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14章 福音書における過越の食事の違いについて

 共観福音書(マタイ・マルコ・ルカ)とヨハネの福音では、過越の食事がいつであったのかについて、明らかにタイミングが異なっています。

共観福音書では、最後の晩餐は「種なしパンの祭りの最初の日、すなわち過越の子羊を屠る日」(マルコ14:12/マタイ26:17/ルカ22:7)に「過越の食事ができるように」とイエスは弟子たちに指示を出しています。そこでイエスは弟子たちとともに過越の食事(最後の晩餐)を食し、次の日に十字架にかかります。

しかし、ヨハネの福音書ではそうではありません。最後の晩餐を終え、イエスが逮捕されました。最高法院はイエスを死刑と決め、総督官邸に連れて行くとき、つまり金曜日の明けがたのことです。「彼らは過越の食事が食べられるようにするため、汚れを避けようとして(ピラトの)官邸の中には入らなかった」(ヨハネ18:28)とあります。ということは、まだ人びとは過越の食事を食べていないことになり、実際の過越の食事はこれから、金曜日の夕方となります。そうなると、過越のために子羊が屠られる時間と、金曜日に十字架の上で息絶えるイエスとが重なることになります。

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