8. オペアンプを用いたバッファ回路

オペアンプを用いた回路には、いくつか種類があります。ここでは、入力と出力の波形が上下反転する反転増幅回路と、反転しない非反転増幅回路、非反転増幅回路の増幅率を1倍にしたと見ることのできるボルテージフォロワ回路を示します。これらのうち、ボルテージフォロワ回路がバッファ回路として用いられます。

反転増幅回路

オペアンプを用いた反転増幅回路の回路図を次の図に示します。入力電圧Vinを入力したときの出力電圧Voutは、抵抗R1とR2を用いて、

Vout = -(R1 / R2) × Vin

と書けます。マイナスの符号が付いていることから分かるように、出力電圧の値は、入力電圧の値に対して上下が反転します。

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例えば、上の図のようにR1 = R2 = 1kΩとし、入力信号の電圧を1V、2V、3Vと変化させた場合の入出力波形は次の図のようになります。

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出力波形が入力波形と上下反転していることから、この回路は反転増幅回路と呼ばれます。

非反転増幅回路

次に、オペアンプを用いた非反転増幅回路の回路図を次の図に示します。入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの増幅率は、抵抗R1とR2を用いて、

Vout = (1 + R1 / R2) × Vin

と書けます。

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例えば、上の図のようにR1 = 1kΩ、R2 = 50kΩとし、入力信号の電圧を1V、2V、3Vと変化させた場合の入出力波形は次の図のようになります。

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反転出力回路と違い、出力波形が入力波形に対して上下に反転してません。このことから、この回路は非反転増幅回路と呼ばれます。

ボルテージフォロワ回路

オペアンプを用いた非反転増幅回路においてR1 = 0、R2 = ∞とすると、次の図のような回路になります。このとき、入力電圧Vinを入力したときの出力電圧Voutは、抵抗R1=0とR2=∞を用いて、

Vout = (1 + 0/∞) × Vin = Vin

と書け、入力電圧が出力電圧にそのままコピーされるという特徴があります。そのため、出力電圧が入力電圧に追従する回路(voltage follower)という名前が付いています。

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この回路は、前の二つの回路と異なり、抵抗による拡大縮小の操作が無いため、入力信号が出力信号にそのままコピーされます。そのため、入力される信号が0Vを中心としていない、バイアスのかかった信号であっても良いという特徴があります。

この回路において、入力信号の電圧を、4.5Vを中心として振幅を1V、2V、3Vと変化させた場合の入出力波形は次の図のようになります。

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ボルテージフォロワ回路のヘッドフォン用バッファ回路としての能力

さて、この回路において、出力に32Ωのヘッドフォンを繋いだ場合に、ちゃんと入力信号と同じ信号が出力されるかを確認してみます。この能力は、オペアンプの型番に依存し、オペアンプによって出力電流が何アンペアまで出せるかが異なりますが、前述の計算より、出力に32Ωの抵抗を繋いで最大値0.8Vの電圧を入力したとき、出力波形と入力波形が同じであれば、10mWの音を出すことができると言えます。

これをシミュレーションで確認してみます。次の図のように、出力に32Ωの抵抗を接続し、最大値0.8Vの正弦波を入力します。

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この回路の入出力の波形は次の図のようになります。

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グラフより、この回路で10mWの正弦波を出力できていることが分かります。

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