【自己開示とは】
・自分に関するプライベートな情報を相手に話すこと。

・自分の生い立ちや趣味を話題にする、過去の失敗
 を打ち明ける、自分の思いや意見を正直に話す等が、自己開示の例です。

【自己開示の効果】
・コミュニケーションにおける自己開示は、信頼関係を築くのに
 欠かせません。
・自分から自己開示すれば、「返報性」によって相手も
 己開示してくれやすくなるため、お互いの距離が縮まます。
・日常生活ではもちろん、適度な自己開示は仕事上の人間関
 係を築くうえでも役立つものです。

【自己開示の返報性】
自己開示には、「相手と打ち解けやすい」というメリットがあります。

初対面の相手と趣味の話題になったとき、「すみません、プライベートな話はちょっと……」と口を閉ざされてしまったら、どんな印象を受けるでしょうか。「私に心を開いてくれていないんだな」と思い、拒絶されたような、悲しい気持ちになるはずです。したがって、自己開示しない人は、相手となかなか打ち解けられず、いつまでもギクシャクした関係のままです。

反対に、初対面の相手が「私、野球を見るのが大好きなんです」「じつは、すごく方向音痴なんです」と自分の情報をさらけ出してくれると、“心の壁” が取り除かれ、安心感が生まれませんか? 積極的に自己開示をすると、自分がどんな人間かを相手に理解してもらえるので、好感や信頼感を与えられるのです。

リーダーシップ開発プログラムを提供するオーセンティックワークス株式会社代表取締役・中土井僚氏によると、自己開示には「返報性」があるのだそうでしす。相手から自己開示されると「こんなにさらけ出してくれたんだから、私も自分の話をしなきゃ」と感じ、自己開示を「お返し(返報)」したくなる心理が働くのです。

相手と仲よくなりたいときは、思い切って自分から内面をさらけ出してみましょう。「自己開示の返報性」が働いて、自然と相手も心を開いてくれるはずです。

【コミュニケーションによる自己開示の効果】
自己開示は、良好な人間関係を築くうえで欠かせません。
初対面の人や、知り合って間もない人を前にすると、
相手の性格や考えがわからないため、どうしても警戒心を抱いてしまいます。

自己開示には、自分がどんな人間かを相手に説明することで、
警戒心を和らげる効果があります。
初対面の人と話すときなどは、できるだけ良い印象をもたれようと、
自分の本来の姿を隠し、
当たり障りのない表面的な会話に終始してしまう人は多いです。

たしかに、「手の内」を見せなければ、無難に会話が進むかもしれません。
けれど、親しくなるまでの時間はそのぶん長くなってしまいます。
相手との関係性を前進させたいのであれば、
「自分はこういう人間ですよ」
と早めに積極的な自己開示を行なうのが有効なのです。

素直な自己開示によって支持を獲得したのが、
アメリカ合衆国の大統領エイブラハム・リンカーン(1809~1865)
心理学者・渋谷昌三氏によると、
リンカーンが多くの大衆から好感をもたれた要因は、
大統領選で「私は多くのアメリカ人と同様、貧しい家に生まれた」と、
生い立ちを包み隠さず話したことだそう。

自己開示は、コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているのです。

【自己開示と自己提示】
ありのままに、正直に」話すのが、自己開示のポイントです。少し恥ずかしいと感じるくらいのことを正直に打ち明けると、「そんなことまで話してくれるなんて、自分に心を開いてくれているんだ」と相手は認識し、心の距離が縮まりやすくなります。

一方で、自分を良く見せることを目的とした “自分語り” は、「自己提示」と呼ばれます。たとえば、ある人が「東大に入ったものの、周りが優秀すぎて孤立してしまったんだ」というエピソードを披露したとしましょう。「大学になじめなかった」という失敗談を打ち明けているようで、「東京大学出身である」とアピールしていますね。

このように、自分に関する “ポジティブな情報” を選択的に伝えることで、
相手からの印象をコントロールしようとする行動が、自己提示です。
自分への評価や好感度を上げられる可能性もありますが、
失敗すると「自慢している」「虚勢を張っている」
と解釈されてしまうこともあります。

【上手な自己開示の5つのポイント】
1.仕事と無関係の話をする
同僚や取引先など、仕事上の人間関係だと、どうしても話題が仕事に偏ります。ときには趣味や出身地に関する雑談を挟んでみます。

2.返答にプライベートな要素を混ぜる
会話で返答するときにプライベートな話題を足す方法。たとえば、「今日は暑いですね」と相手に振られた場合「ええ、本当に暑いですね」と言うだけでは、会話が止まってしまいます。
返答の際はなるべく、自分や相手のプライベートに関わる要素を添えます。「ええ、本当に暑いですね」のあとに、「私はすごく暑がりなので大変です。○○さんは、夏はお好きですか?」と言えば、「私は暑がり」という自己開示に加え、「夏にやりたいレジャー」や「夏休みの予定」といった、プライベートな雑談につなげやすくなります。

3.相手の自己開示を促す
「聞き上手」になって相手の自己開示を促すのも大切です。例えば、「北海道出身なんです」と言う相手には、「旅行におすすめの場所はありますか?」のように、プライベートや趣味に関する話題につなげることで、自然と自己開示してもらえます。
どの程度までプライベートな話が受け入れられるのかは、相手との関係性から判断します。初対面の相手には、「趣味」「笑える失敗談」「ちょっとした欠点」といった自己開示でもじゅうぶんです。

4.ときには自分の弱みを見せる
上司・部下などの上下関係があると、どうしてもコミュニケーションが堅苦しくなりがち。渋谷氏によれば、ときには上司(先輩)のほうから自己開示し、適度に “弱み” を見せることで、部下との心の距離を縮められるのだそうです。

たとえば、部下が失敗したとき、一方的に叱りつけるのではなく、「じつは、私も若いとき、同じような失敗をしたことがあるんだ」のように告白すると、部下は素直に耳を貸してくれやすくなります。

5.自己開示の度合いに気をつける
いくら自己開示が大事とはいえ、程度というものがあります。初対面の相手に、いきなり「人間関係がうまくいかず悩んでいて……」などとプライベートすぎる悩みを打ち明けるのは、さすがにやりすぎですよね。親しくなるどころか、むしろ「変な人」と認定され、警戒されてしまうかもしれません。

どの程度までプライベートな話が受け入れられるのかは、相手との関係性から判断しましょう。初対面の相手には、「趣味」「笑える失敗談」「ちょっとした欠点」といった自己開示でもじゅうぶんです。

【自己開示の4段階】
最も浅い「レベル1」
「趣味・嗜好(しこう)」の開示です。
社会的常識からよほどはみ出した趣味・嗜好でないかぎり、「私は○○が好きなんです」と話したところで、自身の評価が傷つくことはほぼありません。
趣味・嗜好を打ち明けることは、手軽かつリスクの少ない自己開示なのです。

「レベル2」
「容易には克服できない困難な経験」です。
過去に経験したつらい出来事や苦労話には、必ずしも人格と直結しない外的な要因(家が貧しかった、ケガをしたなど)も関係しているため、比較的「浅い」段階の自己開示だと考えられます。

「レベル3」
「決定的ではない欠点や弱点」。「方向音痴で道に迷いやすい」「絵がへたくそ」などです。
人格的な評価にそれほど影響しないとはいえ、自分の内面的な弱みをさらすので、自己開示としては比較的「深い」段階にあたります。

最も深い「レベル4」
「自分の性格や能力の否定的側面」「他人の悪口ばかり言いたくなる」「話を素直に聞けない」といった欠点は、人格的・社会的な評価を顕著に損いかねないため、さらけ出すには大きなリスクが伴います。よほど親しい相手でなければ、なかなか開示できないものです。

【自己開示4段階会話の内容】
【レベル1:趣味】
好きなもの
休日の過ごし方
最近の楽しかった出来事
最近夢中になっていること
趣味にしていること
楽しみにしているイベント
これから趣味としてやってみたいこと

【レベル2:困難な経験】
困難な状況を誰かに助けてもらった経験
困難な状況を乗り越えるために頑張ってきたこと
つらい経験をどのように乗り越えてきたか
過去のつらい経験が現在どのように役立っているか

【レベル3:決定的ではない欠点や弱点】
「少しダメだな」と前から思っているところ
直さなければと思っているが、なかなか直らないささいな欠点
ささいな欠点かもしれないが、ときどき落ち込んでしまうこと
ある経験をとおして「自分は少しダメだな」と思ったこと
ささいな欠点について他者から心配された経験
ささいな欠点について日頃思い悩んでいること

【レベル4:否定的な性格や能力】
自分の性格のすごく嫌いなところ
自分の性格のすごく嫌な部分が出てしまった出来事
自分の能力についてひどく気に病んでいること
能力不足が原因で、目標が達成できなかった経験
能力で劣等感を抱いているところ
能力に限界を感じて失望した経験
自分のせいで人をひどく傷つけてしまった経験

【最後に】
自己開示のコツはお役にたちましたでしょうか。
是非、今回の自己開示法を実践されて周りの方々と
良好な人間関係を築いていかれることを願っています。

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