週末のトッパー(1位vs17位)に向けて

アヤックスが、降格圏に転落するほどの大不振の最中にいます。
フェイエノールトならまだしも、あのアヤックスがというのは正直PSVのファンになってから見たことがありませんし、正直想像したこともありませんでした。

ライバルチームのファンとして思うのは、彼らは昨日今日でこの状況に陥ったのではなく、昨季からの迷走がタディッチとクラーセンの退団により事態がさらに悪いほうへ加速した印象です。

今となっては、その候補者に対する疑問符だけでなく、獲得過程での黒い話まで出てきてしまったミスリンタットの欲しいものリストにも原因の一端はあるのでしょうが、それに盲従したことを非難するのは難しいでしょう。

ここ数年ヨングからのめぼしいタレントの突き上げがなく、加えてテンハフ・チルドレンの最終盤の選手たちもステップアップ。チームの今後を担う若い選手が必要だったのは明らかだったので、必要な補強でもありました。

とはいえ、スタインが望んでいたドゥヴィカス、ノア・ラン、ステングス、スハウテン、デストを全てライバルに攫われている状況は、強化部何やってんの?と言われても仕方ないと思います。

さすがに今の状況は下振れが過ぎるので、過度に自信をなくした選手たちが心理的安全性を感じ、上手くいくことだけを考えられる雰囲気さえ用意すれば、ベルフハイスやテイラー、ブロビー、なによりベルフワインがいるのだから早々に持ち直すと思ってます。

しかしながら、それらを用意できるかがカギと言いつつ、今のアヤックスにはまさにこれがないのでこんなにも下振れるというのもまた現実なのだろうな、と全勝で首位にいるわが軍の充実にほくそ笑み(つつ、実は成績ほど内容が芳しくない現実から目をそらし)ながら、外野からは好き勝手言うのです。

①リーダーの不在

スタインに指導力があるかは外野からは計り知れませんが、今月に入ってからの試合後会見の印象がとても悪いのが目につきます。

あの負けに対する他人事の感じはファンを逆なでしないわけがないでしょう。もし、あれをピーター・ボスがやったとしたら、それだけで腹に据えかねる思いを相当に抱くだろうと感じるので、その点はものすごく同情します。あれは部外者が見ててもかなりムカつきます。

昨季のスパルタの躍進を見ると、無能と罵るのは夏のごたごたも加味して少々酷だと思う一方で、今のアヤックスを預かるべき監督であるかといえばNOなのは間違いないでしょう。

いいところ探しはもう時間切れで、ユトレヒト戦から一夜明け、解任。
暫定でしばらく指揮を執るのはマドゥーロ。

それにしても、ベルフワイン。曲がりなりにも元エースがこのステージでいままでの輝きの半分も発揮できない現状は、一方的に裏切られた気持ちになってしまうPSVファンとしての被害妄想も消え失せて冷静になれるくらいに、いよいよ気の毒さが勝ってきました。

まず、腕章を彼からまだ比較的余裕がありそうなベルフハイスに託し、もっと自身のプレーだけに集中させないと上向くものも上手くいかないだろうと思います。結局、メンバーを見渡した時、何かを変えてくれる選手の筆頭は彼なのでしょうから。

テイラーとブロビーは、いつになったら彼らの中にあるアヤックス魂を顕現させ、プレーからチームの中心である自負を感じさせてくれるんですかね。これまでの成功の一端にいながら、この状況で中核としてけん引できない彼らは不甲斐ないと思いますし、いわゆる生え抜きながら、この状況でリーダーシップがあまり発揮されない選手だというのも落胆を加速させます。

つくづく、本人もクラブにも利益しかないファンデベーク復帰が本人の意向で潰えたのが痛いと思ってしまいます。テンハフの下で再起に賭けたい気持ちはとてもよくわかるけれど…

②サポーターの勝敗に対する当事者意識について

今の弱さのもう半分を担っているのは、フロントでもピッチでもなく、ゴール裏で花火遊びとお気持ち表明に夢中になっている連中だと思ってます。

勝っている間はあんなに傲慢なのに、少しうまくいかなければこの様とは、勝利がアイデンティティだったのではなく、弱い自分たちを正当化する拠り所、それが彼らのアヤックスなんだろうか、そうならなんと薄っぺらいチーム愛なんだろうか思ってしまいます。

暴れて本拠地をぶっ壊すわ、試合を妨害して中断させるわ、不満を示して退任要求のお触れを出すだけで、大切にしているのは常に自分たちの気持ちだけで、今、とても苦しい思いにいる選手のことなどこれっぽちも眼中にない、応援している自分に酔ってる人たち。

毎試合準備しても、全力を尽くしてもなおかみ合わず、上手くいっていないことを自覚してしまうからこそ進むべき方角を失い、自信をますます無くす負のサイクルにいることは選手たちが一番よくわかっているでしょう。

そこに、ホームにも拘らず、むしろホームだからこそ失敗をまったく許されない雰囲気がさらに重くのしかかり、普段以上に四方から緊張に晒される状況で、普段通りやるなんてどうしたらよいというのでしょうか。

それがアヤックスというクラブならそこまでなのでしょうが、現状それでうまくいくとは微塵も思いません。ベルフワインとブロビーのカチコチっぷりを観たらなおさらです。

やはり、ピッチで戦う選手たちを勇気づけることそっちのけで、自分のご不満を示すだけの群れをサポーターとは決して呼びたくありません。

勝利の消費者になり下がったゴール裏に自称サポーターが幅を利かせ続ける限り、フィリップスはもちろん、デカイプのファンも喜んで彼らをバカにし続けるでしょう。

なぜなら、幾度もあった窮地に際して、PSVでもフェイエノールトでも、試合後に若い選手たちを温かくゴール裏で迎え、鼓舞し、翌節は大応援でもって彼らを後押ししたことで、チームはよみがえり、危機を脱した経験が何度もあるからです。

その反対にいた筆頭が昨季のフローニンゲンでしょう。ゴール裏の一部がチームの足を最後まで引っ張り続けた結果、ご存じの通り彼らは最下位でエールディヴィジから去りました。

必ず訪れる窮地にどんな態度をとるかこそが、サポーターの問われるところなのです。

いったい、彼らはいつになったら愛のムチではなく、愛の愛を差し出すのでしょうか。

それを差し出すチャンスはもう何度もあったように思いますが、大変な選手たちよりも、まだこの期に及んで情けない順位表でバカにされる自分の報われなさのほうが大事なのでしょうか。

わたしはリバプールのファンの一面もあるので、アヤックスにとってのリヌス・ミホルスである、ビル・シャンクリーの一節を引用したいと思います。

「もし、我々が負けている時、引き分けている時に応援できないなら、勝っている時に応援してくれるな。」

今のアヤックスの自称サポーター群を見ていると、チームの勝ち負けに対する当事者意識の欠如が全面に溢れており、試合後の映像やSNSで散見される他責的な振る舞いのいずれもが、勝ちを持ち帰らないチームなど自分のチームではないかのようなネグレクト極まりない態度を想起させ、とてもムカつくのです。

愛情とは本当に困難な時にこそ試されるので、正念場にいるのは選手やクラブ以上に、実はサポーターたちなのかもしれません。

結びに

アヤックスは、消化試合数が少ない兼ね合いがあれど、現時点でCL予備選出場枠にあたる3位との勝ち点差はすでに18まで広がっており、常識で測れば来期のCL出場はほぼ絶望的でしょう。

複数年あの放映権収入を失うということは急速な規模縮小と弱体化が待っている中で、勝たなきゃノレないこのサポーターでは、今季だけではなく今後も暗い見通しは拭えないのではないのでしょうか。

週末、PSVはホームで彼らを迎えるのですが、一部のファンは既に「10-0をお見舞いして、歴史的な日曜日にする。」と息巻いています。

スコアはもちろんのこと、それを通じて、チームを応援するということが何をもたらすのかという証明の意味も込めて、今週末の試合は絶対に勝ってもらいたいです。

順位はもちろん、サポーターの本懐を少しもわかっていない今の彼らにだけは絶対に負けたくありません。

熱狂のフィリップス・スタディオン、現地でわたしもその一部として存分にチームの健闘の一部に、ほんの少しでも貢献したいと思います。

<了>

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