出来るを増やすことでやりたい事が変わる
あなたは、自分のやりたいことを優先しすぎていませんか?
私たちは鳥屋尾さんがワコールに入社してから今まで感じてきたことをインタビューした。
鳥屋尾優子さんは、株式会社ワコール入社後、経理・財務部門に配属され、その後広報・宣伝部門を経験し、2016年に美をテーマにした「ワコールスタディホール京都」を立ち上げ、館長を務め、現在は京都造形芸術大学に通いながらワコールホールディングスのダイバーシティ・グループ人事支援室室長、監査室長を勤めている。
私は、就活をしていく上で自分が何を将来やりたいのかを第一に考えていた。実際、就職活動をしている大学生のほとんどが気になる業種を調べ、自分がやりたいと思っている事ができる企業に行こうとするのではないだろうか。
インタビューで鳥屋尾さんは「ワコールに入る際、自分はやりたいことっていうのをやるために入ってへん。国際事業部に入りたいと思っていたし、それがやりたいと思っていたけどその仕事じゃないことを担当したとしても、別に、それならそれをやりますって言う感じ。」と言った。仕事を選ぶときにやりたいことをしたいと主張するのではなく、会社に入ってから与えられた仕事を全うしようという事だ。
若い頃はやりたいことを「やりたいやりたい」ってずっと言っていたけど、入社して何年か経った頃に気づいたことがあるそうだ。
それが、「できることとやらないといけないこと、そしてやりたい事の3つがある。その3つを考えた時に、会社は何かしないといけない事があって人を雇っているから、会社でやるべき事は決まっている。自分のできる事がまだ1番小さく、会社でやらないといけない事すら出来ていないのに“自分のやりたい事をやりたい“と言っていても何も始まらない。」という事だ。
だから、鳥屋尾さんはまず自分のできる事をどんどん増やしていくべきだ。そうすると今何をやらないといけないのかが見えてくると言う。
鳥屋尾さんは会社でやるべき事を見ていく際に会社についても良く知る事が大事だと言った。
会社には創業者がいて、創業者はなにを思ってこの会社を創ったのかというところを1回考えてみたら良い。うちの会社は戦争があって、世の中の女性が美しさなんて言うたらあかん、そんな美しくなるなんて言っちゃいけない時代だったから、創業者は女性が美しさっていうものをすこぶる謳歌できる時代を作るっていうのが平和な象徴やからそういう世の中を作りたいと思いはった。その時ブラジャーを着けている人なんて1人もいなかったから、洋装文化が来る時に女性の体を美しく見せるブラジャーを作ろうと思ってこの会社を創った。それを知れば会社にいる事で自分が社会とつながっているって思えたから、会社が何をすべきか、自分は何をすべきか、の接点が見えて来たと言った。
違った形で出てきた自分のやりたい事は、能力のない時にやりたいと行っていたことよりも会社のためにもなるし、人に貢献もでき、自分も出来ているという事がやりたい事になっていくのだと言った。
また、地に足ついたやりたいことは会社のためにもなるし、自分のやりたいことでもある。それが出来るように自分の出来る事をまた増やすっていう、順番はやりたいことからじゃなくて、出来る事を増やすこととやるべきことを知ることから始める。それで初めて会社でやるべき事がくみ取れる。それがすごく短い期間でくる人もいれば、なかなか来ない人もいるけど、そういう順番だと思うから、入りたい業界くらいは決めといた方がいいのかも知れないが、あんまり今はやりたいことやりたいことって思わん方が若い時は良いのではないかと思っているそうだ。
この鳥屋尾さんのような考え方を会社側から見てみると、社員の能力開発が大事と言う点にリンクする。会社の企業目標などを社員1人1人が的確に理解し、同じベクトルで行動する事が大事だ。
つまり、企業が競争力を高めるためには、社員の能力開発を継続的に行う事が欠かせない。
そのような、上司が仕事を通じて行う計画的、継続的な教育方法には研修や講習のほか実習や実務を通じて学ぶOJT(職場内教育)などがある。OJTとは、上司が部下の職務に必要な能力を・スキル・知識の向上を目的として実際の職場での仕事を通じて行う計画的、継続的に行われる教育方法であり、部下の育成には最適な教育方法とされている。
以上の点から、会社に入った際、会社を選ぶ際はあまり絞ってしまうのではなく、入った会社のことをよく知り、そこで何を行っていくべきなのかを考えるのが大事だ。そうすれば会社にとって必要な人間となり、社会に貢献することができるのだ。
私は就活をしていますが、この鳥屋尾さんの考えを知り、新たな道が見えてきた気がしました。自分に能力がないのにやりたい事ばかりを見ていても何も始まらない。まずは足元を見つめ、自分のやるべき事を見つめ直そうと思った。
現在、世間で売り手市場と言われており、学生が就職しやすい状況となっています。そうした中で、学生は雇用されると言う立場から自ら選択し、会社を選ぶと言う能力が必要になります。しかし自分が何をしたいのか明確ではないと言う人の多くいるはずです。どうしたら会社の役に立つ事ができるのか、社会に役に立てるのか。を考える事が大切なのではないでしょうか。
文 Saori.K
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