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モネの睡蓮

大阪の端っこにある、汚いと言われてる大きめの川を今日たまたま見たのだけど。そこで夕日に照らされるその川が、印象派の描く川、湖そのものの色や形や空気を含んでいて、それは本物だった、たまらなかったよ。
わたしは何度もモネの描く水面を見よう見まねで描いたけどそんなものは全然リアルじゃなくて嘘っぱちの感動だ。画面のために絵の具を乗せるんじゃ真理に置いてけぼりを食らう。庭に蓮の花が咲きまくってる巨大な池があったからって、その瞬間、あの場であの絵が描けたのはモネだけだった

ふと思い出したけど、少し前、寒くて震えてるわたしに向かって、サークルの後輩が「蓮さん、寒いのっていいことなんですよ、寒いと感じることはすごいことなんです。これ、考えてたら真理に近付きますよ」と言ってきて、ほうほう、で、なんなの?あなたの思う真理とは?ワクワクって感じだったのに話はそこで終わりだった。え〜〜!自分で考えろパターンだ〜!と思ったけどまあ言ってることは分かるし、なんだかそれを告げてくれたことが嬉しくて、寒い時はこれを思い出している。「凍冬は最強です」を「TOTOは最強です」と思って、あ、トイレ?便器あったかいもんねえ最強だよねえなんて考えていた馬鹿な先輩でごめんよ。その後輩、1回生の頃から知ってるんだけど頭がよくて自分をしっかり持ってるし意見もはっきり言えて、時たまだらしないところも可愛くて、もっともっとたくさん話しておけば良かったと思う。絵について話せる場があったのは幸せなことだった。

卒展と卒業を前にして怖気付いている。去年までの勢いがシュンと落ち着いてしまった。絵がここに辿り着いたのもこうして完成したことも受け入れるしかないのに絵に関して全然自信がもてない、いつまでたっても。
わたしを好きと言ってくれる、わたしの絵を知らない人が、わたしの絵を好きと思ってくれるかは別なので、きっとそれがこわい。どうかわたしの絵を嫌いにならないでほしい。素晴らしい技術があるわけでも、アンニュイな雰囲気があるわけでもなく、ましてや印象派でも、リアリズムでも、アヴァンギャルドでもないけど。


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