オンラインポーカーやる人へ 破産しない為の導入

 最近デュエプレ界隈でポーカーが流行っている。かくいう私も最近できた無料のポーカーゲームを楽しんでいる。吉良紗幸が板。
 そんな中オンラインポーカーで大金を失った旨のツイートを見た。おそらく十分な導線を得ずに始めてしまったのだと思う。ポーカーの始め方の良い記事・動画は確かにあるが、良くないものも多い。
 本稿はデュエプレ勢でオンラインポーカーで破産する人を減らす目的で執筆した。なるべく文字数を減らそうと思い、根拠となるエピソード等を割愛した為、いささか説得力に欠ける文章になったが信じて読んでほしい。

やらん方がいい

 初めに言いたいこと、言わなければならないことは「オンラインポーカーをやらない方がいい」ということだ。時間もかかるし破産のリスクもある。なにより日本ではグレーゾーンだ。しかも黒寄りの。

 お金を稼ぎたいのならスキルアップに努めるの方がいい。プログラミングや簿記、法律なんかもいいだろう。オンラインポーカーをよりずっと確実で健全だ。

 しかし筆者がいくら言おうと読者諸君は止まらないだろう。筆者自身、学生の頃に明け暮れた時期があった。この項目は筆者の自己満足だ。「オンラインポーカーを勧めたくないが、破産する人は減らしたい」という我儘が生んだものなのだ。

まずエドミラーを読め

 筆者の制止を振り切ってポーカーをするなら、最初にすべきことは良書を読むことだ。ポーカーに限らず無料で手に入る情報は玉石混在だ。「初心者向け」と銘打っていても、分別のつかない初心者が手を出すべきではない。まずは「評価の高い有料の物」を選ぶべきだ。

 読むべき良書だが、自分のオススメはエドミラーの著書だ。具体的には『ポーカースクール(Course)』と『エクスプロイトポーカー(Playing the Player)』の2冊が良いだろう。
 翻訳されているし、安価で購入できる。5000円ほど払って翻訳ツールと格闘してた身からすると羨ましい限りだ。

 『ポーカースクール』はオンラインではなくライブのキャッシュゲームを扱っているが、それでもこのゲームの本質を学ぶのに最適だ。また『エクスプロイトポーカー』はさらに踏み込んだ内容で、プレイヤーに合わせてどのようにプレイするかを書いている。2冊とも古い本であるがポーカーの基本が詰まった良書だ。何度も読み直すことになるだろう。

 amazonには他に以下の2冊が翻訳出版されているが、初心者が読む必要はないだろう。特に『1%』は名著中の名著だが、GTOに関する本なので筆者は初心者が触れるべきではないと考えている。『ハンドリーディング入門』については筆者は未読だ。


真剣にプレイし、真剣に復習しろ

 これもポーカーに限らないが、「本気の実践」と「本気の復習」、このセットだけが技術を向上させるのだ。しっかりと考え抜いたことを冷静に自己評価することで、初めて意味のある練習になる。セッションだけ真剣にこなしても、はたまたセッションは流して復習だけキッチリやっても効果は薄い。

 この考えは多くのテーブルゲームに共通して言える。筆者は現在ポーカーの練習こそやっていないが、デュエプレのそれでは「毎ターン時間を使ってしっかり考えること」と「リプレイ検証をすること」を必ず行っている。リプレイ検証は面倒だが、自身が行ったプレイを後に客観的に評価することの価値は大きい。

 また、レビューするハンドを負けたものに限ってはいけない。ポーカーは運の要素が強いゲームなので「勝った=正しいプレイができた」とは限らないからだ。よってポットを取れなかったハンドもしっかりハンドレビューすべきだ。初めの内はアクションのあった全てのハンドを振り返るべきだろう。

メンタルを蔑ろにするな

 オンラインポーカーにおけるメンタル面の重要性は、どれだけ言っても言い過ぎということは無い。メンタルが意思決定に与える影響は、私たちの感覚よりずっとずっと大きいのだ。

 また、オンラインポーカーでは多いときには1時間に数百ハンドをこなす。ほんの30分ほど機嫌が悪かっただけでも、デュエプレなら2~3試合で済むが、オンラインポーカーなら100~300ハンドにもなる。これはバンクロール(資金)に致命的な損失を与えるのに十分な数だ。

 よってポーカーのスキルの向上と並行して、メンタルとの向き合い方を学ぶべきだ。具体的には「ストレスを感じたらプレイしない」「気分が高ぶってもプレイしない」を徹底すべきだ。メンタルがニュートラルでないと感じたらやめる、これは一種の技術でありトレーニングすべき事柄だ。やめた後は座学に専念するのもいいしポーカー以外の事、たとえばデュエプレに切り替えるのもいいだろう。もっともその際のレートは保証しないが。

 また自身のメンタル自体を鍛える必要もある。おすすめはズバリ「瞑想」だ。怪しい響きだが、何もスピリチュアルパワーでメンタルが鍛えられる訳ではない。一番手軽で効果的な方法がたまたま瞑想だったのだ。「スピリチュアルな人たちがやっている行為が、偶然メンタルトレーニングに適していた」という認識で構わない。

 瞑想に関しても無料の情報より有料の良書だ。少し難しい内容だが『Search Inside Yourself』をお勧めする。科学的に書かれていて説得力があるのが良い。本を読むのが苦手な人は、具体的なやり方以外は斜め読みでいいだろう。


GTOはまだ早い

 ポーカー(NLHM)は既に解明されたゲームで、ゲーム理論上の最適解が存在する。それに沿ったプレイをするのがGTOと呼ばれる戦略だ。現代ポーカーは「GTOを中心に相手によって微調整する戦略」が主流中の主流・ダントツのTier1だ。(理論上の最適解に修正を加えるのは、相手がミスをしてる場合はそこを突いた方が儲かるからだ)

 初心者がGTOを取り入れる問題点は「GTO戦略が難解すぎる」に尽きる。ゲーム理論に基づき高度にバランスを取った指標は、ただでさえ覚えることが多い初心者をさらに混乱させる。また、混乱ゆえのミスがGTO戦略のバランスを著しく損なわせ、結果として大きな損失を被るリスクもある。よって本稿の趣旨である「破産をしない」ことに重きを置くなら、初心者の内はGTOを避けるのが良いだろう。

HUDは使おう

 言うまでもないかもしれないが、オンラインポーカーをやるならHUDは必須ツールだ。HUDの無いオンラインポーカーはマナや墓地、ましてやカードテキストまでもを確認できないデュエプレのようなものだ。プレイする以上は情報格差を無くすのは当然だ。

 またHUDは自分の弱点を教えてくれるツールでもある。自分がポーカーを始めたての頃は「低レートの卓では極端なプレイをするのでHUDはいらない」などと言われていたが、全くの間違いだと思う。極端なプレイをするにしても、自身のアクションが一般的な値とどれくらい乖離しているかを知ることは重要だ。またハンド別の収支は自分がどのハンドを上手くプレイできていないかの発見に役立つだろう。

  さっと調べただけだが、おそらく『ホールデムマネージャー3』がベストだ。いろいろなキャンペーンをやっていたりするので、購入前によく調べるのが良いだろう。

プリフロップ表はCC/3betを覚えろ

 初心者がまず行うのがプリフロップ表の暗記だろう。これに関して一家言あるのでこの章を設けた。冒頭で「無料の物はダメ」と書いた手前、本稿で学習の内容には触れるべきではないだろう。しかしこれだけは書いておきたかったのだ。

 内容に入る前に無料のプリフロップ表で評価の高いものを2つ紹介しておく。現在この2つ以外のものを参考にしている場合は切り替えた方がいいと思う。当然「これらを基に初心者向けにアレンジしました」みたいなものも避けるべきだ。

 まずオープンレンジだが、初心者の内はこれは大して重要ではない。冒頭で紹介した『ポーカースクール』を読んだ上でプレイするのであれば、どんなレンジでプレイしても大した影響はないだろう。参考程度でいい。
 それよりもポーカーで練習すべきは圧倒的にポストフロップだ。「リンパーがいるときは~」等の細かい暗記をするよりも、1秒でも多くポストフロップの事を考えた方がいい。

 一方でCC/3Bet(自分より前の人にレイズされた時のアクション表)はなるべく早く暗記したい。自分がプリフロップで正しいアクションを取るためではない。ポストフロップで相手の持っているレンジを知るためだ。そのため、特にコールドコールするレンジを覚えたい。

 ポーカーはレンジのゲームなので、相手のそれが曖昧なままポストフロップをプレイしても一向に上達はしない。再三になるがポーカーの練習で一番重要なのはポストフロップだ。ポストフロップの練習=ポーカーの練習と言ってもいいだろう。プリフロップ表もポストフロップの練習ツールと考えるべきだ。よって覚えるべきはCC/3bet表なのだ。

目指せ10NLz

 「初心者の内はGTO不要」とのたまったが、どこからが脱初心者と言えるだろうか。筆者はPokerStarsの10NLzoomで大きく負けなければ次のステップに行くべきと考える。具体的な数字を出すと5万ハンドで負けが$500以下(-10bb/100h)ならば脱初心者としてやっていけると思う。これはおおよそレーキ分の負け額だ。つまり10NLzでレーキを考えずにトントンまで打てれば晴れて脱初心者という訳だ。なお5万ハンド打つのはなるべく分散の影響を排除するためだ。

 脱初心者をする頃にはこの記事の事なんか忘れているだろうが、一応GTOを学ぶにあたって読むべき書籍とお勧めのツールを紹介しておく。『ポーカーエリート公然の秘密(1%)』はGTOの導入に適した名著だ。matthew jandaの著書も捨てがたいがこちらは翻訳されていない上に読みにくい。読者諸君が脱初心者する前に翻訳されることを願う。
 GTOのツールはPioを使うのが良いだろう。性能的にはダントツだと思う。


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