ひかりこ日記86 食いしん坊バンザイ（たつ10ヶ月）

たつは、よく食べる。
少し前までは、出されたものは何でも残さず食べた。
この頃は、味にうるさくなってきて、嫌なものは口から出すことを覚えた。
と、同時に、みんなの食べている物の方が、自分のご飯より美味しそうだと気がついた。

ある朝、ぱーが、ママにご飯を食べさせてもらっているのを見た、たつ。
自分のご飯より、どう見ても美味しそう。
たつは、自分の椅子から這い出してきて、ぱーのスプーンをつかんで、自分の口に入れようとした。
「これは、あかん！」
と、取り上げられそうになり、
「ううー、あー」
と抗議したが、かなわず。
大きな声で泣いた。

また別の日、ママの膝に抱っこされている時、ママが頭上で餃子を食べた。
自分のご飯よりいい匂いがする。
「あうう！！」
大声を出してみたが、美味しそうなものはもう、ママの口の中。
たつは、膝の上に立ち上がると、両手でママの口をこじ開けようとした。
「やめて！」
大慌てで飲み込んだので、ママの口の中はもう、空っぽ。
「あう！」
怒ったたつは、両手でママの顔をたたいてみたが、もう美味しいものは出てこなかった。

たつが、好きなものを食べられるようになるまではもう少し。
その日が来るのが、楽しみ半分。
怖さ半分……