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「どうしてスマイルくれないの?」 と僕は彼女に訊ねた。 「ただでスマイルなんて、あげるわけないじゃない。だってあなたのことが好きでもなんでもないから」 と彼女は答えた。 「でも君は日本人だよね? 外人みたいなこと言わないでよ」 「外人じゃなくて、あのちゃん」 「あのちゃん?」 彼女はスマホのユーチューブであのちゃんの「スマイルあげない」を僕に見せた。 「だから何?」 「あのちゃん」 「何何? 君はアイドル? っていうか塩対応? ぱるる?」 「ぱるるじゃなくて、あのちゃ
「私ね、自分から友達になって、って言えないタイプなのよ。だからいつも待っているの」 と彼女は言った。 「わかるよ。僕もそうだから」 と僕は答えた。 彼女と僕は図書館で出合った。 僕は以前から図書館でたびたび彼女をみかけていた。そしていつもの子だなあと気になっていて、僕はいつも彼女を見ていた。 彼女はメガネをかけていて、とてもおとなしそうな文学少女に見えた。 僕はたびたび彼女と目が合った。それは僕が彼女のことをいつも見ていたからだ。 彼女の読む本が、僕は好きだ
「仮面ライダーの蜂女ってさあ、何だかセクシーよね」 と彼女は僕に言った。 「西野七瀬?」 と僕は聴き返す。 「それは「シン仮面ライダー」のハチオーグ。西野七瀬もいいけど。あらら」 「初代仮面ライダーの蜂女のことか。でも何で知ってるの?」 「なんだか最近昭和に興味があって、仮面ライダースナックのカードとかいろいろネットで観ていたのよ」 「ふうん」 「でも蜂ってさあ、一刺しすると死んじゃうのよね。最終手段なのよね。刺すと終わりのよね」 彼女は急にシリアスな表情になった