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イメージするものは常に最強の自分だ

私にもおまえのような時期があった

己が理想に燃えていた
死に瀕した全ての命を救うのだと
その根幹は今でも変わらない
いや 変えることができなかったと言うべきか

心するがいい
もしおまえが私と同じ道を歩むというのなら
この赤く孤独な荒野がおまえを待ち受ける結末だ

忘れるな
自分が何のために戦うのかを

そして受け入れろ
己が弱くか細い存在に過ぎないということを

力無きものに誰かを守ることなどできん
ならばせめて夢想しろ

身体を剣に
血潮を鉄に
遥かな高みへ
己が限界を超えてもなお飽くことなく挑み続けろ

イメージするものは常に最強の自分だ

おまえにとって戦う相手とは
自身のイメージに他ならない

Fate/stay night

西脇だっとによるFate/stay nightのコミカライズ12巻から、アーチャーの言葉。

ここまでの長文引用は、特異です。
今回の名言紹介は、他のページのものとは別種のものであって、僕がこの言葉に感じた"圧"のようなものは、ここに引用した全文の積み重ねで構成されているように感じています。

力ある言葉の連鎖で生まれる「メッセージの"圧"」それは呪文

世の名言と言われる言葉のおおよそは、その含蓄や洞察の深さ・巧みさによって「名言」と言われることが多く、一文を引用すれば「名言紹介」としては充分なものが多いと思います。実際、このサイトのほとんどのページもその構成になっています。

ですが、今回の言葉は、引用した全文を連ねて読むことで真価を発揮するものです。便宜上、タイトルは「イメージするものは常に最強の自分だ」としましたが、この一文だけでは彼の言葉の凄みを伝えられません。

まるでメロディーのようだと思います。
だとすれば、引用で太字にした部分がサビになります。

それも、「身体を剣に 血潮を鉄に 遥かな高みへ」という短く、しかし力ある言葉の連鎖には、ただ黙読していてもクレシェンドを感じるほどの圧力があり、その盛り上がりが「イメージするものは常に最強の自分だ」という言葉に大きな説得力をあたえている……

などと……あえて言語化するならばこのような感じでしょうか。

黙読していてもクレシェンドを感じるとは、暗唱により自分を奮い立たせられるということと似ており、それはおまじない、自分にかける「強化呪文」のようにも思います。創作物の中のキャラクターの言葉が、僕たちの実生活に勇気を与えてくれるというこの実例は、ポジティブに呪文の存在を肯定してくれるような気さえしています。

これが、この文言を特異に取り上げたくなった理由です。


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