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「DNA複製のカギ!岡崎フラグメントとは?簡単にわかる役割と仕組み」

DNAの複製は、細胞が分裂する際に非常に重要なプロセスです。

この過程で、「岡崎フラグメント」という小さなDNAの断片が登場します。

今回は、岡崎フラグメントがDNA複製に
どのように関わっているのかをわかりやすく解説します!


1. DNA複製とは?

まず、DNA複製について簡単に説明します。

私たちの体を構成する細胞は、成長したり修復したりするために
新しい細胞を作り出します。

新しい細胞ができる際、元の細胞にあるDNAの正確なコピーが
必要になります。

このDNAのコピーを作る過程がDNA複製です。

DNAは、二重らせん構造をしており、この二重らせんを「ほどく」ことで、2本の鎖がそれぞれ新しいDNAを作るテンプレート(型)となります。


2. DNAの複製の向き

DNA複製の際に大切なポイントは、DNAポリメラーゼという
酵素が新しいDNAを「5'から3'」の方向にしか
作ることができないということです。

DNAの二重らせんは互いに逆向きの鎖(5'から3'、3'から5')で
構成されているため、2本の鎖がそれぞれ違う方法で複製されます。

リーディング鎖
DNAポリメラーゼが5'から3'の方向に進むため、連続的に複製されます。

ラギング鎖
3'から5'の向きなので、そのままではポリメラーゼが進めません。
このため、断続的に複製されます。


3. 岡崎フラグメントの役割

岡崎フラグメントとは、このラギング鎖が断続的に
複製される際に作られる短いDNA断片のことです。

岡崎フラグメントの仕組み

ラギング鎖は一度に連続的に複製できないため、
少しずつ逆向きに進みながら短い断片を作っていきます。

この短い断片が岡崎フラグメントです。
これが集まって、最終的にラギング鎖全体が複製されます。

プライマーの作成
まず、RNAプライマーと呼ばれる短いRNAの断片が、
ラギング鎖上に作られます。これは、DNAポリメラーゼが
新しいDNAを作り始めるための「スタート地点」を提供します。

岡崎フラグメントの合成
DNAポリメラーゼがプライマーに結合し、
短いDNAの断片(岡崎フラグメント)を作成します。

プライマーの除去と結合
岡崎フラグメントの間にあるRNAプライマーは後で取り除かれ、
DNAリガーゼという酵素によって、断片同士がつながれます。
こうして、ラギング鎖全体が1本の連続したDNA鎖になります。


4. なぜ岡崎フラグメントが必要なのか?

DNA複製が正確に行われるためには、リーディング鎖とラギング鎖の両方が作られなければなりません。

しかし、DNAポリメラーゼは1つの方向(5'から3')にしか
新しいDNAを合成できません。

そのため、ラギング鎖では逆向きに複製を行う必要があり、
この過程で岡崎フラグメントが重要な役割を果たします。

もし岡崎フラグメントがなければ、ラギング鎖は全く複製できず、
DNA全体の複製が失敗してしまいます。


5. 岡崎フラグメントの発見と名前の由来

岡崎フラグメントは、日本の分子生物学者である岡崎令治博士とその妻
である岡崎恒子博士によって1960年代に発見されました。

彼らは、ラギング鎖の複製が断片的に行われることを発見し、
この短いDNA断片に彼らの名前が付けられました。

この発見は、DNA複製の仕組みを解明する上で非常に重要であり、
現在の分子生物学においても基本的な知識となっています。


6. まとめ

岡崎フラグメントは、DNAの複製においてラギング鎖を正確に作るために
欠かせない要素です。

DNAポリメラーゼが特定の方向にしかDNAを複製できないという
制約を補うために、岡崎フラグメントはラギング鎖を断片的に複製し、
最終的に一つの連続したDNA鎖にまとめられます。

ポイントをまとめると:

岡崎フラグメントは、ラギング鎖の断片的な複製過程で
作られる短いDNAの断片。

リーディング鎖は連続的に、ラギング鎖
岡崎フラグメントによって断続的に複製される。

岡崎フラグメントが発見されたことにより、
DNA複製の全体像が明らかになった。

このように、岡崎フラグメントはDNA複製を成功させるための重要な要素として、私たちの細胞が正常に働くために欠かせない役割を果たしています。

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