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短編小説

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僕の短編小説集です。
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2022年8月の記事一覧

ワンダフル・トゥナイト

 僕は10年ぶりにその街を訪れた。  行きつけだったバーのカウンター席に座る。  バーの片隅には小さなステージがあり、そこでは若いロック・バンドが演奏をしていた。  僕はバーボン・ウイスキーをロックで頼み、一口舐めるように味わう。そしてよく冷えたチェイサーを口に含む。  バンドのヴォーカルと目があった。  レッド・ツェッペリンのアルバムのジャケットのように酒を飲む僕の姿を、その男は気に留めているようだった。  まるでタイムスリップしたかのようなオールドスタイルの男が珍しい

マネタイズ

「起業して1年になるけれど、どうしてもマネタイズができない。  無料でサービスをやってきて、ある程度のユーザーは獲得できた。  だけどもそこからのマネタイズがどうしてもできない」  と僕はつぶやいた。  心の中で思っていただけのつもりだったが、ついつい口に出していた。  そんな僕を、秘書の晃子が見ていた。  彼女は美しい。美しいから雇った。  彼女がそばにいるだけで、僕は心が安らぐのだ。  彼女がいることで、僕はなんとかやってこれた。  ともかく会社の収益を上げて、社員を

へそ出しルック

「最近また、へそ出しルックが流行ってきているから、浜崎あゆみみたいなコーデをしてみたんだけど、どうかしら?」  と彼女は言った。  彼女はへそ出しルックだった。 「中国人のおっさんも、へそ出しルックだ」  と僕は言った。 「え?」 「夏になると、中国人のおっさんはTシャツの裾をまくりあげてお腹を出して歩くんだ。自慢げに大きく膨らんだおなかを出して、ぽんぽんとたたく。いくよくるよのくるよのように」 「一緒にしないでよ」 「一緒になんかしていないけど、どうしても中国人のおっさん