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SPルールマッチ・スタートチャージ5 禁止カード解説

ミツです。
SPルールマッチ・スタートチャージ5関連noteのうち最後となるこのnoteでは、少し趣向を変えて今回のSPルールマッチで禁止となった13枚のカードについて解説します。明確に役に立つ可能性のあるこれまでの2本とは異なり、筆者の主観が大いに含まれた読み物であることはご容赦ください。
なお、どのカードもルームマッチでは使用可能ですので、気が向いたらご友人と試していただければと思います。
ご友人がいらっしゃらない場合は、Twitterにおいて「#デュエプレフリー対戦募集タグ」で募集をかければ、対戦相手が見つかるかもしれません。


《サコン・ピッピー》

採用されるデッキは【超次元星龍王】、【トリガーMRC】。

裏面の《星龍王ガイアール・リュウセイドラゴン》の規制を目的とした禁止と思われます。

強みは圧倒的な再現性。スタートチャージ10で環境を荒らしまくった実績は伊達ではなく、しかもこちらでは初手やフィニッシュ時に使えるマナがより多いため構築の自由度が増しています。
専用デッキ【超次元星龍王】では、《流星のフォーエバー・カイザー》の呼び出し役として《星龍王》のSA付与の恩恵を受けられる7コスト2打点ハンター《激流アパッチ・リザード》が採用されます。
一方の【トリガーMRC】では、黒・赤系のST獣をタテに《星龍王》でのフィニッシュを狙います。試合が長引いた際は《煉獄邪神M・R・C・ロマノフ》で大量の打点を押し付けます。この《MRC》が《星龍王》のアタックトリガーで墓地に落ちた際、ワンチャン《龍圧の覚醒者ヴァーミリオン・ドラヴィタ》のような重量級裏面サイキックの展開を狙えるというシナジーもあります。

以上のように強みが多い一方で、1ターン目に《ウコン・ピッピー》と《サコン》が無防備に並ぶという隙が生じるという弱点もあるにはありますが、除去が甘い傾向のあるスタートチャージ5ではあまり有効には働きません。
最大の欠点は「どう頑張っても2ターンを超えられない」点です。

スタートチャージ5における分水嶺は2ターン目です。ワンショットを狙う大半のデッキがここをキルターンとして見据えるため、それ以外のデッキは同じように2ターンで駆け抜けるプランを携える(【MRC】)か、1ターン目に相手を制圧できるカードを叩き付ける(【アガサ天門】)、2ターン目を確実に耐え凌げる布陣を敷く(【ホーガン】)といった対策をとることになります。
なので、【星龍王】の「高確率2ターンキル」という長所は正直なところ長所とは言い切れません。スタートチャージ5でワンショットを名乗るならそれくらいできて当然だからです。
しかし、ポイントを集めるSPルールマッチでは、【星龍王】を握る合理的な理由が存在し得ました。いわゆる「業者プレイ」です。
超次元呪文を各ターン1発ずつ撃って《星龍王》で駆け抜けるという単純性は他のデッキにはない最大の武器です。イベント序盤は最速で走り抜けたいプレイヤーが、中盤は出遅れたけどさっさと終わらせたいプレイヤーが、終盤にはすっかり忘れてたけど報酬は欲しいプレイヤーが握り、結果として【星龍王】が爆増することを公式は予期したのではないか、と私は考えています。

総括すると、「スタートチャージ5」としての規制はやりすぎですが、「SPルールマッチ」として考えると合理的、といったところでしょうか。


《戦慄のプレリュード》

採用されるデッキは【ターボゼニス】、【ゼニスクラッチ】。なお、私の記事では、6コストマナ加速を軸に《「智」の頂 レディオ・ローゼス》着地を狙うデッキを【ターボゼニス】、《フェアリー・クリスタル》等を用い無色シナジーを重視したデッキを【ゼニスクラッチ】と呼称しております。

コスト軽減カードの危険性と拡張性に関しては《フェアリー・ギフト》の項に譲ります。
このカード独自の強みは、コスト軽減の下限がないこと。
2連射すれば《ローゼス》や《「俺」の頂 ライオネル》といった10コストゼニスを1ターン目に召喚できます。これは要求値が高い分、7コストの《天運ゼニスクラッチ》にも許されない凶悪なムーブです。
ただ一方で《プレリュード》にしかない利点というのはその程度です。どちらかといえば、《ギフト》を禁止した上で《プレリュード》が野放しになっているという状況を厭った形ではないかと思われます。
10コスト獣を着地させるにあたり、《ギフト》や《プレリュード》を噛ませれば8コストになり、これは1ターン目に《フェアリー・ライフ》の1枚でも撃っておけば達成可能なマナ数です。10コストの強力なクリーチャーは無色に固まっているため、《ギフト》の規制では足りないと思われたのでしょう。


《フェアリー・ギフト》

採用されるデッキは【フレンドカチュア】、【ホーガン】、【ジュカイ】、【エレガンス】、【バルガライゾウ】、【キリコ・ムーン】、【バグナボーン】。

私はMN杯で規制カードを選定する側ですが、《ギフト》はその扱いの難しさではぶっちぎりの問題児です。
上記のように【バグナボーン】などのカジュアル寄りなデッキを成立させてくれる一方で、【フレンドカチュア】を最速1キル安定2キルのバケモノに仕立て上げやがりました。

本来、スタートチャージ5で初動として計上できるのは、最初から置かれている5マナ+手札1枚を置いた計6マナで使える6コストまでです。しかし、《ギフト》はクリーチャーに限りそれを8コストまで拡大します。【ホーガン】はその恩恵を最も受けたデッキですね。また、《永遠のリュウセイ・カイザー》も先攻1ターン目に立ちます。
6コストマナ加速と合わせた場合、最速2ターン目には12コストの《超絶奇跡 鬼羅丸》がそれじゃつまんねえじゃねえか!してきます。そうでなくとも、《プレリュード》の項で触れたとおり、1マナ伸ばすだけで10コスト圏までアクセスできるようになります。《偽りの名 シャーロック》とか。

結論としては、《プレリュード》共々規制は極めて妥当です。
一方で、簡単に規制するには影響を受けるデッキが多すぎるというのも事実であるため、現在MN杯では《ギフト》の規制は考えておりません。


《フェアリー・ミラクル》

採用されるデッキは【キリコ】、【ライゾウ】、【キング・コマンド・ドラゴン】、【石碑ドラピ】。

記念すべき第1回MN杯のサムネイルになったカード。
スタートチャージ5において《竜の呼び声》はこれの完全劣化です。
最初から5色揃っているため、2ブーストが確実に発動します。《フェアリー・ライフ》ですらスタ5では姿を見せなかったのはこいつのせい。
《蒼狼の始祖アマテラス》の踏み倒し範囲内でもあり、次ターン《エンペラー・キリコ》に繋ぐことができます。
それ以外にも《光神龍スペル・デル・フィン》や《偽りの王 ヴィルヘルム》など、9コストはパワーカードのオンパレード。【キング・コマンド・ドラゴン】は、この6→9ムーブを《神滅無双デラット・バラット》なども交えて確実に成功させるのがデッキコンセプトとなっています。
2連射すれば《「無情」の極 シャングリラ》などが属する11コスト帯まで手が届くのも強み。

以上のあれこれを加味すると《ミラクル》の規制は妥当といえます。
しかし、あくまでも私の認識ですが、《キリコ》や《超天星バルガライゾウ》くらいしか「9マナから1枚で勝てるカード」は存在せず、そういったフィニッシャー格の規制が十分であれば無規制でもなんとかなります。たぶん。なってるはず。


《逆転のオーロラ》

今のところ、これを採用したデッキを筆者は知りません。

極めてピーキーなマナ加速カード。
自分のシールドをすべてマナに突っ込めば《鬼羅丸》が2ターン着地を決めますが、そんな《勝利のガイアール・カイザー》1枚で瓦解するようなことをしなくとも十分です。
6コストマナ加速衆の存在を考えると4枚はマナに置きたいところ。《「祝」の頂 ウェディング》や《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》に届く11マナです。

欠点は後手だとまず使えないこと。相手がもうトドメを刺してこようという時に呑気に盾をマナに置いていたら重量級カードを使う前に負けます。
総じて、先攻有利の権化のような1枚といえます。規制は妥当も妥当です。


《キズナ・ブラスター》

採用されるデッキは【キズナ・ブラスター】。

通常ルールでは《爆竜 GENJI・XX》を射出すべく【ガントラビート】に採用されていましたが、スタ5では山札からリクルートするモードは使いません。《時空の神風ストーム・カイザー XX》を1ターン目に投げつけるためのカードです。
デッキを《キズナ》4枚+ドラゴン36枚で固めることで、《奇跡の覚醒者ファイナル・ストーム XX NEX》への覚醒および追加ターン獲得が容易になります。ドラゴンだけでもサーチ役の《聖霊竜騎ボルシャリオ》やアンタッチャブルを付与する《天雷の龍聖ロレンツォⅣ世》などサポートは豊富。引けなくとも《龍聖大河・L・デストラーデ》や各種メタ能力持ちドラゴンで時間稼ぎができます。
ハマれば先攻2ターン目から追加ターンを取り続けてタコ殴りにできるため、SPルールマッチではこれで暴れ散らかすのを楽しみにしていたんですが、禁止されていて大変残念です。
だから禁止されたんですけども。


《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》

採用されるデッキは【ターボゼニス】、【バルガライゾウ】、【エレガンス】。

マナ加速とマナ送りをモードで選択できるカードです。6コストマナ加速の中でも癖がなく、かつ腐りにくいため、MN杯でもMNO殿堂(1枚制限)に指定されています。
6→10で《ローゼス》に繋いでさらに《ウェディング》に持っていく強さは言うまでもないと思います。禁止は妥当です。


《ダンシング・フィーバー》

採用されるデッキは【ターボゼニス】、【バルガライゾウ】。

《ザワイルド》と違ってマナ送りのモードがなく、より6→10ルートに特化しています。
禁止は同じ理由で妥当です。

逆にMN杯でこっちが規制されていない理由ですが、6→10ムーブを起点とするデッキを絶滅させないためです。そのため、《ローゼス》や《勝利宣言 鬼丸「覇」》といった、繋ぐ先のパワーカードの規制を行っております。
6→10ムーブもスタ5の醍醐味ですからね。


《龍仙ロマネスク》

採用されるデッキは【ジュカイ】、【ドルバロム】、【リアニメイトVAN】、【アポロ】、【MRC】、【ターボゼニス】、【天門】、【バルガライゾウ】、【キズナ・ブラスター】、【ボルメテウス】、【石碑ドラピ】、【祝門】。

スタ5の《天災 デドダム》、または《霊騎幻獣ウルコス》です。

このカードは能力やスタッツが綺麗に噛み合っており、上記のように様々なデッキに採用されます。
目玉のマナ加速能力。6コストであるため、《ザワイルド》《フィーバー》と同様、6→10ムーブに貢献します。
次に墓地肥やし能力、これは《悪魔神ドルバロム》や《VAN》を墓地に送りつつ、次のターンの蘇生札に繋ぐことができます。
ブロッカーも馬鹿になりません。相手の先攻2ターン目のワンショットを止める壁になってくれます。
種族のドラゴンは《ストームカイザー/ファイナルストーム》の当たりになり、《バルガライゾウ》の進化元かつ踏み倒し先にもなります。
文明も優秀で、光ですから《コアクアンのおつかい》で回収でき、ブロッカーでもあるので《ヘブンズ・ゲート》で踏み倒せます。【天門】においては《大河聖霊エル・ドラード》など重量級ブロッカーの手打ちにも貢献します。
さらに火のドラゴンなので、《バルケリオス・ドラゴン》のG・ゼロ達成に運用できます。
そもそもクリーチャーでありますから、《大地竜機シロガシラ・ジュカイ》で踏み倒したクリーチャーのM・タッチのコストになります。

このように、初動としては最高峰の質を備えており、禁止した場合様々なデッキへ影響があるため、このカード単体で見た場合、規制するのはあまり得策であるとは思えません。
しかし《ザワイルド》と《フィーバー》もまた禁止されていることをみるに、公式が止めたいのは6→10ムーブなのでしょう。そりゃそうだ。


《偽りの羅刹 アガサ・エルキュール》

採用されるデッキは【アガサ天門】。

MN杯では第6回の準優勝を勝ち取ったのち、LMN殿堂(2枚制限)に指定されたカードです。

光のブロッカーであるため、《ヘブンズ・ゲート》《白騎士ゲート》《超次元マザー・ホール》による早出しに対応しています。
通常ルールでこのカードを素早く踏み倒すことを目的とした【白緑天門】が流行したことからもわかるとおり、このカードの最大の強みは相手の一挙手一投足に反応してはシールドからそれを潰していくこと。《凍結の魔天 ダイイング・メッセージ》や《ボルメテウス・ブラック・ドラゴン》がシールドに埋まっていれば、最速で1ターン目に相手の行動を完全にロックできます。また、デーモン・コマンドには《復活の祈祷師ザビ・ミラ》もいますから、盾から《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》が飛んでくることも。
《天門》からこいつが2体同時に出てきたときの絶望感は言わずもがな。
控えめに言って理不尽です。


《エンペラー・キリコ》

採用されるデッキは【エンペラー・キリコ】。

前回のSPルールマッチで暴れ散らかした問題児。調べたら当時はDP殿堂にも指定されていなかったんですね。その時の禁止カード選んだ人たち、何見てヨシって言ったんでしょうか。
MN杯では第2回からMNP殿堂(禁止)に指定されています。

後述する《超天星バルガライゾウ》は、「《ライゾウ》を引き込む(サーチ)」+「《ライゾウ》が出せる9マナ圏に繋ぐ(加速)」という手間が必要なため、実は割と不安定でした。
一方で《キリコ》は《無頼妖精ワイルド・リリィ》がサーチと加速の両方を兼ね、《蒼狼の始祖アマテラス》によって実質8枚体制になった《神歌の星域》がマナから《キリコ》を釣ってきます。第1回MN杯時点では既にDP殿堂入りしていましたが、そのぶん《ボルバルザーク・エクス》や《サイバー・N・ワールド》といった足回り、《キリコ》から1体出るだけで合計7打点が確約される《永遠のリュウセイ・カイザー》などといった16弾の化け物連中を獲得しています。
こんなもん無制限のままほっとけって方が無茶な話です。


《超天星バルガライゾウ》

採用されるデッキは【バルガライゾウ】、【キズナ・ブラスター】、【運 命】。

第5回MN杯で(主催者が握って)優勝し、その後はLMN殿堂(2枚制限)に指定されています。

お手軽ドラゴンカタパルト。…どっかのポケモンは関係ありません。
先述したとおり《キリコ》に比べ安定性は下ですが、進化元にウィニーを要求せず、かつ踏み倒すクリーチャーを山札の上5枚から選べるため、出力でいえば《ライゾウ》の方が高いです。こっち禁止して《キリコ》放置はやっぱおかしいけどね。
サーチ役には《闘竜鬼ジャック・ライドウ》のほか《黒神龍ドボルザーク》、それと重いですがSA付与役を兼ねられる《剛撃竜騎ヴィレム海舟》などがいます。
踏み倒し先はなんかでっかいどらごんをたくさん。
走るまでの安定性に少々難ありですが、走ればだいたい勝ちます。
パチンコと揶揄されることがある運ゲーカードですが、こいつに関してはパチンコ以外の何物でもありません。禁止は当然妥当です。


《バイオレンス・フュージョン》

採用されるデッキは【ターボフュージョン】【フュージョンダーツ】。

いや強いんですけど…強いんですけどぉ…といった印象です。

まずは13という重いコスト。これを素直に支払って2ターン目に撃つ場合、《ギフト》で《恵みの大地ババン・バン・バン》を1ターン目に叩き付ける必要があります。この手段をとらない場合、正規の詠唱は3ターン目以降となります。
《逆転のオーロラ》でシールドを全部マナに突っ込んでも1枚届きません。
踏み倒す場合にしても、この《フュージョン》自体が踏み倒しカードですから、踏み倒し先となるゴッド・カードを採用しなければなりません。が、《フュージョン》の踏み倒し役である《ラッキー・ダーツ》《ホーガン・ブラスター》はゴッド・カードには対応しておらず、《フュージョン》の出力を上げようとすればするほど発動が不安定になるというジレンマを抱えています。その手のガチャカードを使うなら《ロスト・ソウル》や《英知と追撃の宝剣》といった手打ちも容易なカードを投げつけた方が手っ取り早かったり。
踏み倒し先であり、かつては「出せば勝ち」の代表的存在であった《破壊龍神ヘヴィ・デス・メタル》にしても、さすがに以前ほどの信頼度は望めません。様々なデッキにその姿が見られる《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》や、盤面制圧力とフィニッシュ性能からスタートチャージ5に最も適した覚醒リンク獣であると噂される《シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン》といった真正面から殴り倒せるクリーチャー以外にも、単体で突っ立っていると返しの《学校男》に退場させられたりと、抜け道は着々と増加しています。

まとめると、
・《フュージョン》の発動にかかる手間
・踏み倒し先としての《フュージョン》の価値の低下
・最有力の踏み倒し先である《HDM》の信頼性の低下
以上3点から、規制すべきカードというよりも、ランデスコントロールなどのフィニッシュとして適正なパワーを持ったカードと認識しています。
前回のSPルールマッチでも禁止されていましたが、なんなら次回は釈放してもいいのではないか、と思います。


おわりに

SPルールマッチも終了が近付いてきました。
期間中カジュアルマッチもシティバトルもせずスタ5だけひたすら遊んでいた者としては名残惜しくて仕方がありません。常設してくれ。
一方で、15日には私が主催するスタートチャージ5大会〈第8回 MN杯〉が開催されます。MN杯は本来、「スタートチャージ5の対戦の場を提供すること」が目的でありますから、死ぬほど遊べるSPルールマッチ期間中にどれだけ参加者が集まってくれるか少々不安ではありますが、よければご参加いただければと思います。

SPルールマッチとは異なる制限規定は以下のとおりです。

次はおそらく第8回MN杯の開催後レポートでお会いすることになるかと思われます。
それではまた。

 MN杯主催者 miTSu noir

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