惚れ込む時はキモい自分でナンボ。心よりも胸よりも先に、はらわたが踊ること
学生時代にヘビロテしまくっていた曲たちをなぜかふと聴きたくなったので、数年ぶりにちゃんと聴いてみる。
いい大人なのでひとり真顔で無言で何かを叫ぶ、鳥肌も立つ。
内臓の底あたりが熱くなってもごもごとうごめく。
自分の奥深くにある水分が沸騰して脳までこぽこぽと湧き上がってくる。
「は、はらわたが踊る!!!!!」
はらわたが煮えくり返る、という言葉を思い出した。
まだ10代の頃たぶんバイト先のくだらないいざこざか何かで人生で初めてものすごい怒りが湧き上がってきたとき。
「ぬぉおあぁああこれか!これがはらわた煮えくり返るか!
まじではわらた煮えくり返ってるわ今わたし!!!」
目を三角にしながらも冷静にそんなことを思ったのを覚えている。
そう言えばそれまでちゃんと出会ったことがなかった「はらわた」と、そして「煮えくり返る」。
普通に生きてて「はらわた」なんて使わないし、「煮えくり返る」も日常生活で全然なじみがない。
なんなら「はらわたが煮えくり返る」というワードを聞いたことがあるおかげではらわたという言葉を覚えたくらいだ。
そして、「煮えくり返る」ってなんだ?
「煮える」と「返る」を混ぜて使うことなんてはらわたが煮えくり返るときだけなんじゃないか。
いや待てよ、「繰る」もミックスされているじゃないか、3つものワードが組み合わさって新しいワードが爆誕するほどの怒りだったのだろうか。
「煮え繰り返る」は、はらわたにしか係らない、はらわたのためだけのものだ。
初めてはらわたが煮えくり返ると言った人はそのとき何が起こったのだろう。
家族を惨殺されるような酷いことだったのだろうか、それともとっておきのおやつをこっそり食べられたみたいなくだらないことなのだろうか。
なんでもいいけど、遥か昔の人でもつい数日前の私でも共通して、お腹のあたりがグツグツコトコトなる感覚、そして昨日まではなかった新たな言い回しが勝手に自分の口から生まれてくるのは共通しているみたいだ。
怒りと感動みたいに、全然違う感情でも大きく込み上げると人ははらわたが動くのだろうか。
呆れたときにも陶酔したときにも同じくため息が出るように。
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とにかく好きなものは好き。
隅から隅まで、端から端まで味わいたい。
まずは1曲を通してリズムギターだけを聴く、
その次にリードギターだけでまた聴く、
同じようにベースだけ、ドラムだけ、ボーカルだけ聴いて、
最後に普通に全体を聴く。
3〜4分としても×6回。
1曲を堪能するのに20分かけることになるかもしれない、聴き漏らして聴き直したら30分かも、あともう1回って止まらなくなったら40分、しばらくため息を吐く時間も合わせると結局もっとかかる。
舐め回すように聴き込む。
私にとって惚れることは自分がキモくなることとセットだ。
この曲もあの曲も聴きたいからこんなことしてたら時間がいくらあっても足りないよ。
生きててよかった、
生まれてきてくれてありがとうございます、
この作品と出会える時代と場所に存在できてラッキーすぎる。
だって好きすぎるんだもん、どこ聴いても最高すぎるんだもん。
今から寝るまでの間ずっとイヤホンをつけていたっていい。
それで、明日朝起きたらすぐまたイヤホンをつけて陽が沈むまでこの幸せに沈み込んでいたい、寝ているときにも耳だけ働かせることができたらいいのに。
「あけくれる」「アケクレル」「akekureru」、こんな具合でなんとなく頭に出し入れしてきた音。
あけくれる、そっか、明け暮れる。
辺りが暗くなるのも気づかないほど時間を忘れて明け暮れたいと思った。
きちんと意味を噛み締められて使われた言葉の響きの、なんと気持ちの良いこと。
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筆者の気持ちを正しく表しているものは次の1〜4のうちどれでしょう。
こういう類の問題はまぐれでしか正解したことがない。
全部それらしく見えるし、模範解答と解説を見てもあの手この手で言葉巧みに惑わそうと出題者もたくさん考えただろうなとか思う。
それぞれの受け取り方すべてが正解とか、読み手に委ねるとか、敢えて余韻を残すのも良い、でも私は私の考察とかそんなものはいいから生みの親の思惑を知りたいんだ。
正解不正解や優劣じゃなく、正解にただひとつの根っこを知って「へぇぇえええええ!」ってなりたい。
あの頃から時間が経って見えなくなるところにいようと、肩を叩く代わりにツンツンと引っ張って時々私を振り向かせる。
10年以上前に出会ったこの曲と私の心との間には、細くて強い糸か何かが音も立てずにピンと張ったままだ。
” 焦燥と後悔、孤独と渇望、諦めかけてるけどもしかしたらまだ間に合うかもってハラハラしながら、答えが分からないなりに朝も夜もひたすらに駆ける僕、、。”
私の解釈はこんな具合だ。
メロディ、リズム、歌詞ら全てが合わさり、完全なる私の勝手な解釈が目には見えない情景となってぼんやりと、でも確かに浮かぶ。
ところで情景ってなんだろう、具体的には分からないくせにこうして自分なりの使い所は分かる。エモいことだけはなんか分かる。
歌詞という形で確かに言葉で提示されてあるのに、一体なにを言ってるのかは結局全然分からない。
よく見知った中学レベルの英単語しか使われていないのに、現場で並ぶどういう意味なのかさっぱりわからない英語の言い回しと不思議さが似ている。
きっとリリースした当時に音楽と人とか読んでおけばきっと細かく語られていたかもしれないけど、時すでに遅し。ネットにもそれらしきインタビュー記事も載ってない。
本人じゃなくてもいいや!と、ググってみるとなんとnoteで誰かが1年前くらいの記事として考察をとても丁寧に残してくれていた、あんなマイナーな曲なのに、いるもんだな。
全っ然違った。
私の勝手な解釈とはもはや逆だった。
え、男女な感じ?!
僕と、もうひとりの僕しかいない世界線での自問自答、みたいな感じだと思っていたから逆、もう全く逆。
おくちポカンだったけど、納得のゆく超辻褄の合うストーリー。
これを踏まえてもう一度歌詞をなぞってみると違和感が全くなく、この方が作詞したのかと思うほどだ。
自分の想像していた方のエモい世界観はむしろ無理がある仮説に思えてきた、まぁいいんだけど。
もういいや、とりあえずこの曲が、はらわたが踊るようなものだと言うことには変わらない。
高まるー!って言い方をする人を見たことがあるけれどなんかクラブかフェスにいる人っぽくて、私にはやっぱりはらわたくらいが丁度いいや。
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意味はわからないけど心がキュッとなります。
演奏も併せて聴くとはらわたが踊ります。
(はらわた 意味でググってみると大腸とのこと。だ、大腸…。)
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『十二進法の夕景』
十進法で巡る想いを何処かで追い抜いた針が
胸を刺して引き裂いた場所から溢れ出して
降り積もる青い砂
朝焼け 凍りついた海に
月が沈んで光る太陽に僕は迷子になる
夕景 夜が音を立てて追い出す影
君をやり込めるように
さあ行け すべて灰になっても
自分で消したときが最後に君の最後になる
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