鈴木みそ【マンガ家の生活】 vol.13(10月26日発行)

目次
1.今週の日記
2.Q&A

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今週の日記

10月20日(火) 

昨日朝から晩まで遊んでいたもといやっていた取材で、なんとGoProをいただけた。
昔はよくあったのだが、最近は滅多になくなったアイテムをプレゼントしてくれる太っ腹な企画だったのだ。4万円以上するカメラをくれるとは思わなかったので、かなりびっくりした。
ビーツのコードレスヘッドフォンをもらったのは一昨年だったか。
「スマホがあるのに、なぜカメラが必要ですか。と誰もが聞きます。
使ってみるとわかります。これはわざわざ構えて撮るのではなく、撮影者の一部になって一緒に体験をしていくものです」
という説明があり、昨日はカートのレースでいい大人がひゃーひゃー喜んだのだが。せっかくなので今日は自転車につけて撮影してみた。
落としても大丈夫。放り投げて撮影して、取り損なっても壊れない。
このアイテム素晴らしく面白い!

GoProをつけてジムに行ったが、帰りに自転車がパンクしていてがっくり。夜の道も撮りたかったのに。
パンクは今乗っているロードに買い換えた時に1度、この自転車で3回め。この半年で4回目だ。あまりに多すぎて、家の周りにまきびしでも巻かれているんじゃないかと思ってしまう。

パンク修理の練習になるので、明日やってみよう。

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10月21日(水)

パンク修理、それほど難しくはなかったが、手順が悪すぎて50分ほどかかってしまった。ちゃんとした空気入れが欲しい。次は10分くらいで出来る気がする。
午後からテニス4時間。とてもいい感じで打てている。これは今週末のテニスの試合でもいいところまでいけるとちがうだろうか。
試合と言ってもちゃんとしたものではなくて、テニス仲間が事故で亡くなった時から始まった、「忘れてないよ」的集まり。年に一度カップを目指してダブルスで勝負する。
そちらのグループ自体は、毎週日曜の夜にやっているのだが、最近は寒くて暗くて球が見えにくいために集まりが悪くなっているらしい。
夜テニスするのは若者の特権だったのだ。

息子が修学旅行へ出発。

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10月22日(木)

今日はヨメの誕生日。
プレゼントに頭を悩ませるので誕生日など来なければいいと毎年思うのだが、毎年同じタイミングでやってくるから困る。
ある年に、ぶつが間に合わないので、代わりにダンボールを切り抜いて車の鍵を作った。
「今年は豪華中古車でーす」(たまたま車が壊れて買い替えの時期だった)
野球でMVPを取るとくれる、車のキーの巨大レプリカ。あれのつもりである。これがヨメのツボにはまり、いつまでも大切に飾られていた。
それからTVを買い換えた時は巨大リモコン、はたまた8種類のプレゼントの中からひとつ、どれかが当たります。と円の中心にピンを立てて回すルーレット。全てダンボールで作ることになった。
このダンボールアートを楽しみにしているようなので、もういっそダンボールだけでよくはないだろうか。
とも言ってられないので今年は弓道の弓と矢である。なんでも弓だけで6万くらいするらしい。
「52才」と描いたら、まだ51才だった。じゃあ来年のプレゼントがこれで。と言ったら殴られた。

神泉の日本酒の美味しいお店「酒と肴」で乾杯。息子がいないので夜中まで飲みに出られる。あと数年で息子が大学に行くようになると、夫婦二人に戻るんだよね。などと話す。

渋谷まで歩き、カラオケに。
2時間飲み放題で、ビールをガブガブ。
Stevie Wonderのハッピーバースディをリクエストしたが、サビ以外全然歌えなくてゲラゲラ笑う。
西城秀樹はくそ受けたのでよし。
どうやって帰ったのかよく覚えてないが、気づいたら家で寝ていた。

「東村アキコさん「ヒモザイル」を休載 ネットで批判噴出」
これ、普通に雑誌で読んでいたら、特に問題があるとは思わなかったと思う。

ウェブで不特定多数に投げた結果、炎上してしまったが、そう思って読んでみると、まあこりゃ燃えるわなという案件。
批判している人の言い分が至極もっともなので、この連載は終わるかもしれないとは思ったが、物を書くということは正論だけではもちろんなく、上から下から裏から、もういろんな方面からたくさんの手を使って刻んで見て、面白いものを創りだそうという執念なので、こういう勇み足はします。そりゃもうたくさんします。昔の作品を掘り起こされて、チクチクチェックされたら、ホコリの出ない作家は少ないでしょう。そういう意味で東村さんは気の毒だと思いました。

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10月23日(金)

ジムで筋トレ後、イーブック打ち合わせ。
そろそろ形にしないといけないので、取材を入れて方向を決めることに。

コツコツ読み進めてきたスティーブン・キング「11/22/63」
上巻 

最後は朝方になるまで一気に読んだ。2ヶ月かかったが、さすがにスティーブンキング、読み応えがあった。
外国人にもかかわらず、1963年のダラスに住んでいたかのような錯覚を覚えるほど、あの時代の空気を書き出す筆力に圧倒された。
アイディアはシンプル。あるうらぶれた飲食店の奥まった場所に、過去に繋がる目に見えないうさぎの穴のようなものがある。そこは1958年の特定の日時につながっていて、いつでも同じ時間にトリップことができる。
どんなに長い時間過ごしても、元の世界に戻ってくると2分しか経っていない。
過去の世界で行った行動は、現代に影響を与えるが、次に過去に戻る穴を使うとその効果はリセットされてしまう。
なんでこういうややこしい設定なんだろう。と不思議だったが読み進めるほどに、なるほどなあと膝を打つようにできている。
主人公は、(もどった過去から5年後の)1963年にリー・オズワルドによって頭を撃ちぬかれたジョン・F・ケネディを助けたいと考える。
ケネディさえ生きていれば、その後のベトナム戦争は起きなかったに違いない。多くのアメリカ人を救い世界を救うことができる。
というのが大きな設定。なのだが、物語は主人公の恋愛から日々の生活を丁寧に書き出すことで、SF的な仕掛けを忘れさせるほどに、過去の世界にどっぷり浸らせる。
「歴史は改変されることを望まない」ので、大きな動きをしようとするたびに車は故障したり、倒れた木で道路が塞がれたり、たくさんの困難に襲われるが、実はこの丁寧な主人公やその周りのキャラの描写こそが、歴史が(そしてキングが)しかけた罠なのだ。
魅力あるキャラクターを書き出していくことで、非現実的な設定にしっかりと肉がつき、主人公の行動に共鳴しながらも、世界を変えることを望まない読者が、オズワルド殺しを息をひそめて見つめることになるのだ。
これを漫画でやるのは小説ほど難しくはないと思うが、資料集めで死んでしまう。漫画は小物ひとつ描くにも資料なしでは難しい。
歴史物を描いてる人はホント大変だろうと思う。好きでなきゃできないなあ。

(それにしても電子書籍なのに上下巻に分けるのは納得いかない。1冊にすると高くなるからなんだろうけど)

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10月24日(土)

ジョギング9キロ。
ちょっと頭にエンジンがかかり始めてきた。
やるなら、今まで誰もやっていないところに餌を投げたい。それがブルーオーシャンなのだから。
みたいなことを言うとかっこつく、と思っていたら「レッドオーシャン、ブルーオーシャン」という単語は、日本人のビジネスマンが使うような意味ではないらしい。
まだ競争相手がいないうちに始めれば魚影がたっぷりの海で入れ食いになるチャンスがある。というのが「ブルーオーシャン」
競合する相手が多くて食べるのが難しいのが「レッドオーシャン」
だとして使っているが、アメリカの経済学者が使った言葉の意味はそんな単純なことでなかったようで、誤用されているうちにその使い方が定着したんだという。
オレもこの単語使いたかったけれど、レッドとブルーがこんがらがって、どっちだったかなー。と混乱するので人前では使わなかったのが幸いした(笑)

夕方息子戻る。新幹線で読んだという文庫本「ちょっと今から仕事やめてくる」が面白かったというので、パラパラめくってるうちに30分で読みきってしまった。結構面白い。
これ、ベースはあれだね。関西弁のガネーシャが出てくる自己啓発本。えーとタイトルが出てこない。あの本超面白かった。
あ水野敬也の「夢をかなえるゾウ」だ。

Kindle版350円。

一昨年Kindleの月一冊無料で借りられる本で読んでしまったが、続編2冊(こっちはかなり高い)をつい買ってしまった。見事に戦略にやられたw。
未読の人はぜひ読んでみるといいですよ。ガネーシャが恐ろしいほど面白いキャラで、このキャラのおかげでどんどん読み進めてしまう。
水野敬也は新刊が出たら買ってしまう作家になってしまった。

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10月25日(日)

午前にジム。
たっぷり走り、夕方からテニスの試合に。
18人、9チームを3つに分けて総当り戦。それぞれの1位、2位、3位をまた分けて1位から9位まで順位が出る戦い。今年は予選を2勝で抜けて1位リーグへ。よし、優勝狙えるじゃん。
と思ったのもつかの間、バタバタとゲームを取られて流れを持って行かれた。あれ? もう終わり? 0-6の団子で負けた。もう一つの試合も女ダブに2-6の完敗。あーあ、調子いいんじゃなかったのかよ。
サーブリターンできないんでさっぱりゲームにならなかった。みんなよくあの暗さで速いサーブ返せるなあ。
でも、大きな部分は技術でも目でもなくてハートなんだよね。攻める気合がまったく足りなかった。ラケットを大きく振れば、ミスショットの危険は増えていく。
ゆったりコースを打つテニスをずっとやってきていたが、上のレベルでは全部叩きこまれてしまう。
強く打ってミスを連発。という悪い流れになってしまった。それでも強く打たないといけない。ミスをしてもいいから強打。そういうシリアスなテニスが辛くてやめてしまったことを思い出した。
数年ぶりの試合なのにがっくり落ち込んでしまった。

いっしょに試合に出た山本直樹親子(社会人の息子もテニスを始めた)と「味の民芸」で打ち上げ。飲み放題で日本酒を煽っているうちに気持ちが晴れた。
まあ、しょうがない。強い人は強いし、自分のプレイスタイルは簡単に変わらないのだから。
いつも思うが、こういうことはマンガも同じで、自分のスタイルを磨きこんで武器にするしかないのだ。実力が足りなければ練習するしかない。神のように上手い人はいて、届かないのは当然なんだが、ワンチャンスあるかもしれない。と続けていくよりしかたない。でなければ辞めるしかない。
デッサンしないといかんな。

毎日日記を書かないと、最後がバタバタで大変になる。と毎週わかっているのにバタつくので、次回から一日のニュースを入れていくことにしましょう。そうすると毎日書かざるをえなくなる(笑)
さてうまくいくでしょうか。(とりあえずなんでもやってみる主義)

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Q&A

【質問 ルキさん】
お財布見つかってよかったですね。読んでてどきどきでした。

みそ先生はこれからテレビのお仕事とか来たら出演します?
テレビのバラエティとかでみそ先生出たら見たいです。
えびすよしかず(すみません字がわかりません)先生みたいな
立ち位置というか、そういう方面どうですか?

【みそ アンサー】
テレビの出演以来は来たことないですねえ。
ラジオは去年、1週間やってみたんですよ。1回7分、7本撮り。TBS系列。
パイロット版として地方で流して、番組が成立するかどうか反応を見て決めるというやつで、かなり本格的にやりました。
7分でも撮るのは大変で、最初の1本は2時間くらいかかったんじゃないかな。
一人で10分くらい話し続けるというのは、想像以上にしんどいんですよ。本当に難しい。
これを生放送とかでやるのはすごいことだなあ。とアナウンサーやタレントが気軽に話しているように見えていたラジオの見方が変わりました。
その後お話がなかったので、反応はかんばしくなかったんだなあ(笑)

蛭子さんはマンガ家というより、蛭子能収という特異なキャラクターで、取り換えのきかない人なので、テレビに向いてますね。特にドラマでは貴重なタレントだと思います。
自分はあんなどっしりとキャラが立っていないので、テレビ向きじゃないと思いますが、依頼が来たら出ますよ。さあ来い(来ない)

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ずるずると地滑り的に月曜に更新していますが、本来「電子書籍が一番売れる週末」の前に本の情報を投げる、ために作ったメルマガなので、金曜の夜に出るのが望ましいんですね。
新刊出てないのでまあいいんですけど。
よくないかな。
今週は土日に出すよう努力します。
では、急に寒くなってきたので体に気をつけてジョギングしてください。
走ってませんかそうですか。

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