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未踏オフィスアワー 〜未踏OGが語る未踏の歩き方〜 開催レポート公開!

2024年3月8日(金)に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行う「未踏アドバンスト事業未踏IT人材発掘・育成事業」を修了したOGによる「未踏オフィスアワー〜未踏OGが語る未踏の歩き方〜」を開催しました。
その開催時の模様・様子を皆様にもお伝えするため、noteにまとめさせていただきました。未踏事業への応募・チャレンジの参考になりましたら幸いです。

開会

○田中(モデレータ) それでは時間となりましたので「未踏アドバンストOGが語る未踏の歩き方」を開催させていただきます。本日モデレーターを務める2023年度未踏アドバンストの田中と申します。本日の企画はいろんな想いがあって、またその想いに賛同してくださる方のご協力のもと、開催させていただきます。またバックオフィスで支えてくださってる皆様に大変感謝いたします。
 さて、本日の流れについて簡単に説明させていただければと思います。本日8時半までは、我々OGを含めた座談会形式で、未踏に応募したきっかけから、どうやって準備したのかといったところまでお話させていただければと思います。そのあとは質疑応答を受け付け、最後にブレイクアウトルームに分かれて簡単な座談会や質疑応答を受けたいと思います。
 最初に、今日のご登壇者の皆さんを紹介させてください。2021年度未踏アドバンストOGの野城さん2021年度OGの周さん2022年度OGの山本さんの三名となっています。私は2023年度卒業になったばっかりの田中です。よろしくお願いします。

田中 柚希(モデレータ)

「未踏」ってどんなもの?

○田中 最初に、これから未踏に応募するという方も多いと思いますので、「未踏ってどんなものなのか」を周さんに簡単にお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?

○周(登壇者) はい、簡単に説明しますと、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が支援金を出して、8ヶ月間、色々な人に応援をしてもらいながら、自分のプロダクトを完成形に近づけていけるプロジェクトです。詳細はIPAのホームページをご覧ください。

周 静芳(登壇者)

○田中 ありがとうございます。採択していただく8ヶ月間ぐらいですね、応援をしていただきながら頑張っていくと思うんですけども、何回ほど発表があって、どういう感じで8か月進んでいくのでしょうか?

○周 そうですね。完全には覚えてないところもあるんですけど、一番大きな発表として成果発表会というものが最後にあります。
 それをマイルストーンにして、どんどん、みんなでやっていくんですけど、他に大きな発表で言うとキックオフや中間発表会があって、プロジェクトマネージャー(PM)と呼ばれる方が外部の有識者を会議に招待してくれて貴重なフィードバックをいただける会です。他にも、自分の担当PMとの小規模なミーティングを毎月行っていて、未踏のOB・OGも呼んでフィードバックをいただけたりもします。

○田中 そうですね。初回と中間、そして最後の発表会がありますね。あとはチームごとに定期的にミーティングがあって、フィードバックが手厚く受けられますよね。

応募のきっかけ

○田中 もうちょっと本質的な話に移って行きたいと思いますが、皆さんが応募されたときのプロジェクトの概要と、応募したきっかけを順番に聞いていきたいと思います。

○田中 まず早速、耳元にキラキラしている素敵なものがついている山本さんからお伺いしてもよろしいでしょうか。

○山本(登壇者) 2022年度に石黒PMに採択された山本です。未踏アドバンストの成果がウェブページから見られるので、それを共有しながら、お話できればと思います。

○山本 私たちはですね、「感情共有を促進する心拍フィードバック装置の開発」というものをやっていました。何かというと、実際に私も今耳につけているんですけど、耳たぶから脈拍をセンシングして、それに合わせて、血液量に合わせて光らせ方を変える、それで感情推定を促進してコミュニケーションを促すという、そんなデバイスを発案して実際にそれを事業化していくことを未踏アドバンストの期間では行っていました。
 ちなみに私が応募したきっかけは、実は、今日一緒に登壇している野城さんです。野城さんが2021年の未踏アドバンストに先に採択されていて、その翌年に私は応募しました。

山本 愛優美(登壇者)

○田中 ありがとうございます。応募するきっかけって結構面白いですよね。私も同じ感じで、2年前に周さんが採択さているのをきっかけに未踏を知りました。研究分野が近かったこともあり、こういう研究の進め方も面白いなと思った記憶があります。

○田中 お名前が挙がった山本さんのきっかけとなった、野城さんのお話をお伺いできますでしょうか。

○野城(登壇者) はい。MizLinxの野城といいます。私たちは、海の観測システムというものを作っておりまして、海の中で、センサーだったりとか、カメラだったりとかも含めて、インターネットに繋がるようにして、それを養殖業だとか、あとは海の環境問題に使ってもらうようなシステムを作っています。

○野城 応募のきっかけというのは、もともと東大のメンバーが中にいたんですが、東大の中には本郷テックガレージというものがあって、それがめちゃめちゃ未踏人材輩出コミュニティみたいな感じで、それに入るまでは未踏とか知らなかったんですけど、そこで未踏に応募しないの?みたいなことを言われて、「応募するの?」と思って、「そうかぁ」みたいに思いながら、締め切りの1ヶ月前ぐらいだったので、3月ぐらいにはじめて書き始めたみたいな感じで結構駆け込みだったんですけど。
 それが実は応募したというきっかけですので、これはいわゆる紹介だったと思うんですけれども、紹介してくれる人がいなかったらなかなか応募しなかったかなと思います。紹介してくれる人がいると、添削してくれるので、それで多分採択率が上がったのかなと。そんなことをやってました。以上です。

野城 菜帆(登壇者)

○周 私も本郷テックガレージに出入りしていて、そこでちょうど1・2コ上ぐらいの年次の人が未踏に出していたのを見て、こんな感じだったら私も行けそうかなと思って、それがきっかけだった。直接出してる人がいると、申請書って未踏っぽい書き方とかあるじゃないですか? 教えてもらえると一気に通りやすくなる気がしますよね。

○一同 うん、うん。間違いないですね。

○田中 やっぱり、そういったコミュニティとか、ちょっと先輩とか身近な友人っていうのは結構大きいですよね。なんかそういうきっかけになればなという想いも、今回開催してるオフィスアワーの目的の一つだったりもします。
 ちなみに周さんはどんなプロジェクトをされていたんですか?

○周 まず本日登壇している全員が未踏アドバンストという事業の出身なんですね。これは起業に興味のある人向けに、ビジネス面もちゃんとサポートしますよというような、そういったプログラムになっています。それともう一つ未踏ITっていうのがあって、もう少し面白いものを作りたいぐらいのテンションで応募して良いプログラムがありまして、私はその両方をやっていました。
 未踏ITのほうでは、私が物理の研究をやっていた経験をもとに、先行研究を体系的にサーベイするための補助ツールを作りました。未踏アドバンストのほうでは、体外受精を自動化するロボットを作っていました。

○田中 ありがとうございます。そうなんですね、周さんは未踏ITと未踏アドバンスト両方のご出身ですよね。

○田中 未踏歴も長いと思うのですが、未踏に採択されたからプロジェクトが進んだなっていう感覚はありますか?

○周 めちゃくちゃありますね! やっぱり未踏がなかったら未踏後の完成度までいかなかったと思います。ITでも、アドバンストでも、やっぱり常にすごく自分のプロダクト・発表を期待してくれる人が、いろんな観点で突っ込みをくれると、やっぱり「やらなきゃな」っていう、締め切り効果も働いて進んだなというふうに思います。

○田中 ありがとうございます。やっぱり1人で進めていくのと全然違いますよね。

未踏の「ここ」が良い!

○田中 そんな中で、お金をいただける助成金って昔と比べたら増えてきてると思うんですけれども、他のアクセラや助成金と比べて、未踏のここが良いというポイントはあるでしょうか?

○野城 はい。たくさんあるんですけれども、逆説的ですけども、未踏というものは事業を伸ばすために事業にしていくために支援されてるものではあるものの、本来の趣旨は「人を育てること」にあるので、例えその事業が仮にうまくいかなかったとか、仮に本人が望んでいた方向には行かなかったとしても、何とかその人自身が自分の望む結果になるように、周りの大人がみんなサポートしてくれるし、結果はもちろん追及しなきゃいけないんだけれども、悪い意味で振り回され続けることもないというのが、ある種、未踏の良さ・特殊かなっていうところの一つかなと思います。

○野城 未踏に関しては、「君が決めたんだったら、もうやりなよ」とか、「違う形になったとしても頑張り続けなよ」って未踏期間が終わった後だとしても、ずっと応援してる人がいる、仲間がいるってのは、非常に未踏の特徴的かつ一番良いところではないかなと思っています。

○周 野城さん含めて他の人は未踏以外のアクセラとかやっていたりするんですか? 雰囲気の違いとかあったら聞きたいかな。

○野城 そうですね。私は基本的に良いプログラムしか参加していませんでしたが、未踏が一番事業的にも精神的にも成長できたと思います。

○田中 山本さんはいかがですか?

○山本 私は参加したアクセラレーションプログラムの中で、未踏が一番、事業推進・プロダクト推進が促されたなっていう感覚があって、他のものに参加してる方だったりとか、他のプロジェクトもすごくユニークで面白い方が多いので、自分でもすごくそれに影響を受けて、この未踏期間に結果を出すぞみたいな意識はすごく強まったなと思います。
 実際そのコミュニティがあるから、そのあとの資金獲得だったりとか、事業推進のネットワークにもなっているなというふうに感じるんですね。それこそ今日のご参加者の方に「他に何に応募しようと考えてますか」っていうご質問をしたと思うんですけど、「東大IPCの1stRoundに応募します」とか、そういった情報共有がされてて、そこはすごくユニークだなと思いました。

○周 同期達の間でっていう感じですね。

○山本 意外だったところで言うと、OB・OGとSNSで繋がる機会が多くて、「採択されました」とSNSに載せたら、OB・OGから何か相談に乗りますよみたいなご連絡をいただいたりとか、あと明後日(3/10)も未踏会議がありますけど、歴代の方が集まってそこでまた繋がりが生まれてみたいなところで、縦の繋がりも想像してたより、かなり強固にあるなという印象ですね。

○田中 確かに発表会でOB・OGの方にコメントしていただけるのは結構大きいですよね。やっぱり同じ経験をされた先輩ですし、二歩・三歩先を行かれている、かつ歳が近い方から愛のこもったコメントいただけるのは、ありがたかったかなって私も思いますね。あと、さっき山本さんもおっしゃってたSNSを通じて意外とOB・OGと交流できるっていうのも未踏の良い点かなと思いますね。

○野城 それに付け加えると、私たちは横とか、1年度上下ぐらいの交流が未だにあって、その中の1人が気に入ってるBarとかカフェとかに集まって、事業の話もそうじゃない話もあって、楽しみたいなことができてれば、意外とそういった交流、必ずしも縦じゃなくても、横とかナナメみたいな感じもあって、非常に助かったんですね。それが結構辞めない理由になったというか、続けられる理由になりましたね。

○野城 この仲間たち先輩たち、そしてPMやビジネスアドバイザーの人たちもずっと見てくれていると。やっぱりどうしてもうまくいかないこととか、形や見え方が変わっちゃうこととかっていろいろあったりとかすると思うんですけど、それでも変わらず「あなた個人のことを応援している」っていうメッセージが常に発されているので、それが私が辞めなかった理由になるかなと思います。

○周 逆に結構大変で辞めたい時とかあったんですか?

○野城 辛い思いをしたことは何回もあります。

○周 野城さんは発表会では爽やかに「現場行ってきました」と言っていたので、あんまり感じていなかったです(笑)

○野城 未踏のときはまだよかったです。未踏が終わった後は大変なこともたくさんありました(笑)

○周 野城さんは本当にすごいですよ。毎回発表のたびに日本の全国津々浦々行ってきた写真が発表資料の中にあって、「ここでこういうPoCしてきました」みたいな発表を毎回してくれて。私たちのチームは「あんな進んでるんだ。がんばんなきゃ」ってチーム内でガヤガヤみたいなことしてて、未踏のときはそんな感じでお互い刺激し合ってました。

○田中 ずっとつづけていく上で繋がりってすごく大事ですよね。すごく素敵なお話が聞けたかなと思います。ありがとうございます。

応募の準備

○田中 最後の方になってきたので、今日いらっしゃってる方が一番聞きたいであろう、未踏の応募準備の話題に移っていきたいと思います。
 まず応募資料を作成するのも大変だと思うんですけど、山本さんはどのぐらい前から準備されましたか?

○山本 そうですね、応募しようって決めたのは2022年に入ってからだったと覚えています。周りが応募するって言っていて、「それじゃ私も釣られて応募してみるか」ということで、実は私、2022年度未踏アドバンストに採択いただいてるんですけど、未踏ITの方にも応募していました。未踏ITとアドバンストの両方に応募して、アドバンストに採択していただいたという形なので、2022年3月までに未踏ITの応募書類を書き上げ、そこから1ヶ月後にほぼ同じ内容で未踏アドバンストにそのまま出したっていう記憶があります。その間に、それこそ野城さんに連絡して、「ちょっと応募書類見せてください」みたいな連絡をして見せてもらって「なるほどこう書くのか」っていうことで対策をしたなと、そんな記憶があります。

○田中 そうなんですね、ありがとうございます。ちなみに野城さんはどのぐらい前から準備されてましたか?

○野城 私たちはそもそも応募しようと思ったのがちょっと遅かったので、準備期間は1ヶ月ぐらいですね。なので、結構集中して書いたって感じです。

○田中 その応募書類は誰かに添削してもらいましたか?

○野城 本郷テックガレージの一期上の先輩たちですね。

○田中 山本さんは誰かに添削を依頼しましたか?

○山本 私たちは添削依頼をしてなかったですね。見せてもらったので「こうすれば良いのか」と参考にしつつ、あと応募しようとしてる人たちの間で見せあっていました。こんな感じ出すんだって、お互い知ってという感じで。

○田中 なるほど。ちなみに面接の対策や練習みたいなことはされましたか?

○山本 私はめちゃめちゃやってました!未踏IT・未踏アドバンストのどちらにも応募するっていうケースでよく聞いてたのが未踏ITの方には通って、未踏アドバンストの方は落ちるっていうケースだったので、すごくびっくりして。なので、めちゃめちゃ通りたいなと思って、1ヶ月ぐらい準備期間があったと思うんですけど、その期間は常にいろいろな方に資料をブラッシュアップしてもらいながら、未踏アドバンストのための資料を新しく作り直した記憶です。

○田中 そうなんですね、私も面接とかは結構採択されたOB・OGに何を質問されたのか聞いたような記憶があります。

○田中 野城さんはどうでしたか?

○野城 そうですね、3回ぐらい通しで面接の練習をしてもらいました。初稿ができ上がったタイミングや、ブラッシュアップして最後の本番前にもですね。

○田中 そうなんですね。やっぱり皆さんしっかり準備されてるって感じですよね。

○田中 出すアイディアとか、事業内容にもよると思うんですけれども、プロトタイプを準備される方も多いと思います。周さんはプロトタイプは準備されましたか?

○周 そうですね。準備しました。未踏ってプロトタイプを重視する文化があるかと思います。実際に何か物を作っていくとやっぱりプロトタイプを作ったからこそ限界が見えてきたり、プロトタイプを作ることでアイディアがどんどん深まっていくと思うんですね。そういう理由もあって重視されているんじゃないかと思います。申請する際には、実際作ったからこその学びが得られるようなプロトタイプを作ろうと意識していました。応募後面接までも、「面接までにこれを成功させて、こう言えるようにしよう」と思って結構頑張っていました。

○田中 プロトタイプはどこで作りましたか?大学の研究室ですか?

○周 完全に家で作っていました。私たち体外受精の自動化だったので、実験するのはかなり大変でしたが、工夫して何でもいいから、実証実験を実際にしてみる。かつ、そこでちゃんと技術を使ったり、コンセプトが成立するよみたいなのを示せるっていうの結構大きいかなって思います。

○野城 確かに、その泥臭く、実証実験が難しいものでも、何とか工夫してやるってのはすごい大事ですね。私たちも海で沈めるとか海で浮かべたりするものは応募当時はできていなかったので、一応防水があるかなっていう程度だったんですけど、無理やり何とかしてみようと。海に出るのはまだ怖かったのでプールを買ってみて水を張ってやってみようと。でも1.5tから2tぐらいのプールで水道代が大変なことになるから、祖母の家にある井戸水を貰おうと祖母の家まで行って、プールに水を運んで実験していました。やっぱり、その写真を撮ることによって採択されたのかなと思います。

○周 私も「実際に卵子を移した実績があります!」というのが結構強かったと思うんですよね。そういう感じで、すごいリアリティを持ってイメージできるようなところまでプロトタイプを作っていくというのは結構強いと思います。それがなくてもコンセプトが良ければ全然通るとは思うんですけど、技術面/顧客面の仮説検証ができるようなプロトタイプを作ることが、未踏に通りやすく、かつプロダクトの完成度も上がりやすい道かなとは思います。

○山本 私は「変化率」みたいなものを重視しましたね。その応募書類の時点と、その1ヶ月後の二次審査までで、どこまで進めているかみたいな。「すごい。この1ヶ月でこんなに成長したということは、この8ヶ月間でもっと成長するかもしれない」みたいな期待を抱いてもらえたら良いなと思って。二次審査までの1ヶ月間の検証を資料に入れ込んでアピールしたっていう記憶があります。

○周 確かに改善のスピードもすごい重視されますよね。未踏全体として。

○山本 これは野城さんの資料を見せていただいて私が勝手に影響を受けた話なんですけど、野城さんはとても質疑応答の対策をされてて、Q&Aとか想定の質問があったので、真似しようと思って、私も「これ聞かれたらこれ答える」っていうのを書いたり、考えたりしていましたね。

○周 確かに未踏の人が聞かれやすい質問はある気がします。未踏の薫陶を受けた人だと、一定程度はPM陣の質問をシミュレーションできるんじゃないでしょうか。PM陣が突っ込んでくれるような部分って、実際プロジェクトを続けていく上で重要で、小手先じゃ交わせない。しっかりいいプロジェクトを立ち上げるために必要なことを考えて、ツッコミがすでにクリアされているようにプロジェクトを運営するのが大事ですね。

○田中 いろいろお話いただき、ありがとうございます。やはり成長率が見られるだろうっていうのと、何かこう泥臭くても手を動かすっていうのは、やる気があるとか、ポテンシャルがあるっていうことの一つの証明となって、それが結局評価されるという感じなんでしょうね。

質疑応答

○田中 ここからは全体で質疑応答を受け付けたいと思います。

○質問者1 未踏っぽい応募書類の書き方があるというお話と、未踏はプロトタイプを作ることが重要というお話があったと思うんですけど、つながっているのでしょうか?応募書類にもプロトタイプがここまでできていると書くのが重要なのでしょうか?

○野城 そうですね。何項目かに分けて書くんですが、その中に「今までできていること、プロトタイプはここまでできている、なので未踏ではここまでしたい」みたいなことを書く部分がある。そこに一枚わかりやすい写真があったりとか、丁寧な描写があったりすると、丁寧であればあるほど通りやすくなるのではないかなと思います。周りの採択者を見ていると、そうされていた方も多いです。

○質問者1 なるほど、ありがとうございました。

○田中 ありがとうございます。未踏っぽいとか未踏性って答えが明確にあるわけではないので、あくまでも解釈一つとしてお答えしていただきたいのですが、未踏性とか未踏っぽさって何だと思いますか?

○周 未踏の審査基準ってのが応募要項に載ってます。ここに未踏性という項目があるわけですが、これが何かっていうと、ITをレバレッジして、今までなかった、あるいは誰かが想像はしていたけども実現まで何かの障壁があって、できなかったっていうものを、何が原因でできなかったのかちゃんと理解した上でそれを乗り越えるソリューションを持ってきましたみたいな。そういうのが未踏性なのかなと私は思いますね。だから、なんで今まで無くって、でもなんで自分はそれを乗り越えられるのかを説明できる。説明できるし、本当にそれが新しくて、それを変えるイノベーションの力があるみたいな、そういうものが未踏性っていうイメージかな。

○山本 周さんのご説明が素敵で、本当にその通りだなと思うんですけど、私は応募する前って未踏性=技術的な未踏性オンリーだと解釈してたんですね。でも、意外と、未踏の情報とか経産省がどういう人材を今後育てていきたいかみたいなものを見ていると、技術並びに社会実装の両面もかなり評価されているし、それに加えて、これまでなかった、ある畑では使われていた技術シーズを他の畑で使うみたいなところもかなり評価されるなって思っていて、そのかけ合わせで、「誰もやってないんです!」っていうことを言うのは、私の時は重視しましたね。

○野城 本当にその通りだなと思って、私たちの場合は技術的なところも工夫したんですけども、どちらかというと私たちの採択プロジェクトは社会的な未踏性を大きく評価していただけたかなと思っていて、本当に技術自体は枯れた技術の組み合わせなんですけれども、その組み合わせ自体は誰もされてこなかったっていうことと、それを一次産業・海の業界にあんまり実装されてこなかったし、確かに難しそうだなっていうところが評価されたポイントかなと思っています。

○田中 そうですね。社会的な未踏性チームも結構いますよね。

○山本 これは未踏アドバンストの特徴なのかもしれないですね。

○周 未踏ITの場合はビジネスの発展性がそんなになくても採択される。その代わりに本当に世界を変えそうなイノベーション性がある、「イノベーション性、面白い」がより重視されるというところかな。逆にプロトタイプが大事というのは未踏の文化の一つと話したと思いますが、プロトタイプで開発実現性を主張する、みたいなイメージかなと思います。

○田中 ありがとうございます。ほかに質問ある方とかいらっしゃいますか。

○質問者2 書類選考の倍率はどれぐらいですか?

○山本 私の未踏アドバンストの応募時の記憶だと、応募順に番号が振られるんですが、私はぎりぎりで応募したのでAD0078とかだった気がします。80から90件ぐらい応募があったのかなって当時推測したんですけど、正しい情報は分からないです。土日2日間で1日15件ぐらい審査しているので二次審査は30件ぐらいかなと思います。二次審査には大体3分の1が進めるみたいな感じかなと思いますね。

○田中 最終まで残った割合みたいものは確かIPAのホームページに載っていたと思いますので、何件応募があって何件採択になったか、応募倍率などはIPAのホームページを見ていただければと思います。

○田中 最後の質問を受け付けます。

○質問者3 理系学部以外の採択者はいらっしゃいますでしょうか。

○周 私の未踏ITの同期では音楽系の人とかいましたし、2023年度の未踏アドバンストでは服のプロジェクトをやってる人いましたよね。

○田中 はい、理系学部以外の方も採択されています。だけどこの傾向は未踏ITと未踏アドバンストで変わってくるような気もしています。

○周 確かに。未踏ITは「自分が作る」っていうのが前提な気がします。未踏アドバンストは自分で作らなくても良いかも。

座談会終了

○田中 はい、それではお時間になってきたので、この後、部屋を二つに分けて密にコミュニケーションとれるような状態にしたいと思います。
ありがとうございました。

(参考)開催概要

🔸開催日時:2024年3月8日(金)20:00~21:00 @Zoom
🔸タイムライン:
 20:00-20:05 イベントコンセプトのご説明
 20:05-20:40 未踏OGの座談会
 20:40-21:00 参加者&未踏OGの相談会
※当日は座談会+相談会のオフィスアワー形式となります。相談会ではイノベータが参加者の皆様の疑問にお答えいたします。
🔸参加費:無料
※本イベントへのご参加は、未踏事業応募対象者の方に限らせていただきます(所属・肩書き・年齢問わず参加を歓迎いたします)。

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