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地域の笑顔の総量を1つでも増やす 株式会社ファミリーケアサポート代表取締役 田中卓さん

田中卓(たなか すぐる)さん プロフィール
経歴 札幌学院大学→株式会社レビックグローバル→NECメディアプロダクツ株式会社→株式会社ファミリーケアサポート
職業 在宅介護サービス、リハビリデイサービス事業
活動地域 留萌、札幌

Q.今はどんな活動をされていますか?

田中卓さん(以下 田中 敬省略) ファミリーケアサポート(株) として、留萌と札幌の2拠点を中心に、留萌では在宅介護サービスを中心に、訪問介護、訪問入浴、通所介護、福祉用具、サービス付き高齢者住宅、介護付き有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護など、在宅介護をトータルサポートする形で行っています。

 札幌ではリハビリテーション「楓の風SOU」というブランドで、東京で展開している楓の風グループさんと共同研究しながら、プログラムをやらせて頂いています。
 私自身は二拠点を行ったり来たりしながら、現場には入りませんが、仕組みづくりとか、新しい取り組みを行ったり、マネージメントを中心に行っています。

  社外の活動としては、留萌や札幌の地域の商工会議所に所属していて、地域を元気づける活動をしています。
 その一環で僕自身が大学時代にラグビー部だったこともあって、今年はラグビーのワールドカップが開催されるので、留萌でパブリックビューイングをやりたいと考えていて、地域の市役所の職員のかたも巻き込みながら、プロジェクトのような形で行っていたり、留萌に在住されている外国人との方に向けた交流事業、と言っても平たく言えば飲み会ですが、そういったことも開催しています。前回は外国人のかたにやってみたいことをヒヤリングして、流し素麺や花火、ドラム缶風呂なんかもやってみました。

 それ以外には、ドラッガー学会で認定ファッシリテーターとして活動をしていて、ドラッガーの学びを深める活動をしています。月一回の読書会のファッシリテーターや運営などをさせて頂いていて、今月は合宿の形で、国稀酒造さん(日本酒)などの企業見学の形で勉強するなどを行っています。

 それとフェイスブックの投稿を毎日欠かさず行うように決めていて、基本的には事業のために自分を知ってもらうためにも行っていて、もちろんビジネスに繋がったら嬉しいですし、そうならなくても、出会いのなかで何かが生まれたら嬉しいなと思っています。

『「人間性」と「専門性」の2つの軸』

記者 フェイスブックを拝見したのですが、以前に社員さん向けに研修をされている投稿がありましたね。

田中  社員向けにビジョンマッピングの研修を行っていたやつですね!我が社の人材育成の柱としているのが、『人間力』と『専門性』の2つの軸をテーマにしていて、専門技術などの専門性の前に、人としての土台を大事にしています。あいさつや主体性、本を読むなどの習慣を育てたいと考えています。セミナーのあとは皆で飲みに行くという目的もありますが(笑)、あえて専門的なところを離れて、勉強会をやっていくことは大事だと考えています。

『地域の笑顔の総量を1つでも多くしたい 』

Q.これからの夢や目標はありますか?

田中 会社的に言えば、今、札幌で行っているリハビリテーションのプログラムの規模を大きくしていって、我が社のクレド(信条という意味)の実現をしていきながら、地域の笑顔を1つでも増やしていきたいと思っています。

 ホテルのリッツ・カールトンの取り組みなどを参考に理念を『クレド』という形で設定していて、毎朝の朝礼ではみんなで唱和しています。それを会社として実現するために全力で楽しみながら頑張っていますね。

  地域の笑顔を1つでも増やすという目的のためなら、介護事業でなくても良いのですが、私たちの強みとしては、介護保険ができてから、ずっと福祉の分野で20年間やり続けてきたことがあるので、私たちの強みと地域の求めていることが合致する事業で、いくつか考えているものはあるのですが、それを形に出来たらいいなと思っています。

記者 地域を良くしたいという思いが強くあるように感じますね。

田中 でっかいことを言ったら日本全体を良くしていきたい気持ちです。そのためであれば、まずは顔が見える、札幌や留萌の町内会ですとか、自分達が関わっているエリアの人たち、例えば中央区の笑顔が100万個であれば、100万1個にしたい。笑顔の総量を1つでも多くしたい。リハビリテーションも在宅介護サービスも手段であって、目的ではないので、人生の大先輩に恩返しをしつつ、地域が少しでも元気になれば、結果として北海道や日本につながっていけばと思っています。

『私たちは先代が培ってきた土地に生かして頂いている』

記者 伺っていると実は日本を良くしたいとか、大きな視点からの想いが強くあるように感じますね。

田中 そうですね。今、私たちがこうして、何も不自由なく暮らせているのは、先代が培ってきた土地の上に生かしていただいているということだと思っています。こういったことを福祉の仕事につくまでは考えたことがなくて、前職で東京にいた頃は、IT業界にいて営業の仕事だったので、今月の売り上げ達成がどうだとか、そういったことばかり考えていましたね。

 祖父の戦時中の手記や写真に触れる機会があったことや、地元の方から戦争中の話を聞いたりすることがあって、祖父たちが自分たちを守ってくれたんだなと感じるようになって、現役の世代がすべきことは何だろうと考えるきっかけを頂きました。自分というよりも、日本だったり、地域だったり、子孫のためということが自然に出てくるようになりましたね。

 祖父は最終的に認知症がひどくなって、家族の顔もわからないぐらいになったのですが、普段、他の家族の方のサポートをさせて頂いている身ではありますが、とても感じることが多く、学びになりました。

 こういった話をすると政治的な話のようにとらえる方もいますが、そうではなくて、日本人としてとても大事なことだと考えています。
 
 時間は限られているので、集中して自分のやるべきことをしていかないとなと思っています。

 Q.夢や目標の実現に向けて具体的な計画はありますか?

田中 会社では、毎年経営計画や出店計画を出していますが、社内では経営計画発表会という形で全社員に向けて、私の方からお伝えさせてもらっていて、社員の皆さんからも部門計画を発表してもらっています。

 具体的なところで言うと、このリハビリテーションSOUで言えば、札幌での店舗の数を10店舗にしたいと考えていますが、これは目標であって、目的ではないのですけれど、クレドを実現していくことに注力していきたいです。 

『チームが1つになるために取り入れた「クレド」、離職率2%の実績』

記者 クレドを導入するようになったきっかけはあるのでしょうか?

田中 もともとファミリーケアサポートは母の作った会社でしたが、自分は20代は東京で営業の仕事をしていて、母から戻ってきてほしいと言われて、ちょうどタイミングが合って戻ってきました。そこで見たものは皆いい人たちだし、頑張ってはいるものの、チームとして1つになっているとは感じなかったことがありました。

 その時に明確な経営理念がないことがわかって、皆の拠り所となるような理念を大事にしていきたいと思うようになりました。

 そこでリッツ・カールトンの取り組みであるクレドを取り入れたという感じです。なので弊社の入社試験や募集を行う際の条件は、「弊社のクレドに共感すること」としていて、私たちの理念に共感して頂けないと一緒に働けないとしています。

 そこに共感してくれているので、賃金や労働条件は大事ではありますけど、働くことの意義に共感してくれている仲間なので、お陰さまで離職率も本当に低くなっていますね。

 弊社は社員が100人いて、昨年は離職者が1人で、その一人も卒業して別の業界にチャレンジする形で、今でも仲良くさせて頂いています。業界の離職率の平均は10数パーセントぐらいなので、弊社の離職率は平均としても2%ほどなので、有難いと思っています。

 我が社ではクレドを最上位の考え方として、同列にミッションがあって、その下に私たちの誓い、その下に行動規範があって、フォーカスタマー宣言というものを設定しています。

 日々の業務で迷ったり、意見が異なったりするときはいつもこのクレドに立ち返るようにしています。
 それまではどこに行くべきかとか、大事にするべきことが個々によっていたので、遠回りのようだけれど、共通の価値観を作ることが、大事だなと確信をしていたんですよね。というのは、介護業界で人が辞める理由というのが、1位が法人の方針に納得できないとか、人間関係だったりするのです。なので、賃金とか待遇ばっかりじゃないんですよね。だけど皆、待遇面に走ってしまう。

 皆がそれぞれの専門性を活かして法人の理念に参画していく。別にこの仕事について、数千万円の収入を得たいと思う人ばかりではないと思うので、であれば、そこを全面的に出そうと思っています。

『共通の価値観を作ることは簡単ではないが日々の習慣に仕組みを散りばめる』

記者 以前に他の方にインタビューをさせて頂いた時にこういった専門性のある職場で人間教育をすることに対して、何でそこまでやるんだとか、抵抗が出る人もいるとお聞きしましたが、田中さんの場合、そういった所は日々どのように取り組まれているのですか。

田中 そうですね。もちろん共通の価値観をつくることは簡単ではないですよね。日々培った個人の価値観もありますし、どうしても専門職が前面に出やすいところがある職種ですしね。大切にしているのは、それも含めて仕組みづくりをするということを意識しています。

 朝礼でクレドを唱和したり、読書会の実践、研修も頻繁にやりますし、挨拶の時にはハイタッチをするとか、日々の習慣の中に取り入れるようにしています。一時期は「到知(人間力を学ぶ週刊誌)」を読んだりもしました。

 社員からぞんざいなハイタッチ返ってくると少し凹みますけど、めげずにやっています。うざい社長だと思われていると思いますが、社長ぐらいうざくないとね。
 もちろん何度もくじけそうになる時もありますが、社員が頑張って利用者さんに関わってくれて、喜んでもらえる様子をみたりすると本当に嬉しいです。

『営業時代に培っためげない心と人が喜ぶことが好きな性格』

記者 めげずに決めたことをやりつづけられる背景には何があるのでしょうか?

田中 前職のシステム開発関係の営業時代では、本当に良い経験をさせて頂いて、どんな小さなことでも継続してやり続ける、気持ちが折れないようにやり続けることを学びましたね。

 ドラッガーも言っていますが、マネジメントは教わるものではなく習得するものという言葉があって、自転車と同じで、膝をすりむきながら転びながらやって行くものだと思っています。

  何よりも僕は人が喜んでくれることが好きで、思い出に残る体験のような、メモリアルなものが好きなんです。なので家族とも良くキャンプにも行きますし、ちょっとやりすぎかなと思うときもありますが、昔からそんな気質ですね。

 
記者 AI時代に田中さんがメッセージしたいことはありますか?

田中 AIに仕事が奪われるとは言われていますが、人にしかできないこと。人間としての核の部分はそんなことは無いわけで、環境の変化と共に新しい仕事も生まれてくる訳です。福祉も以前はなかったことですしね。なので環境に合わせてやっていくのだと思います。だからこそ、スキルと人間性は重要な学びかなと思っていて、社員には伝えたいと思っています。

  仮に弊社の社員ならどこでも通用するねって地域や業界の方からも言われるような、それぞれが強みを活かして伸びていけるようなことを作ってあげられたらと思っています。

 僕は環境の変化に合わせて、道しるべになるように導いていってあげられたらなと思っています。

編集後期 田中さんの取り組みをお聞きし、人がまとまり、共通の理念を描き、想いを一つにしていくことの力を感じました。そこには、一歩一歩めげずに取り組み続ける田中さんの意志があると感じましたし、習慣にする仕組みが散りばめられるというところに感動をしました。

日本、北海道をさらに元気にしていくために、益々のご活躍と発展を願っています!

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36

株式会社ケアサポートのホームページはこちら!
http://family-cs.co.jp/

記者 堀江・赤尾(Mission Link)

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