うんを呼ぶ携帯

あれは、1999年の冬、
私は、専門学校の講師をしており
日曜日に検定試験があった。
早めに出勤し試験問題用紙を整理し検定の準備を終えて余裕を持って用意をしていた。
この学校は、他の仕事をする事を許されていたので、私は小さなホームページ作成会社を運営しついた。
検定15分前
試験官が検定中にトイレには行けないのでトイレに行くことにした。
和式のトイレに入るとズボンの中の携帯が邪魔なので胸のポケットに入れた。
ようをたして
前かがみで水洗フックを押そうとしたら
トイレの左端に携帯が落ちだした。
その瞬間、まるでスローモーションのようにゆっくりとトイレに入るか入らないかのラインを携帯が落ちているのをとっさに私は、右足で左外側に蹴りトイレからブロックした。

すると勢いよく左壁にあたりバウンドし
正面の壁にあたり またバウンドし
右側の壁から
トイレに In
オウンゴール!
しかもさっき出したものに突き刺さっている
ブロックしたのにオウンゴール
私は、2、3秒ケツも拭かず立ち尽くした
フルチンで

そんな時
電話が鳴った!
急いでトイレットペーパーを出し携帯をつまみ画面を遠ざけて見ると凄く重要なクライアントからの電話だった。

鳴ってる 鳴ってる
どうしようもなく電話に出るボタンを押すと
遠くの方から
「後ほどこちらから電話しますー」と
「えー 電話遠くて聞こえないので もっと近寄ってー」とクライアントが言っているのが聞こえる。

えーーーーコレ 顔に近づけるのー
と、私は心の中で絶叫した。
その間もクライアントは、
「おーい 聞こえないよー」と何も知らずに話しかけている。
そして勇気を振り絞り
顔に近ずけ
「後ほど掛け直します」と告げた。
クライアントは「それでは、また」と言って切った。
私は、その数秒間息を止めていた。
そして、またトイレットペーパーを沢山だし電話を巻いた。
その後検定が始まり
何事もなく解答を回収し採点し
あの携帯を拭き取り 拭き取り 拭き取り
消毒し 消毒し 消毒し
やっと匂いが取れた頃
あのクライアントから電話がきた。
「実は、新しい仕事を頼みたいのだが」
えっ
「ありがとうございます。」
そして次の日も
次の日もこの電話から仕事がきた。
そしてITバブルが始まった。

うんのついた携帯は、仕事を呼んだ

まだまだ若輩者ですがよろしくお願いします。