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3つのステップ「できること、やらなければならないこと、やりたいこと」

 就職活動を行う際に、あなたなら何を条件に選ぶだろうか。業務内容だろうか、それとも職場の雰囲気だろうか。給料の良さで選ぶ人もいるかもしれない。

 ここでは就職活動を行っている学生がワコールの鳥屋尾優子さんから就職前から現在までのさまざまなお話しを伺ったことを就職活動に悩む学生目線で綴っていく。彼女が過去にどのような動機でワコールに就職し、現在に至るまで何を経験してきたのか。そして彼女の素晴らしい考え方を。

 彼女はワコール入社後、経理・財務部門に配属された。その後広報・宣伝部門を経て、2016年10月に京都駅前に美をテーマとした学びの場「ワコールスタディホール京都」を立ち上げた。現在はダイバーシティ・グループ人事支援室長を務めている。

 彼女にこだわった入社動機はなく、「京都で働きたい」という思いで入社したと言う。また、国際事業部にも関心があったようだ。そして入社前にワコールの創業者である塚本幸一さんの「日本の女性を美しくしたい」という創業当初の女性環境を覆すような考え方に惹かれて入社を決断した。どの業界、職種がいいという動機を持って入社することは大切なのかもしれない。しかし、彼女のように1つの会社をしっかりと見つめる行為は、私たち就職活動者としては見習うべき点だろう。

 彼女は国際事業部の配属を希望していたが実際にその部署に配属されることはなかった。入社してやりたいことを持っている人がそれを任されなかったとき、あなたならどう思うだろうか。思っていたことと違うことをやらされて転職を考えてしまうだろうか。はたまた、自分にも仕事を任せてもらえるように今できることを懸命にこなすだろうか。彼女の場合は「やりたいことをやるために会社に入ったわけではない」から、ほかの仕事を任されたとしてもそれを嫌な気持ちを持たず果たしていた。彼女は昔からある考え方を嫌っていた。「やりたいことを仕事にしている人が人生において成功者で、やりたいことが仕事にできなくなって、作業として仕事をやっている人の人生は不幸せだ、という風潮」である。誰しもが自分の「やりたいこと」をしているわけではない。むしろそれを仕事にできている人のほうが少ないのではないだろうか。また、人それぞれ「やりたいこと」が異なる。人々の「やりたいこと」にマッチングする会社の数は果たして均等なのだろうか。「やりたいこと」ができる仕事に就くことができなかった人は「不幸」なのだろうか。彼女の考え方は一見、「やりたいこと」が味気なく見えてしまうかもしれない。しかし、彼女の考え方こそが会社での貢献度が高いのではないだろうか。


 また、彼女は「できること」、「やらなければならないこと」、「やりたいこと」の3つのステップについて話してくれた。まず自分の「できること」を増やすことで会社から任される「やらなければならないこと」を達成できるようになる。さらに「できること」を増やすことで会社から任される仕事が増え、信頼を得ることができる。また、自分の守備範囲が広まると「やりたいこと」も増え、3つが重なり合う範囲が増えることでやりがいが大きくなる。入社して、会社で「できること」がほとんど0の状態から始まる中でまずできることは「できることを増やすこと」である。会社がなぜ人を雇うかというと、その答えは単純で、やらなければならないことがあるからである。では会社にどんな「やらなければならないこと」があるのかも知る必要がある。そのためには、自分の会社をよく知ることが大事であると彼女は言う。創業者の思いを知ることでそれが見えてくるそうだ。

 現在、社員の能力開発のために、研修やOJT、キャリア開発などさまざまな事業が行われている。企業が社員に求める能力として、知識やスキル、行動力などがある。それらを学ぶ場を企業が直接社員に提供することで、自発的な貢献意欲を向上させている。社員の「できること」を増やすことができる環境だ。また、企業が直接行うことで「やらなければならないこと」を抜粋した内容を社員に学んでもらえるので効率的な環境であるといえるだろう。ビジネススキルや知識、仕事の質の向上に繋がる現代の社会の仕組みである。

 彼女が「ワコールスタディホール京都」のプロデューサーを任される以前から、京都造形芸術大学に通い、京都の美しさや歴史、芸術を学んでいたように、自分の「できること」を増やすために行動することは非常に重要である。そこから実際に館長を任され、大学で学んだことをスクールのワークショップで発揮した彼女のように、「しなければならないこと」を見通して「できること」を増やしておくことで「やりたいこと」の達成にも繋がるかもしれない。

 就職活動を行う上で、「これがしたい」から入社すると決断する意志ももちろん大切である。しかし、創業者の考え方をしっかりと把握した上で入社するのが最良だろう。そうすることで、入社してから会社が何を望むのか見えてくるだろう。


 2020年という年を迎え、いよいよオリンピックの気迫を感じ始める。東京には何ヶ国もの人々が集まるだろう。翻訳者は1家に1人いるわけではない。言葉の壁を乗り越えるために、私たちには何ができるだろうか。例えば、英語を学んだり、翻訳端末を購入したりすることができる。私たちに今できることはなにか考え、それを実際に行動に移すことが大切なのである。

文:Y.U

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