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〆鯖のちょっとだけ青春な話
私は、どちらかというとテンション低めな青春を送っていたと自負している。
その最たる例が、大学生の頃、富士急ハイランドへ行ったときの記憶である。
それは大学1回生の夏休み、そう、人生の夏休みの夏休みのこと。
私は友人と二人で、富士急ハイランドのジェットコースター・高飛車に乗車していた。
この高飛車、一番の特徴は最大で121度を叩き出すその落下角度にある。
滑走路を真横から見たとき、もはやレールがえぐれてしまっているのだ。
そして、えぐれている部分に落下する直前、車体が数秒のあいだ一時停止を食らう。
この時、乗車している側からは、えぐれている部分のレールが見えなくなるため、宙ぶらりんにされているような感覚に陥る。
とても怖い。
正直、落ちているときより怖かった。
そんな、寸止めを食らっているときに起きた一瞬の出来事だった。
そのとき私たちは、同じマシンに相席しているギャルたちが「きゃあきゃあ」「怖い怖い」と叫んでいる隣で、
「〆鯖、怖いんだけど」
「私だって怖いよ」
と、日常会話のテンションで思い思いに楽しんでいた。
いつ、落ちるのだろう。
秒針だけが刻まれていく。
車体はもう動き出してもおかしくない。
ふと、隣に座っていたギャルが私の方を向いてこんなことを言った。
「うるさくてすみません」
!?
そして、私たちを乗せたコースターは121度先の奈落めがけて飛び出した。
瞬間の出来事だったため、うまく聞き取れていなかったかもしれない。
しかし、おそらく、謝罪していた。
そうか、なんか、こちらこそごめん。
私たちのテンションって、アトラクションの同乗者に気を遣わせてしまう程に低かったんだ。
そういえば、何年か前もディズニーシーでレイジングスピリッツに乗っていたとき、相席してたギャルに話しかけられたっけ。
など、様々なことが頭の中を過ったような気もするが、息つく暇もない疾走に私は思考することを手放した。
少々テンションは低かった。
そんな私のちょっとだけ青春な話。
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