ヨハン・クライフ・スハール(2023)を前にして

いよいよ新シーズン目前。PSVシーズン最初の公式戦はヨハン・クライフ・スハール。優勝争いの中心になるであろう2チームの出来を見るという意味でも期待の募る試合に向けた所感を、PSVのファン目線で綴りました。

フェイエノールト、今季も強い。

スロットがトッテナムの監督就任を蹴り残留を決断するサプライズにはじまり、新たに冬から相思相愛のゼルーキ(←トゥヴェンテ)、かつてのエールディヴィジのトップタレントであったステングス(←ニース、昨季はアントワープへローン)をスカッドに加えたフェイエノールト。

コクチュの凱旋試合になったベンフィカ戦のハイライトの限り、この2人の補強、特にステングスの加入によってコクチュの抜けた穴はかなりい感じに埋められていると率直に感じました。

左WGのパイシャオは昨季末からの好調そのままに、イドリシが残ってくれたらなと感じさせる様な力不足の選手にはもはや見えないし、ヒメネスもオランダでプレーする最高のストライカーいう評にふさわしい姿を、1vs1での冷静さが香るゴールで早速披露。

ヤハンバクシュもステングスとスペースを食い合うことなく共存も順調に進んでいるように見え、ヴィーファ、ヘールトライダ、ハンツコ、バイロウの背骨も健在。これは、強い。。。

プレシーズンの1試合で悲観的になるのは尚早ながら、良いときはこれぐらいやるという、上振れした時の出来ととらえるのも決して的外れとは思いません。


スカッドは、ヘールトライダがライプツィヒから、ハルトマンがプレミアの複数のチームから関心を集めているそうで、ゴンサロ・ラモスが移籍した場合の後釜としてヒメネスもベンフィカのモニターにいるとVPで見ました。

とはいえ、スーパーカップを前に誰かが去るということはないのでは、なんて言っていたら、上田綺世がやってきましたね。ようこそ、エールディヴィジへ。

ただ、彼はCLとの二足のわらじに向けたダニーロが抜けた分の2番手のストライカーで、近い未来のエース候補という位置づけだろうという点と、そもそも加入早々過ぎて明日のスカッド入りはまず無いんじゃないかなと思います。

高い理想と現実のギャップのはざまのPSV

対するPSV。

プレシーズンはボスがヨングを含め多くの選手を試すのに多く時間を使ったために、スタメンも入れ替わりが激しく、フェイエノールトとのスーパーカップが、今季のチームの方向性や現在の完成度が見れる最初の真剣な試合。

プレシーズン最終戦のフォレスト戦を眺めて、昨季からすでに大きく変わったと感じるのは以下の2点。

1.CBのラインの高さ

ハイラインにもほどがある場面が何度かあり、これが過去ドルトムント、レヴァークーゼン、リヨンで決壊を重ねたのだろうなと想像が具体的になるには十分でした

彼らよりも選手の質では劣るため、そんな布陣が機能するのかという不安が現時点では上回ってしまうのが正直なところ。今のうちからCBたちが落下点を見誤ってボールを後逸したり、中盤の選手たちのバックパスがずれてベニテスの1vs1に願いを託す場面が多くなるのだろうと、かもしれない失点をこころがけて、ファンとして覚悟を決めておく必要がありそうです。

2.中盤の選手の動き。

中盤の3人にかなり高い要求が課せられていると感じました。
昨季、サイドはサイドの選手に任せ(正確にはガクポとシモンスのために左サイドに近寄らず邪魔をしない)、それが不発または手詰まりになった時の第2波または最初にボールを取り返しにかかる役割の色が強かった中盤の選手たち。

今季は、SBが上がれば中盤の選手はサイドに開く、SBが上がらなければ自分たちが上がる、CBがボールを取りに行けばそのスペースを埋めに降りるなど、ボスの理想の高さが垣間見えました。

最前線から降りてきたルークに当てて、MFが受け、そのスペースに絞った両サイドのバカヨコやランにラストパスを誰かが出す、という形(ハイライト内1:24~)はおそらく一つの理想の形で、何度もこの形からゴールを目にすると期待したいです。

やろうとしているフットボールはものすごく楽しみ。特に、フィーエマンがこの要求の下で一皮むけてもう一段いい選手になったら…と期待が高まる反面、まだまだ構築中なのは間違いなく、この試合では相手のサイドチェンジやカウンターの際には後手に回ってバイタルが大きく空く場面も。

スハールの1試合に限らず、前半戦は選手たちの不慣れは否めず、我慢して見守る試合は多くなりそう。

補強の目玉、新顔など。

ペピはとりあえずゴールを残して雑音をうむようなことはなく無難にプレシーズンを終えてくれて一安心。

ランは、ビッグチャンスの多くが彼を経由していたあたりさすがのオランイェ戦士、今季のチームの中心は彼で間違いないと感じる好印象。

バカヨコも昨季の勢いそのままに今季は主力として過ごす1シーズン。シュートのときの足の振りがまた一段と速くコンパクトになり、ゴールへより直線的になったので数字でもインパクトを残してほしい。

プレシーズンで最も評価を高めた新顔は、ヨングPSVの次代の才能の一人、イサーク・ババディ。

本番直前ともいえるフォレスト戦で中盤の一角としてスタメンを飾っており、おそらく来るであろう主力級の新加入選手にポジションが渡るものの、途中出場やターンオーバーで重用されると期待。

ここ数年、ゲッツェやガクポ、シモンスの圧倒的な個人能力で倒すのが結局一番強いという大味なチームが続いていたので、新監督の持ち込むスタイルが、若手や中核の選手たちにどんな変化をもたらすか、期待を持ちつつ、まずは新サイクルの出だしを見守りたいと思います。

試合予想

予想は、フェイエノールト 3-1 PSV

プレシーズン最終戦の仕上がりを見る限り、フェイエ優位は揺るがないと感じますし、結果にもしっかり表れるでしょう。

展開は、序盤はPSVが前線からプレスで嵌めに行くものの、徐々にフェイエのペースに移行し、ヤハンバクシュとステングスにゴール前のスペースを好き放題使われて2-0。ちょっと盛り返して2‐1にするもダメ押しを食らって3-1で決着と予想します。

現時点で彼らとの差は明白、なおかつPSVが次週火曜にCL予選(vs シュトゥルム・グラーツ)を控えるため、最後の30分は無理をさせないような交代策も切るだろうし、終盤はちょっと味気ない試合になってしまうかもしれません。

もし、PSVが勝つとしたら、セットプレーがとんでもなく上手くいったか、ティルの脈絡のないゴールが降臨したかのどちらかの線でしょう。

現時点では、昨季2位を何とか確保したチームとぶっちぎりの優勝チームとの差は大きく、翌週の頭にこれ以上に絶対に勝たなくてはいけない試合が控える以上、まずは、今季のチームがどれだけやれそうかを楽しむのが精いっぱいというのが本音です。

シーズンの幕開け、CL本戦目指して早々に正念場の8月。
CLのアンセムが9月にもフィリップス・スタディオンに響きますように。

<了>


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