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私に世界一周が必要だったわけ

世界一周に出たのは大学四年生の秋。この旅での経験が今の私の支えでもあり礎になっている。10年以上前の経験で思い出すのも苦労しそうだし、リアルタイムでバックパッカーをしている人には何の有益さもないけれど、同じような時期に旅に出た人と何かをシェアできれば幸いです。

私の上京物語

北海道の小さい町で生まれ育った私は自分で言うのもなんだけど中学生までは優等生だったと思う。部長・生徒会副会長・短期ホームステイ経験…と、今思えばこの頃が人生で一番努力をし結果にコミットしていた時期だった。

高校受験に失敗してから私の中で何かがコロコロ転がりだしてしまった。母子家庭で育った私の選択肢は大学に進学するなら国公立だったはずだけど、ブレブレで中途半端な高校時代を送ってしまった私は国公立に合格できるわけもなく東京の私立大学に通うことになった。

娘を大都会東京に上京させる親がほとんどいない中、私にその選択をさせてくれた母はすごいと思う。優等生時代(頑張り屋時代)の私を近くで見守っていてくれた母は私の可能性を信じていてくれたのかもしれない。

そんなこんなで上京(厳密には大学は東京、居住地は神奈川)した私はご多分に洩れず、都会の荒波に飲み込まれ自分のちっぽけさ、無力さを嫌というほど実感せざるを得なくなる。

文化人類学との出会い

大学生活を人並みにエンジョイしながらも、自分が何者なのか見失いながら相変わらずブレブレな日々を過ごしていた私。

3年生のゼミを選ぶ時に出会ったのが「文化人類学」。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E5%AD%A6

私の通っていた大学の文化人類学の教授は学内でも有名な変わり者だった。その教授の講義を受けていく中で心の中でカチリとはまる音が聞こえた気がしてゼミに入った。

研究対象の場所でのフィールドワークが必須だったこのゼミで、私がテーマに選んだのは「バリ島のビーチボーイ」の実状を探ること。

今思えばバリに行きたかっただけ…?と記憶は曖昧だけど、同じゼミでバリを研究対象にしていた友人とバックパックを背負って現地に赴いた。

ゼミの研究なんて大義名分をかざしていったものの、フィールドワークもそこそこに現地で出会った旅人と楽しすぎる日々を過ごし、バリからタイに行って、何を思ったのかアンコールワットの存在も知らなかった私がカンボジアまで行った。

この旅で私は出会いの偶然と必然さ。世界の広さと狭さ。異国の地で感じる無力感の中に垣間見ることのできる自分のまだ見ぬ可能性。旅が私を何者かにしてくれる…と確信してしまった。

高橋歩氏の作品との出会い

そんなフィールドワークとは名ばかりの旅を終えて帰国した私は高橋歩氏の本に出会う。

https://ayumu.ch/ja

「根拠のない自信で突っ走れ。」

「必要なのは勇気ではなく覚悟。決めてしまえばすべては動き始める。」

「止まっていると心は揺れる。動いていると心は安定する。」

イメージの湧きやすい写真と共に力強いメッセージがたくさん書かれていた彼の作品は私の旅に出たいという気持ちを確固たるものにした。

世界一周と聞くと退職後の裕福な夫婦がクルージングでする…みたいなイメージがあったけど、高橋歩氏の作品で若者でもバックパック一つで世界一周ができると知った。

少し前の世代であればバックパッカーのバイブルと言えば沢木耕太郎氏の「深夜特急」は有名すぎる名作だ。もちろん私も世界一周を目標に掲げてから読破した。でも、私くらいの世代にとって「世界一周」の一般的なハードルを下げ、背中を押す役割を高橋氏はめちゃくちゃ果たしていた。

上京して迷走を続け、自分を見失い、目的も無く日々を過ごしていた私に「世界一周をする」という事が絶対に必要なことだと感じ、アルバイトに明け暮れ、卒論を4年生の秋に提出し、就活での新卒ブランドを捨て、卒業を待たずに世界一周の旅に出た。

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