本覚坊遺文
茶道オタクには相当シビれる映画。川野太郎さんの乞食宗旦はホントにビリビリ来たね。なるほど、ここで、宗旦を、川野さんで出すかと。ん-!やられたな!って感じ。
利休直系の道安は当時失脚めいた状況にあって「花の慶次」でもゲス野郎扱いでクソミソにコキおろされてたが。ホンモノの道安は一部の点前は利休を凌駕するものがあったと実際の利休の言葉に。どうも実像の道安は性格に多少クセがあって、なおかつ片足に不具がありそれらが不利に働き、利休後妻連れ子の宗旦派の政治工作が巧妙という事もあり特に非行もなく、秀吉とも割とソリが合ったのにハジかれてたのが実像だったのではないか。映画にも不登場。
千家復興と裏千家登場の立役者。奥田英二さんの朝勤行のシーンは思わず手を合わせる程に神々しい。実像は合コン好きでちょうどこの映画の頃にソレ系の非行スキャンダルもあったが、それはどうでもいいw
虚堂の軸はホンモノを使ったという事で、別の三国版「利休」で出てきた伊賀水差しと織部沓形が正真正銘のホンモノ、もう高台の汚れ具合がどう見てもホンモノ。とんでもないのを持って来たなと・・。
萬屋さんの有楽が使った有楽井戸と内藤さんの東陽坊黒楽は劇中のはよく似てたが何とも言えないかな。有楽井戸は東博でホンモノを見た。妻は美大院生の時に喜左衛門井戸(国宝)に触れる機会があったそうだ。国宝で茶を点てるのは保持上厳禁されてるので見るだけ触るだけ。ただし国宝・重文指定等は有楽井戸・東陽坊黒楽にはないので所有者が許可すればコレは違法ではない。
戦前は国宝も使ってもよかったので、五藤だか根津の財界茶で喜左衛門井戸が出たそうだ。菓子料の名目で出席者は今の金額で一律400万円払ったと聞いている。
泪(茶杓)も古田役の加藤剛さんのシーンで一瞬出てきたな。史実でも古田織部が泪を相続してる。コレは遠すぎてよく見えんかったし、千家がソンナもん貸し出すわけがないのでコレはセットだろうな。
東野英治郎さん最後の出演作でもある。明らかに老いて劇中に於いても歩行が極めて困難な様子だったが、名物の水戸黄門の高笑いは健在だった。
三十回は観た。全く飽きない。個人的には極めて優秀な文芸作品で満点だな。
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