【資産運用】アクティブファンドがインデックスに勝てない本当の理由
インデックスファンドとアクティブファンドの違い
2024年の新NISAスタートに向けて、日本でも投資機運が高まっている。しかし、個別株投資はリスクが大きすぎるため、一般に推奨されているのは、投資信託=ファンドの購入である。
投資信託のは2種類存在するのをご存知だろうか?
インデックスファンド:
TOPIX(東証株価指数)やS&P500などの株価指数(インデックス)に連動するように運用される
組入銘柄は、指数と同じ
信託報酬は比較的安め (0.05%~0.2%)
アクティブファンド:
TOPIX(東証株価指数)やS&P500などの株価指数(インデックス)を上回ることを目標に運用される
組入銘柄は、ファンドマネージャーが選定
信託報酬は比較的高め (1~3%)
インデックスファンドは、市場平均(インデックス)に連動するように機械的に運用されるため、コストが安く済むので信託報酬は低めだ。
それに対して、アクティブファンドは、市場平均(インデックス)を上回るパフォーマンスを目指しているため、市場分析や企業分析をおこなう人員が欠かせない。そのためのコストが上乗せされるので信託報酬は高めだ。
成長投資枠でアクティブファンドは正しい選択か?
2024年から始まる新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠で構成されている。
その名称から、つみたて投資枠では安全なインデックスファンドを購入し、成長投資枠ではもっと高いリターンが望めるアクティブファンドを購入するように推奨するファイナンシャルプランナーが多い。
インデックスファンド=守り
アクティブファンド=攻め
のイメージだろうか?
しかし、成長投資枠でアクティブファンドを購入するのは、本当に正しい投資行動なのだろうか?
インデックスを超えることができたアクティブファンドの比率
アクティブファンドは投資のプロであるファンドマネージャーが運用するのだから、市場平均(インデックス)をかなりの確率で上回ることができるはず、と考えても不思議ではない。何しろ、彼らは投資のプロなのだから。
しかし、実際のデータを見てみると、それとは真逆の結果になっている。
例えば、米国株式の過去10年間のデータでは、市場平均(インデックス)を上回ることができたアクティブファンドの比率は、たったの28.5%しかなかった。残りの71.5%では、市場平均(インデックス)に負けてしまっているのだ。
なぜ、このような結果になっているのかと言えば、理由は簡単で、アクティブファンドのコストが高い為だ。高い信託報酬が毎年のパフォーマンスを押し下げてしまっているのだ。
もちろん、信託報酬以上のパフォーマンスを上げることができれば市場平均(インデックス)を上回ることは可能だが、数字を見る限り、それは難しいようだ。
優れたアクティブファンドを選べるか?
しかし、諦めの悪い読者の中には、市場平均(インデックス)を上回ることができたアクティブファンドは少ないながらも28.5%あるのだから、その成績優秀なアクティブファンドを選べば問題ないのでは?と考える人もいるかもしれない。
ファンドマネージャーにも優秀な人はいるはずだから、彼らに任せればいいのだと。
しかし、それも現実には難しいことがわかっている。データによれば、過去に好成績だったアクティブファンドの大半がその後は不振になっており、好成績を持続することは難しいようだ。
けっきょくのところ、好調だったアクティブファンドはたまたま好調だっただけで、ファンドマネージャーの腕がよくて好調だったわけではないということなのだ。
結論
そもそも、市場平均(インデックス)を上回ることができるアクティブファンドの比率は少なく、かつ、その継続性もないとすれば、アクティブファンドに投資する合理的な理由はないと言える。
結論としては、新NISAのつみたて投資枠でも成長投資枠でもインデックスファンドを購入するのが正解である。
ファイナンシャルプランナーはなぜアクティブファンドを勧めたがるのか?
それでは、ファイナンシャルプランナーはなぜアクティブファンドを勧めたがるのか?という疑問が湧くが、その答えは下記2つのいずれかであろう。
無知
ポジショントーク
1の場合は、レベルが低過ぎるので、すぐにでも退場していただきたい。
2の場合は、お金を貰って証券会社や運用会社の代弁をしているのだろう。インデックスファンドの手数料が過当競争によって極限まで下がった今、収益源としてアクティブファンドを売りたいのが証券会社や運用会社の本音だ。
そのような片棒を担ぐファイナンシャルプランナーのアドバイスは、まさに典型的な利益相反行為だ。
アクティブファンドの高い手数料の一部は、彼らの給料の支払いに使われているのだ。賢い読者は騙されないように気を付けよう。
※本記事は、お金に関する個人の見解を綴ったものであり、特定の投資手法や商品などを勧誘するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
お金の教科書
もっと詳しく知りたい方は、拙著『資産運用の新常識』を参照ください。
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