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街に出る前に彼女を拾おう

朝が好き
朝の光がほんとうに好き
明けてゆくのを見るのが好き
暮れてゆくのと同じくらい好き
電気を消して
部屋の全貌が見えるようになるのを待つ
それは一瞬で
希望の始まりだと言わんばかりに
唐突に
闇を打ち消してしまう、
朝が好き、おなかがすいて、洗濯物を干して、
パンを焼いて、お湯を飲んで、
やっと布団にはいって眠ることができる、
やっと昨日が終わったとほっとする、
どれだけ取り去ろうとしたって
死ぬことは置いていけない、
一緒にいよう、生きることと一緒に、
そしたらやっと今日がはじまって、
また終わるのを待つんだ、朝がきたら
今日は昨日になるから

人生をすり減らして安心している、
それでも今日は桜を見ながらごはんを食べるから、
この連休の苦しみを終わらせるから、
なんとかしよう、
どうかしてる、
どうかしてる。
掬い上げられたあの日からずっと、水面の、光から生まれたこどもになって、走り回っているんだ、それは本当なんだよ。本当なんだ。光を信じてる。同じくらい闇を信じている。色んなことを教えて欲しい。わたしはもう自分のことを知りたくない。これ以上自分のことを知るために生きていたくない。どんな自分でも関係ない。ひとのことが知りたい。好きなひとのこと。知らないひとのこと。必死になって生きたい。もう必死になってひとと関わることはできないんだろうか

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