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中国新築住宅、都市79%で値下がり 感染拡大で取引低調~中国の変化は浮上を導くか?~【日経新聞をより深く】

1.中国新築住宅、都市79%で値下がり 感染拡大で取引低調

中国国家統計局が16日発表した2022年12月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは55都市だった。11月から4都市増え、全体の79%を占めた。新型コロナウイルスの封じ込めを狙った「ゼロコロナ」政策の緩和後、都市部で感染が急拡大した。住宅展示場に足を運ぶ人が少なく、取引が低調だった。

前月比で上昇したのは15都市で、11月から1都市減った。横ばいの都市はなかった。21年9月以降、半数(35都市)超の都市で価格が下がっている。

都市の規模別では北京、上海、広州、深圳の「1級都市」のマンション価格は平均で前月と横ばいだった。11月は0.2%のマイナスだった。省都クラスの「2級都市」は前月より0.3%低く、下落率が0.1ポイント拡大した。それ以下の「3級都市」も0.3%低下した。

取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では全体の90%に相当する63都市で価格が下落した。都市数は11月から1都市増えた。値上がりは7都市だった。

(出典:日経新聞2023年1月16日

中国の不動産バブルは崩壊しているように思われます。ただ、中国はなぜか急速な方針転換を進めているようです。

2.習近平の政策の変更?

習近平の政策の変化について、まるでこれまでと違うとFTのオピニオン記事が出ています。

一つにはゼロコロナ政策を放棄したことです。現在、これによって、感染者は爆発的に増え、政府発表の死者数は6万人とされていますが、実際は34万人をこえているようです。

次に不動産セクターへの規制であった3つのレッドラインを緩和します。3つのレッドラインとは①総資産に対する負債(前受け金を除く)の比率が70%以下②自己資本に対する負債比率が100%以下③短期負債を上回る現金を保有していること、を求めたものです。不動産会社は守れなかった指針の数に応じて4段階に分類され、銀行からの借入れ規模などが制限されていました。これによって、銀行が不動産融資を相次いで縮小、貸し渋りに直面した不動産大手の中国恒大集団などが、経営危機に陥る主因となりました。

この規制を緩和します。中国国営の新華社によると、同計画では、1000億元の賃貸住宅向け融資やM&A(合併・買収)による業界再編を加速するために設立する金融資産管理会社向け資金計画、不動産会社のバランスシート改善のため株式調達なども支援します。

そして、巨大IT(情報技術)企業の締め付けも終わりを迎えたようです。市場監督部門を訪れた李克強首相は9日、プラットフォーマーと呼ばれるIT大手に対して「雇用と消費の促進、イノベーション(技術革新)の創出などの作用を発揮してもらうため、健全で持続的な発展を支援する」と述べています。

また、中国の金融監督トップ、郭樹清氏がIT大手の金融業務について「基本的に是正が完了した」との見解を示しています。

このように、政策が転換しており、FTの記事では「習近平が政策決定をしていないのではないか」と報道されるほどの変化をしています。

3.中国の政策変化はバブル崩壊を防ぐのか?

ぜひ、上記記事も参照してください。日本のバブルとその崩壊も時系列で書いています。

中国の不動産セクターへの3つのレッドラインは、日本のバブル崩壊のきっかけとなった「総量規制」にあたると思います。

日本でも総量規制以降に転がり落ちるようにバブルは崩壊していきました。しかし、バブル崩壊の際にも、その渦中にある時には、一時的な現象とみられる向きもたくさんありました。まさか、これほど長きに渡って、経済の低迷が続くとは誰も予想していません。

さて、中国ですが、不動産セクターはかなり厳しい状況であり、バブル崩壊はすでに始まっていると言えます。これがどこまで進むのか、実際の不良債権はどれほどあるのか、そして、マンション開発業者などは資金繰りの悪化が止まるのか。この不動産セクターが持ちこたえられるかどうか、ここが中国経済の正念場ではないでしょうか。

今後、注目は中国の不動産セクターに関わるニュースです。3つのレッドラインの緩和が、不動産セクターの浮上につながるのか、そして、それは中国経済の浮上につながるのかどうかにも関わってくる問題といえます。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】


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