【一人用台本】じゆう

「父は不器用な人でした。
年頃の娘の私と接する時は、いつも恐る恐るといった感じで…。
でも、すごく優しくて私のことを何より１番に大事にしてくれました。
大丈夫って言ってるのに、送迎するって聞かなくって…。
上京する、って言った時は全力で止められたなぁ。

母は料理が上手で、お弁当は毎日手作りでした。
外食したいって言うと、まるでお店みたいなご飯を作ってくれて…。
友達と遊ぶ時も、手作りのおやつを持たせてくれたんですよ。
コーディネートなんかも好きで、同級生がみんな同じような服装をしている中、私だけ一目置かれてたんです。

姉は自由な人でね、なんでも一人でやっちゃえるんです。
理論に基づいて考えられる人で、私はいつも『それ無駄じゃない？』って叱られてたなぁ…。

兄は平和主義で、いつも父と姉が喧嘩をしていると、背を向けてやるせなさそうにしていました。
でも時々、誰が悪いかビシッと言う強さもあるんですよ。

…じゃあ、なぜこんなことをしたのかって？

自由になりたかったんです。
私は、やっと自由になれたんです。」