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天童よしみ発、ヴェルヴェッツ経由。

今夏、1stアルバムを発売した河内宙夢くん。
ミロクレコーズでは最近彼のことを推しまくっているが、そもそも「河内宙夢?誰だよ!」と思っている方もたくさんいるだろう。京都インディーシーンにのっそり現れ、気づけばいつもひとりライブハウスの陰になってるあたりで申し訳なさそうに、でもどこかふてぶてしい表情でタバコを吸っている。一体河内くんとは何者ぞ?そんな疑問に応えるため、今回は彼に「自分の人生を通り過ぎていった歌」を10曲教えてもらった。

※以下、曲に対するコメントは本人によるものです。写真をクリックするとYouTubeの映像/音源に飛ぶことができます。なお、本記事は、2019年8月3日から14日までミロクレコーズ(@Mr_mirokun)より連続投稿していたツイートを下敷きにしたものです。

①天童よしみ「川の流れのように」

子どもの頃、母親が運転していた車のカーステレオからよく流れていた。
その頃の母親のカラオケの十八番で、職場のカラオケ大会が間近になると母は、運転しながら歌っていた。
私も車で一緒に歌って楽しかった思い出。先生に歌わされるような歌ではなく、ただただ一緒に「あ〜あ~」と歌っていた。
なぜ美空ひばり版ではないのかは分からない。天童よしみのほうが庶民的で親しみやすかったのかもしれない。

②ホール&オーツ「Rich Girl」

隣の兄の部屋からいつも聴こえてきた。兄は色々な曲を知っていた。
私はいい曲だなと思いながら、ゲームをしていた。初めて好きになった洋楽かもしれない。

③サイモン・フィン「Jerusalem」

「Pass The Distance」というアルバムは、国分寺にある珍屋(めずらしや)というCDショップで買った。
なぜ買ったのか。今では覚えていないが、坂本慎太郎がおすすめしていたからかもしれない。
サイモン・フィンの歌声は情けなくて、モテなさそう。学生時代、よく心に流し込んでいた大切な曲。

④Nina Simone「Ain't Got No... I Got Life」

やっぱり白人じゃなくて黒人だ!って思った一曲。歌詞がすごい。これはニーナシモンしか歌えない。
ジョンレノンの「God」と歌詞が似ているが、ジョンは最後「I believe in me」と閉じて終わっている。
鶴見俊輔はキリスト教は you're wrongの宗教と言っていた。ロック(?)もそうかもしれない。
ニーナシモンはyou're not wrongと肯定してくれる。
私はまだI'm not wrongと言いたいだけかもしれない。

⑤豊田道倫 「うなぎデート」

高校生の時、実家のトイレに「しあわせのイメージ」が置いてあって、ブックレットが読みかけのままだった。
私はそれを拾って、部屋に戻ってコンポにCDを入れた。
このポップな曲を聴いたとき、大きな違和感と一緒に心ときめいたのを覚えている。

⑥David Bowie 「Modern Love」

昔よくライブをしていた下北沢のバーのマスターが、ミシシッピ・ジョン・ハートの歌を聴くと一面の綿花畑が見えるから凄い。と言っていた。
じゃあデヴィット・ボウイは宇宙ですか。と言ったら笑われた。
帰り道に自分の歌を聴いてみたら、ほのかにスペルマの匂いがした。

⑦田辺マモル「プレイボーイの歌」

物語の様な歌詞は、田辺さんの影響が大きいかもしれない。
とても恥ずかしいことを言っているが、それは歌になることで、メロディーが付くことでグッと心を引き寄せる何かになる。
なぜか洗濯物をしながら、聴くことが多い。

⑧Velvet Underground 「Pale Blue Eyes」

いつかこんな曲が書けたらと思っている。
くたびれた時、不安に襲われたとき、人から離れてこの曲を聴いていた。
この曲だけじゃないが、名曲を聴くとき、人生がくにゃっと曲がる感覚がする。
曲が終わると人生は元に戻るが、景色はいつもと変わって見える。
私も音楽で誰かの人生をくにゃっと曲げることができたらと思う。

⑨James Chance and the Contortions 「Designed to Kill」

京都で友人にアルバム「buy」を教えてもらった。その1曲目に入っている曲。
この曲を聴いた時、今までにない、新しい感情に出会った気がした。
凄い元気になるわけでも、泣けるわけでもないけど、とにかくカッコいい。
切れない包丁でスパッと心を切り裂かれるような音楽。
私の心の包丁も中々切れないから、ジェームスチャンスにはすごく勇気をもらった。

⑩河内宙夢&イマジナリーフレンズ「夏が来ている」

何もかもできるような気がして、何にもできなかった20歳の頃、当時付き合っていた彼女にもフラれてどうしようもなくなっていた時に、初めて作った曲。
別にこの曲ができて、立ち直った訳でもなく、前に進んだわけでもないけど。
色々形を変えて歌ってきたけれど、この形が正しかったんだと、鴨川を歩きながら聴いて確信した。
当たり前だけど、バンドで、このメンバーじゃなければ、実現できなかった。
4:10~の音、宇宙を感じることができて、安心した。

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いかがだっただろうか?
ロックはもちろんのこと、フォークから演歌まで、一筋縄じゃ済まさないぞという気迫溢れる、鋭角めの選曲。さしずめ「ひねくれ者に見られたいのに少年のピュアさも捨てきれない」といった彼のキュートな人柄が少し見えてくる気がする。最後、自分の曲でシメちゃうところは末っ子っぽいネ。

興味を持った方は彼のツイッターを覗いてみてもいいかも。ただ、本人曰く「たいしたことは書いてない」。
ブログもやってるらしいぞ。こちらは「まあ、見るならこっそり見てほしい」とのことなので、ここにもリンクは貼らない!
でもやっぱり一番は──「アルバムを聴いてほしいよ、そりゃ。それが俺を一番理解してもらえると思うから」。

2019年 夏も終わろうとしている

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