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僕は10年ぶりにその街を訪れた。 行きつけだったバーのカウンター席に座る。 バーの片隅には小さなステージがあり、そこでは若いロック・バンドが演奏をしていた。 僕はバーボン・ウイスキーをロックで頼み、一口舐めるように味わう。そしてよく冷えたチェイサーを口に含む。 バンドのヴォーカルと目があった。 レッド・ツェッペリンのアルバムのジャケットのように酒を飲む僕の姿を、その男は気に留めているようだった。 まるでタイムスリップしたかのようなオールドスタイルの男が珍しい
「起業して1年になるけれど、どうしてもマネタイズができない。 無料でサービスをやってきて、ある程度のユーザーは獲得できた。 だけどもそこからのマネタイズがどうしてもできない」 と僕はつぶやいた。 心の中で思っていただけのつもりだったが、ついつい口に出していた。 そんな僕を、秘書の晃子が見ていた。 彼女は美しい。美しいから雇った。 彼女がそばにいるだけで、僕は心が安らぐのだ。 彼女がいることで、僕はなんとかやってこれた。 ともかく会社の収益を上げて、社員を
「最近また、へそ出しルックが流行ってきているから、浜崎あゆみみたいなコーデをしてみたんだけど、どうかしら?」 と彼女は言った。 彼女はへそ出しルックだった。 「中国人のおっさんも、へそ出しルックだ」 と僕は言った。 「え?」 「夏になると、中国人のおっさんはTシャツの裾をまくりあげてお腹を出して歩くんだ。自慢げに大きく膨らんだおなかを出して、ぽんぽんとたたく。いくよくるよのくるよのように」 「一緒にしないでよ」 「一緒になんかしていないけど、どうしても中国人のおっさん