住む部屋のこと
私は離婚してから、比喩なんかじゃなく無一文になった。
生きてたらどうにかなるでしょ!と思って実家に帰った。
日雇いの仕事をしたり、掛け持ちしたり、26日くらい働いた月もあった。
お金を貯めて、立地も間取りも建具も最高な部屋を見つけたので借りることにした。
大家さんがこだわりを持って作ったマンションで、大切にしてるのが分かったから、私も大切に使わせてもらおうと思った。
ずっと1人で生きる予定だったから、長く住める部屋にしようと思った。
色んなものを私なりにこだわって揃えて、居心地の良い大好きな部屋になった。
私は1人暮らしだったから彼にとっては都合が良かったのだと思う。
ホテル代もかからないし。
何度か彼に手料理を振舞ったこともあった。
冷やした桃が好き。と言っていたから、
ガラスの器にキレイに並べて彼に出したこともあった。
彼が何度も遊びに来ていた部屋には、もう住めなくなってしまった。
大好きだった家具も処分しなければならなくなった。
引っ越し代、処分代、処分したものをまた買い換えるお金。
必要のなかった出費が増える。
何もかも全部「騙された私」が「見抜けなかった私」が悪いのか。
部屋を引き払う日、ワクワクしながら越してきた時のことを思い出して
「こんな終わり方なのか」と悲しくなって
何も無くなった部屋でワンワン泣いた。
私はこの時の悔しい気持ちを絶対に忘れたくない。
そしてこんな気持ちになる人が1人でも減って欲しい。
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