血湧き肉踊る、そんな絶望。
現実と感性の狭間で
葛藤している夢だった。
感覚の世界では
確実に感じられた手ごたえが、
目を開けてみると
現実には何も起きていない。
でも、その強い感覚だけは
自分の中にはっきり残っている。
-
光に包まれ
空中を泳ぎ切ったその恍惚感。
平泳ぎの要領で
力強く両手で掻き出し、
まばゆい光の空間に飛び込んだ
その刹那。
目を開いた場所は暗く、
何もない静寂の世界。
しかし、
そこは同じ空間。
-
今、飛び込んだよね、
確かにこの手で。
境界を超えて新しい部屋へ。
血湧き踊る歓声と共に。
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今あるのは、
期待を込めて
見守っていた仲間たちの
息を飲むような、
背後からの気配。
-
共に羽ばたき
ラッパを吹いていた
天使だった彼らの
生気を失ったその存在感。
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目の前に広がるのは、
しん、という音が響き渡るような
静寂の空間。。
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落胆、茫然、
感情は伴わない冷たい混乱。
-
ただただ、
至上の恍惚感と
地上に堕とされた
そのひんやりとした感触だけが
今も残る。
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