから治療に入ることができる。
※ 妊孕性温存を行わずすぐに治療に入る必要があるケースもあるし、もちろん温存したからといって妊娠できることが確約されるわけではないけれど、その辺の話は省きます。

あれだけ憧れていた自分の家庭や子ども。だけどわたしは妊孕性温存を行わないことを選んだ。Xにはこんなポストをした。

治療の前に卵子凍結もできるみたいなのだけど、その対象となる年齢ギリギリみたい。そもそも妊娠が年齢的に難しいだろうし、彼とも別れちゃったし、普通の治療だけでいっぱいいっぱいだろうし、これやるとさらにたくさんお金もかかるし。だから妊孕性は諦めることにした。
でもわたし実家の家族とあまりうまくいってなくて、自分で家族を築くことが若いときからの夢だったから、ほんとはとても悲しい。子どもがいなくても幸せに過ごすことができるのはわかってるんだけど。でも悲しい。
かわりに友達の子どもたちをたくさん愛でよう🥺

正直なことを言うと、病気発覚後、最初は赤ちゃんを見るのがちょっとつらいときもあった。けれど、時間とともにその気持ちは落ち着いていった。友人の子たちはとてもかわいくてかわいくて、友人宅にお邪魔して子どもたちに一緒に遊んでもらうのは本当に楽しいし、心が潤った。

そして、友人の子ではないのだけど、勝手に心の中で愛でているのが、冒頭に紹介した記事を書いたさえりさんの息子さんだ。

夏生さえりさんは現在、脚本家、エッセイスト、その他もろもろでご活躍されている方なのだけど、昔Twitterで綾野剛妄想ツイートをされていた頃からのファン。
(ちょうど今の季節にちょうどいい記事剛見つけたので載せておきます🎄はー、心が潤うわーー。笑)

Instagramでは、息子のお子太郎くんやペットのお月ちゃんや旦那さまとの日常、そして日々感じたことをたくさん載せられていて、わたしは日々更新を楽しみにしている。さえりさんの息子さんを愛でているというよりも、さえりさん一家をまるごと推しているというほうが正しいかもしれない。あんなにちっちゃかったお子太郎くんが少しずつできることが増え、自分の気持ちを伝えられるようになってきて、さらに親譲りのやさしい子に育つのを見て勝手に感動し、なんなら子育てを追体験しているような気分になっている。

それくらい感情移入しているさえりさん一家についてのこの記事を読んだわけだが、読む場所を完全に間違えた。帰り道の電車で読んだのだが、こらえることができなくてぽろぽろ泣いてしまった。いや、エーンエーンした。(これはごめん、言いたいだけ。)

それは、この記事が単に子育ての話にとどまらず、読んだ人に対して「我慢しなくていいんだよ」「嫌なことは吐き出していいんだよ」と優しく伝えてくれているように感じられたからかもしれない。

大人になるにつれてネガティブな気持ちは増えるのに、大人になってもネガティブの扱い方を知らないのは、泣かないほうが褒められると思い込んできたせいかもしれない。泣くと誰かを困らせる。「明るい状態」が善で、「暗い状態」は悪いもの、と思ってしまったせいかもしれない。

共感でしかなかった。
わたしはもともと物事をネガティブに考えてしまいがちな性格で、かつそれを出すことが苦手だった。マイナスなことを言うことで周りにどう思われるのかと考えてしまい、自分の気持ちを出すことがこわかった。

それが大きく変わるきっかけになったのが病気をしたことだった。
Xで闘病アカウントを作り、同病や近い病気を持った方たちと交流をするようになった。かつて経験したことのない「いなくなりたい」「こわい」「死んでしまうかもしれない」といったネガティブな気持ちを、そこにいる多くの人が吐き出していた。

弱い気持ちを吐き出すと、自分よりも先に病気が発覚していた先輩たちに「たくさん吐き出していいんだよ」「わかるよ」と言ってもらえる。これがどれだけ心強かったことか。だからわたしも自分よりもあとに病気が発覚した人には同じことを伝えている。

みんなそうして、自分のネガティブな気持ちを吐き出して、自分の弱さと向き合っている。そして、周りに認めてもらっているし、励まし合っている。そうすることで、すこし心を強く保てる。安心して闘うことができる。

自分の弱い気持ちを吐き出せるようになったことで、もっと自分のことを理解できるようになったように思う。自己肯定感がとても低かったわたしだけれど、そして今も低めかなとは思っているけれど、病気になって自分を愛してあげようとは思えるようになった。

弱くてもいい。ネガティブな気持ちを抱いてもいい。吐き出してもいい。
自分でそう思えたらとても素敵なことだし、近くにいる大切な人にそう言ってもらえたら、きっと今より強くなれるし、すこしだけ自分を好きになれる。そして、そう言ってくれた相手のことを今よりもっと好きになれる。

「泣いてもいいよ」が息子を強くしている
なんて強くてやさしい言葉なんだろう。おおきな愛を感じた。

以上、さえりさんへのラブレターでした。

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