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「最近、寒くなったね」 と彼女は言う。 「うん」 と僕は答える。
「ちょっと、背中のジッパーを降ろしてくれる?」 と彼女は言った。 「え?」 と僕は驚く。 だって僕の眼の前にいる彼女は、たった今すべての洋服を脱ぎさり、真っ裸になったばかりなのだから。
「考える人って、何を考えていると思う?」 と僕は彼女に尋ねた。 「何も考えていないと思う」 と彼女は答える。 「え?」
「ねえ、私ね、バーテンダーになろうと思うの」 と彼女は唐突に言った。 「何で?」 と僕は訊ねた。 「ただのバーテンダーじゃあ無いのよ。踊るバーテンダー」 「え? 踊るさんま御殿?」 「違うわよ。何が「踊る大捜査線」よ?」 い、言ってない。 「だからね、踊りながらカクテルを作るの」 「もしかして、映画観た?」 「うん」 「カクテル !」 2人が同時に叫んだ。