退団とこれから

お知らせからもう少しで一月が経ちますが、2019年9月1日付けで、8年間お世話になりましたエンターテイメント集団「風雲かぼちゃの馬車」を退団させていただきました。 

皆様には大変急な出来事のように感じた方もいらっしゃると思いますので、お話できる部分と、僕のこれからの活動についてご説明させていただきます。

僕が風雲かぼちゃの馬車と出会ったのが2011年2月でした。声優の養成所を退所し、これから何をしようか考えていたとき、以前同じクラスだった友人から誘われたのが風雲かぼちゃの馬車の特別公演「熱海殺人事件」でした。

自分には芝居はできないのではないか、と挫折を感じていた時期でしたが、土井さんと風雲かぼちゃの馬車が作り出す舞台はとても魅力的で、芝居とはこんなに楽しいものだったのかと気づかされました。この出会いがなければ俳優をやめていたかもしれません。

それから数回の客演を経て入団させていただきました。入団当初は何もわからない僕を、土井さんはじめ劇団の先輩の皆様が根気強く指導してくださいました。演技だけでなく、人生についても考える機会が多く、人としても成長させてくださいました。近年は制作や歌唱指導を任され、自分の団体のように取り組んできました。

しかし団としての規模やクオリティが大きくなるにつれて、自分の俳優としての未熟さを感じる機会が増えてきました。今まで曖昧にしてきてしまった基礎的な弱さを感じ、もっと俳優としての自分のために時間を使いたくなりました。もちろん主宰の土井さんはそのあたりも考慮してくださいましたが、外部での活動も増えている僕にはやはり苦しい部分がありました。

僕のやりたいことが「劇団員」から「俳優」になったのかなと自分では感じています。劇団員という存在はすごいんです。詳しくはお話できませんが、劇団を軸に生きるくらいの覚悟と愛情がなければ続けられません。団体によるかもしれませんが。話せること話せないこともたくさんありますが、決して劇団が嫌いになったわけではありません。今でもかぼちゃがこれからどういう発展を遂げていくのか楽しみです。

僕は以前から抱えていたことがありまして。合唱をやっていたとき全国大会金賞を獲得したり、劇団でもニューヨーク公演を果たしたり、それなりの成果を残しているのですが、全て「団体」なんですよね。僕個人では何ができるのだろう、ということをずっと考えていました。

これからは須佐光昭という一人の人間が、世の中にどんな影響を与えられるのか、誰かに希望と勇気を与えることができるのか、そこを軸として活動していこうと思っています。

生きていれば価値観は更新されるものですし、変わったからといって以前の価値観が間違っているというわけではないと思っています。ただ、真摯に、誠実に、全力で物事に取り組むことだけは忘れずに。やるからには本気で。そう行動していく中での変化はきっと成長になると信じています。

末筆ではありますが、エンターテイメント集団「風雲かぼちゃの馬車」のさらなる発展とご多幸を心よりお祈り申し上げます。土井さん、劇団員の皆さん、8年間ありがとうございました。

2019年9月24日
須佐光昭

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?