また君に恋してる

セミの鳴き声が響き渡るとき、テレビ中継を見るとふと思い出す。

―あの時君を選んでいたら、どんな人生だっただろうか。


出会いは幼稚園の時。

初めて付き合い始めたのは小学校2年生。

そこから中学校3年まで付き合い続けた。

最初に付き合った8年間は、涙を流すことのほうが多かった。

エゴが捨てきれなかった。自分の思い通りにいかないことが嫌だった。


そんな8年の付き合いも高校入学と同時に別れ、別の付き合いを選んだ。

君じゃない世界を知りたかった。

その交際は高校3年間で終わってしまったが、付き合ったことは決して後悔していない。

むしろ新しい世界、新しい人との出会いができてよかったと感謝しているし、今でも年に2.3回は連絡を取るほどである。


時が過ぎ、大学生になった。

景色が緑に移りゆく時期にキャンパスで君を見つけた。

3年前、別れた時に抱いていた気持ちが嘘のように君に惹かれまた付き合った。

しかし、2度目の交際も1年で終えてしまう。

原因はまたしても僕。

今度は身体の不具合によって、自分から別れを告げた。

身体の状態が思うようにいかないことによる苛立ちから、君を遠ざけてしまった。


そして、そんな時に出会ってしまった新しい魅力。

少し精神が下向きになっていた僕にとって恋に落ちるにはには十分だった。


ただ、そういった恋は長く続かないもので、就職活動を始める前に自然消滅してしまった。

今では連絡も取っていない。


そして、社会人になり、荒波に慣れてきた2年目に、また君と出会った。

別れて4年たった君の魅力は相変わらずで、また君を好きになってしまった。

3度目?バカみたい。そういう風に思う人もいるだろう。

言われても反論の余地はない。

なんせ2回も自分から別れを告げているのにまた付き合っているのだから。


だが、3度目の正直ということもあり、今はうまくいっている。

未熟だった学生時代とは異なり、今は大人になったしいい距離感だと思う。


2度別れてもまた引き寄せられる魅力。

それが、白い五角形から18.44m先にある。


だからこそ思う。

もし、高校の3年間を体育館ではなく、グラウンドで白球を追う人生だったらと。


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