「AI」と安全

ここ最近「AI」や人工知能という言葉を耳にすることが多くなってきた。テレビのニュースなどでも頻繁に特集として取り上げられている。今回はその「AI」について、兵庫県明石市にあるふくやま病院の理事長であり医者の譜久山剛さんの意見を交えながら考察をしていく。近年、社会問題となってきている高齢者ドライバーによる悲惨な事故を減少、撲滅させるために「AI」は役にたてるだろうか?そういった点に着目していこうと考える。

「AI」を用いた事故防止に取り組むものに自動運転がある。自動運転とは車に装備されたカメラやセンサーからの情報を「AI」が分析し、運転者の運転をサポートしたり、サポートなしでも走行できるシステムのことだ。また、自動運転にはレベル0~レベル5まで6段階があり、現在の日本において市販車に装備をされているのはレベル2までだ。
レベル0はドライバーがすべての操作を行う。

画像6


レベル1はステアリング操作か加減速のいずれかをサポートする。

画像5


レベル2はステアリング操作と加減速の両方が連携して運転をサポートする。

画像4


レベル3は特定の場所ですべての操作が自動化、緊急時はドライバーが操作。

画像2


レベル4は特定の場所ですべての操作が完全に自動化される。

画像3

レベル5はあらゆる状況においても操作が自動化。ハンドルもアクセルも不要。

画像1


また、レベル0~2は運転支援、レベル3~5が自動運転と呼ばれている。レベル3以降のシステムを市販車に搭載するには法整備等が必要となる。

画像7


こういった運転支援や自動運転が高齢者ドライバーの悲惨な事故の減少につながるのだろうか。高齢者ドライバーの事故は他の年代の事故と比べて人為的な操作ミスなどがとても多くなっている。そのような事故は「AI」における運転支援や、自動運転の活用によって防ぐことは十分に可能だと考える。2018年の交通事故全体の死者数は前年比4.4%減の3532人と過去最少だったものの、うち65歳以上の減少率は2.7%と小さく、全体に占める割合は54.7%から55.7%に上昇した。このように、実際に発生している事故の割合を見ても高齢者ドライバーによる事故は多くなっていることが裏付けられている。
私は実際にこの運転支援や自動運転に対する質問を譜久山氏に投げかけてみた。すると譜久山氏は「事故をなくそうと思ったらAIがどこまで信頼できるか。AIが信頼できないと例えば酔った人や判断能力が良くない人が運転支援のついていない自動車を扱う場合もあるから。人が運転していることで予想されていない動きをする可能性のある車に対してAIが対処できるかが重要な点になる。簡単なところの高速道路で自動運転のテスト検証を行ってから一般道に導入した方がいいと思うね。一般道は人が急に出てきたりして危険だから。段階的に進めていかないとね。」という考えを持っていた。

実際に私もバイクに乗ることが多く、一般道などで危険な運転にでくわしたことが何度かあった。また、自動車だけではなく歩行者や自転車などもいることから高速道路から段階的に導入することは、自動運転を実現していくうえで問題となってくる法整備等の問題に対しても対処できるのではないかと考えた。ここで私は一つ引っかかる部分があった。安全のために自動運転の実現へ向けて開発などが急加速をしている。実際に日本政府は2021年の11月から販売される市販車はすべてに衝突被害軽減ブレーキの装備を義務づける方針で調整に入っている。しかし、自動車とは移動手段という役割だけではないと私は考える。私のように車やバイクに乗って走ることを楽しむ人がいる。つまり、ドライブといった趣味を持った人がいるのではないだろうか。現在のように安全という側面だけに注目をし、自動運転の実現という目標に向かって進んでいくことでドライブという文化がなくなってしまう可能性があるのではないかと私は危惧している。私はそのような将来は少し寂しい気がしてならない。その私の考えに譜久山氏は自動運転の先にある未来の姿についても話してくれた。「自動運転のメリットはすごく大きくて、豊田自動車などは車を移動する「手段」ではなくて移動する「空間」っていう風に考えている。例えば僕たちが朝仕事に行くよって時に着替えて電車乗って行かないといけないってなっていると思うんだけど、部屋の一部が動くようになったら家が動いて出迎えをしてくれるのもありじゃないかっていう考えも出できている」という風にとてもユニークで新しい発想が生まれてきていることも教えてくれた。

今回の譜久山氏へのインタビューなどから、私の持っていた高齢者ドライバーによる悲惨な事故を減少、撲滅するために「AI」は役にたてるのだろうか?という疑問に対して、「AIは役に立てる」という答えがでた。いま広がりつつあるのは運転支援システムであり、自動運転の市販車への装備は実証実験や法整備等が必要となることからもう少し時間を要する。従って、尊い命を奪う悲惨な事故を減らすためには自動運転の普及ももちろんだが、それ以前にまずは運転をする私たち人間自身が今一度安全に対する意識を高く持ち、安全運転を心がけることが重要である。

参照:自動運転の基礎知識https://www.volkswagen.co.jp/ja/volkswagen/technology/autonomous-driving.html

多田翼

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?