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短編小説

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僕の短編小説集です。
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2024年1月の記事一覧

君に花束を

 僕は花屋さんで花を買う。それは、君への花束だ。  花束を買うだなんて恥ずかしくて、今まで僕は君に花束を贈ることなんかなかった。  でもさ、これは君との約束だから。今日僕は、君に花束を贈る。  君へのプレゼントを買うのは、いつもドキドキする。  君の誕生日に僕は宝石店にゆき、ネックレスを選ぶ。  どんなものが君に似合うだろう?  君の喜ぶ顔が見たい。君の笑顔を僕は思い浮かべる。  君の瞳はとても輝いていて、僕にはとてもまぶしい。 「私ね、花束をもらうのが夢なんだ」  君は

フォロー・ミー

「あなたさあ、私のことが好きなんだよね? 私のことが好きだから私のことをフォローしたんだよね? なのにどうして私がフォロー外したらフォロー外すのよ?」  と彼女は僕に言った。 「だって君に嫌われたと思ったからだよ。フォローを外すっていうことは、君が僕のことを好きじゃなくなったっていうことだよね? 僕のことが好きじゃない君を思い続けるのはつらすぎるよ。そう思わないか? 君に嫌われているのにフォローし続けるなんて、あまりにも惨めでキモくないか? アイドルとかだったらさあ、お金の

なしくずし

「初めてってさ、すっごく考えて、すっごく悩んで、なかなか前に踏み出せないのよね。だけど一回しちゃうともうどうでもいいやって思って、もうなしくずし的にどんどんするようになっちゃうのよ」  と彼女は言った。 「で?」  僕は彼女の話の続きを聞く。 「共同マガジンもさあ、最初は悩んだんだけど、一個入ったらもうなしくずし的にいくつも入っちゃったし、サポートも一回したら癖になっちゃってどんどんサポートするようになっちゃったし、メンバーシップもいくつも入ってるし、フォローもスキもじゃん